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ちょくえは「わかってる」とだけ言うと、坂本を抱きかかえる。
そしてまた頭をなでる。キッチンアイルーすら持っていないちょくえにとって、アイルーを安心させる行為なんて専門外だ。猫のように頭を撫でくり回す以外どうにもできない。
「お前、これからどこか行くアテあるのか?」
「え?」
「こんなところに一人でいたらいつモンスターに襲われるか分からん。一人で生きていくつもりなら…俺のところに来ないか?」
坂本は一瞬何を言われたのか分からなかった。頭がちょくえの言葉を理解しても、冗談で言っているようにしか聞こえなかった。
目の前で自分は失敗ばかりのダメアイルーだ、と言われたのだ。ハンターならもっと優秀なオトモアイルーを雇えるはずなのに……。
「でも……いい…んですか?」
「当たり前だろ。じゃなきゃあんなところで盗み聞きなんてしねぇよ。」
「えっと、その……。じゃあお世話に…なります……ニャ。」
「ははっ やっぱアイルーは語尾にニャを付けた方が可愛いな!」
「じ、自己紹介がまだでしたニャ! 俺は坂本って言いますニャ」
「そういえばそうだったな。俺はちょくえだ。よろしくな。」
「はいですニャ!」
坂本は元気に返事をすると、ちょくえの足に顔をすりよせて甘えて見せる。
どうやらこんな短時間でものすごく懐かれてしまったらしい。
(これってオトモアイルー……ってことになるよな……食費どうしよう…思い切りで誘っちまった…)
さっそく後悔しかけているちょくえだが、ごろごろ泣きながら甘えている坂本を見るとそんな不安が吹き飛んでしまう。
さすがにいつまでも無反応だと変に思われるので、坂本を抱きかかえると空いた片手で頭をなでる。
「さっきから撫でてばっかりですニャ」
「悪かったな。」
そんなやり取りを交わしながら、ベースキャンプに戻って目的だった『特産キノコ』を納品する。
最終更新:2014年03月16日 19:09