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「おうおう。ずいぶんと威勢のいいアイルーちゃんじゃねーの?」
村人の後ろからおっさんが声を上げた。
やばい面倒な奴に絡まれたか、とちょくえは戦慄したが、村人から割って入ってきた声の主は意外にも顔見知りだった。
声の主はユクモ村の訓練所を務めている教官。いかにもハンターらしい筋肉質の体に防具を纏っていた。背中には竜骨で作った大剣を担いでいる。
「お前さんも面白い奴を連れてきたじゃねーか。モンスターを狩りてぇなら俺のとこで修行していくのはどうだ?」
確かに努力するとは言ったが、こんな熱血野郎に指導されるとは夢にも思ってなかった。
ここで断ったら村人にまた馬鹿にされる。そうわかってはいても、ここは何としても断っておきたいとちょくえは思った。
熱血指導に加えて金まで食われるんじゃ修行どころではない。
だが教官がどんな人間なのか全く知らない坂本は、ちょくえの意見も聞かずに大喜びして「はいですニャ!」と元気よく返事をしてしまった。
「ちょッ! 坂本、おま…ッ!」
「? どうかしましたかニャ?」
「どうしたんだーちょくえ? お前も努力するんだろ?」
「た、確かに努力はする…いやしますけど、生憎お金がなくて訓練所なんて通えないんですよ」
「ガハハハ 金の事なら心配するな! 修行で生肉を3つほど採ってくりゃあ金なんていらんぞ」
「ほんとですかニャ!? お金はいらないんですかニャ!?」
「当然だ! 自然と共に生きるハンターなら金より食料!」
「やったニャ! これならちょくえさんも参加できますニャ!」
二人で勝手に盛り上がっている中、ちょくえはどうしてこうなった…といいたげな表情をしていた。
「で、どうだちょくえ。俺と一緒にハンターを極めないか?」
「ちょくえさん! やりましょう!」
ちょくえは二人に迫られ、村人からやるんだろという冷たい視線を浴びせられ、唯一全員が納得する「修行に参加する」選択肢を取らざる負えなくなってしまった。
自主的にやっても無駄だろうし、良い機会ではあるが……。
「わかったよ。分かった。 教官。よろしくお願いします。」
自主的になのか諦めたのかわかりにくい声色で了承するちょくえ。
教官は満足そうにうんうんと頷きながらこういった。
「修行は早速明日から始めるぞ! 今日はこいつと一緒に温泉にでも入ってゆっくり休みな!」
そういって教官は二人分の温泉代を出してくれた。
礼儀なので一応受け取るのを拒んだが、教官は訓練所への入学祝いだといって無理やりお金を渡してさってしまった。
ちょくえの足元では嬉しそうに鼻歌を歌っている坂本の姿があった。
(坂本も嬉しそうだし、今回は勇気を振り絞って頑張って見るか)
よしっと軽くガッツポーズをする。
「さて坂本。温泉にいくか!」
「はいですニャ! 温泉楽しみですニャ!」
最終更新:2014年03月16日 19:11