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「一時はどうなることかと思ったが、なかなか筋はあるじゃないか。縦殴りじゃなくて横に斬る辺りがさすがだな。」
「え? ああ。ありがとうございます。」
「ん? どうした? なんか元気がないみたいだが。」
そういって教官はちょくえの足元に転がっているジャギィの死体に目を向ける。
首下を切った所為か、酸素をたくさん蓄えた真っ赤な血液がジャギィの身体を覆うように広がっていた。
ちょくえの足元に赤い水たまりが出来る程に。
「なるほどなぁ……。お前も生肉ぐらいは採ってくるだろ? 野生の草食獣に感情移入したりするか?」
「それは……。」
「しないよな。食わないと俺達が死ぬわけだし。人間『大切な人を守るためなら自分は死んでも構わない』って口だけでは言えるんだ。だけど実際に実行しようとしても、自分の命が惜しくて結局その『大切な人』だけが死んで自分だけ生き残っちまう。」
「……。」
「草食獣もそうだが、こういう肉食系のモンスターはその気になれば人だって食える。肉食系のモンスターを殺せないなら、野菜の栽培の邪魔をしてくるランゴスタやブナハブラも殺せないよな? 虫だけどあいつらもモンスターの一種だ。」
ちょくえは黙ることしかできない。教官はちょくえの表情を一目しながら話を続ける。
「目の前で悪さをしてるから殺せる。食べないと死ぬから殺せる。でも目の前で具体的に悪さをしてないモンスターは殺せない。これじゃダメなんだよ。モンスターに感情移入し始めたらそれはハンターとして根本的な部分から失格だ。農業をしてる奴がポポやグァーガを好いてブハナブラを嫌うってのとはわけが違う。」
「だからお前はもう少し冷酷になれ。坂本を拾ってきたのもお前のそういうところが原因だろ? まあ別にアイルーを拾ってくるなとは言わないが、あいつらも人間を殺すことが出来るモンスターの一種だ。」
この言葉を聞いて坂本がびくっと肩をふるわせた。野生の本能からもしかしたら自分もいつか殺されると思ったのかもしれない。
最終更新:2014年03月16日 19:26