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次の日。
前日は坂本と温泉に入って武勇伝の続きを聞かされたり、その日とれた食材で鍋を囲んだりと、楽しいひと時を過ごした…ような気がした。
実際のところ、坂本と一緒にべろんべろんになるまで酒を飲んでいたので、記憶が全くない。
それどころか頭ががんがんする。完全に二日酔い状態である。こんな状態で修行を受けても全く身が入らないのは誰の目から見ても明白だ。
「ちょくえさん! 起きてくださいニャ! 今日から修行開始ですニャ!」
完全にダウンモードのちょくえだが、同じぐらい飲んでいた筈の坂本は元気いっぱいだった。余程今日が楽しみだったのだろう。
「ん~ 頭いてぇ……」
今もなお頭の芯にまでガンガン響く頭痛をこらえながらベッドから起き上がって軽く伸びをする。
すぅと深呼吸をすると、朝の心地よい空気が肺を満たして行くのが分かる。
「大丈夫ですかニャ? ……あっ! 教官が家まで来てくれたみたいですニャ! 出迎えてきますニャ!」
まさかそんなはずは…と思ったが、坂本の言った通り、扉の向こうには教官が立っていた。
教官と坂本は朝から鬱陶しいぐらい元気にあいさつを交わす。
「おい!起きろちょくえ! 今日から修行だぞ!」
誰の許可を得て入ってきたのか、教官がベッドでうずくまっているちょくえに一喝する。
普通なら驚いて跳ね起きるレベルだが、二日酔いに加えて寝起きのちょくえの頭はそこまで回っていない。
「む? 酒臭いな。お前、飲み過ぎたのか?」
「え、ええ。まあ。」
「けしからんな。修行前日というのにこんなになるまで飲むとは……。まあ坂本がここに来た記念だろう。特別に許してやる。」
「はぁ… ありがとうございます。」
教官は話が分かる人のようで、それ以上追及してくることはなかったが、目を覚ますためにと最初の修行は《渓流》のマラソン。
二日酔いの頭にはそれだけでもかなりハードな運動だ。
だが相変わらず坂本はやる気満々。今すぐにも走りに行ってしまいそうだった。
「うう…。」
明らかに走れるコンディションではないちょくえだが、教官はこれも修行のうちだと大声で笑っていた。
最終更新:2014年03月16日 19:11