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熱い接吻を終える。
時間にすればほんの数秒だったかもしれない。
しかし、2人にはその数秒がとてつもなく長い時間に感じられた。
2人共、ファーストキスだった。
「…っ//」
りりあは恥ずかしさで少し下を向く。
この時りりあはかなり顔を赤らめていたのだが、辺りが暗いためそれをフクナガに知られる事は無かった。

「少し、散歩でもするか?」
恥ずかしがるりりあに、フクナガは言った。
りりあはだまって頷く。
手を繋いだままフクナガが立ち上がると、りりあもつられて腰を上げた。

そして2人は孤児院の庭を抜け出した。
向かった先は、河川敷の桜並木だ。

春になれば満開の桜で覆われるこの通りも、夏のこの時期はただの並木道だ。
そんな中2人は無言で寄り添って歩いていた。
手は、繋いだまま。

しかし、幸せな時間は永遠には続かなかった。
10台を超えるバイク群が近寄ってきて、フクナガを囲んだ。

そしてバイク群の中の1人がバイクを降りてきて話しかけてきた。
「ようお前、こそ泥のフクナガだよな」
赤い特攻服を靡かせるその男は、そう言ってフクナガをにらみつけた。
「そうだが、お前は誰だ?」
フクナガも負けじと睨み返す。
2人の間にはかなりピリピリした空気が立ち込めていて、りりあは怯えていた。
「俺らな、隣町で族やってる烈火隊って言うもんだよ、そして俺が総長の直江だ」

隣町の自治を行ってる組織とフクナガ達の街を自治してる組織はそれぞれ敵対する派閥に属していて、隣町は言わば敵陣である。
フクナガは普段、隣町で盗みを働いている。なので、いつ目をつけられてもおかしくなかった。

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最終更新:2014年04月26日 15:02