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──数週間後──
「私の名前は顎、ではなく平行四辺形。ごく普通の高校生。な訳ない。ごく普通の日本の高校生なら北朝鮮とか来ないわ。そして私は今、この地に来て、ちょ……」
動物薬学研究所内のロッカーに隠れている平行の前を研究員が通りすぎる。その研究員がロックルームから出るのをしっかり確認してから、
「……、私は今、この地に来てウイルス兵器を回収しにきたのだ。……。うん、行くか」
1人でブツブツ呟くのに飽きた平行がロッカーからサッと姿を現す。
「監視カメラに写ること大前提の作戦ですから強行突破しちゃいますぜ」
聞こえてないとはいえ、いきなり作戦をバラした平行が廊下に出る。人が少ないのか研究員が部屋に引きこもってるのか知らないが誰もいない。その上警報も鳴らない。逆に怪しい。
「監視カメラ仕事してるのか……?」
そう呟きながら平行は上を見る。しかしカメラらしいものすら見当たらない。
「これひょっとしたら……」
まさにその時、突然ドォンというような爆音とけたたましい警報が施設中に鳴り響いた。
「ひょっとしねぇっ!」
驚いた平行が全力疾走で廊下を走り抜ける。
真っ直ぐ、右、真っ直ぐ、左、右……と、特に行く先も決めずに闇雲に走っていると、複数人が発している英語が聞こえてきたので、すぐさま急ブレーキをかけて壁に背をつけ、冷却装置みたいな深呼吸をする。
「ケビン、ショットガンよこせ、鍵がかかってやがる」
「こちらベータフォース、研究施設に到着した。ウイルスを回収次第即時撤退する」
訳すとこんな感じの英語が聞こえてきた。
「ウイルス……? しかもそれを回収? 誰だか知らんがあいつらも俺と同じことをしようとしてるのか……」
平行は右手を彼の長い顎に当てて少し考えた。そして考えがまとまると、迷いなく英語が聞こえる方とは逆方向へ走り出した。
「向かうは中心部だな」
最終更新:2014年04月27日 16:28