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「すまん、簡単な物だが今日はこれで勘弁してくれ」
そう言ってフクナガは、パンやカップラーメンを大きな食卓に並べる。
「ぜんぜん大丈夫だよ、それにしても相変わらずすごい量だな」
同じく盗みを働く氷河期が誉める。
「この道極めてるからな、でも真っ当に働けるあんたのが立派だよ」
フクナガがそういうと、「いやはや」と氷河期は照れる。
「うひょー、ラーメンなんて久しぶりっす」
ピンチラが割り箸を振り回し元気に言う。
「足りなかったら言ってくれ、材料もあるから何か作る」
フクナガは肉体労働者のピンチラに気を使う。
「いやいや充分っす、ほんと毎日ごちになります」
そういうとピンチラは、お湯を入れて2分程度しか経ってないカップラーメンの蓋を剥がして食べ始めた。
「僕も頂こうかな」
ぷろふぃーるはそう言って少し申し訳なさそうにパンを手に取る。
「ぷろふさんはもう少し堂々としていい、俺等に出来ない事をいろいろしてもらってるからな。かなり助かってるよ」
ぷろふは、「誉め上手だね」とフクナガに言ってパンを食べ始めた。
全員が食べ終わった後は、それぞれ自由時間だ。
「シャワー貰うぞ」
そう言って氷河期はシャワー室へ向かう。
氷河期は夜のバイトがあるため、シャワー等の順番を出来るだけ優先して早くする事にしていた。
ぷろふは読書をしていて、ピンチラは携帯電話を弄っている。
「ピンチラ、誰かとメールか?」
フクナガが尋ねる。
「彼女っす。彼女はアイドルをやってて、遠くに行っちゃったから離ればなれの遠距離なんっす」
ピンチラは微笑みながら答えた。
しかしその笑みは、どこか悲しげに見えた。
そしてまた、ピンチラが口を開いた。
「俺ね、彼女と結婚する事が夢なんすよ」
おしゃべり好きなピンチラは、時々急に語り出す。
しかしこの時のピンチラは普段のおちゃらけたピンチラとは違って真剣だった。
フクナガはピンチラの話を静かに、ただ頷きながら聞いていた。
最終更新:2014年04月26日 15:00