『6.水素』
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「連絡がつかんぞ」
「何だ? 先行隊と連絡がつかない次は本部とか」
「仕方ない。独断で探してくしかない」
地上からの平行と水素の捜索を任された部隊があるネットカフェの前で、光に集まる虫みたいに無線機に集まって話し合っている。
しかし、その部隊の中の無線機を手に持っている兵が雑音しか発さない無線機に呆れ、無線機を手の甲で軽く叩きながら周りを見渡した。
「ハァ、じゃ独断で」
その兵がそう呟きながら無線機を腰のホルダーにしまい他の兵の顔を見て首を縦にふる。すると彼らの目つきが変わった。彼らなりの志気の上げ方なのだろう。そして部隊5人全員いっぺんに店内に入るとその内の1人が受付へ進行方向を変えて歩きながら、おどおどした感じの店員に話しかける。おどおどするのは仕方がないか。
「我々はアメリカ軍の者だが……」
「はい……」
怯えたような声を出す店員に兵が紙を差し出す。その紙には平行と水素の顔写真が印刷されている。
「こいつらが入店してたりしてないか? 探しているのだが」
「あ! あぁ、来てます来てます。先ほどこのお部屋へ案内いたしました」
急に声に怯えがなくなった店員が部屋が描かれた紙の、ある一室を指差しながら答える。その店員の目から「どうだ!」と言わんばかりの熱意が感じられる。突然の変わり様だ。
「1つ目からビンゴかよ。ありがとう、助かった。この2人を回収次第すぐ店を出ますので。では」
そう言って兵は平行と水素が描かれた紙をもういらないとばかりに何度も折り畳んでしまうと、入り口付近で待機していた他の兵の元へ歩いていった。
「まさかの1発ビンゴですね、隊長」
一番近くにいた兵が話しかける。どうやら店員と話していた兵は隊長のようだ。
「ああ。だが、今から他の客を逃がすとやつらに気付かれる危険性が高い。つまりこの現状ですみやかに安全に回収する必要がある。発砲許可は降りてて降りてないようなもんだな。戦闘は起こすな」
「了解」
その言葉を聞いて再び首を縦に振った隊長が後ろを向いて店内の様子を全体的に確認しようとした。
が、
「あ」
「え」
ドリンクバーのコップを持った平行がアホみたいに口を空けて部隊の目の前に立っていた。
最終更新:2014年04月27日 17:16