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『10.管理人』


38ページ目

「……」
フクナガが胸に刺さった標識を引っこ抜き投げ捨てる。
「……」
投げ捨てられた標識は地面のアスファルトとぶつかってカラーンッと高い音を響かせた。
「俺は」
その高い音が反響する。
「その標識に心臓が潰された。だからもうじき死ぬ。つまり生命活動を維持する必要がないんだ」
生徒が両手の拳を固く握りしめ、その拳をわなわなと震わせる。
「よって、生命活動の維持に専念していた俺の細胞は働きを変化させ、相手を殺すことに特化する。効率の良い悪あがきって訳だ」
無言でフクナガの独り言を聞いていた生徒が視線を血だまりに浮かぶグチャグチャの肉塊からフクナガの顔へ移して睨みつける。その睨みは視線に殺傷能力がありそうな恐ろしい睨みだ。
「……」

そしてその恐ろしい睨みをフクナガに向けながらわなわな震える右腕を振り上げる。
「そうだな、時間がないな。やるか」
静かに呟いたフクナガが人差し指で生徒を挑発した。するとフクナガの視界から一瞬にして生徒が消え、次の瞬間にはフクナガの本当に目と鼻の先に生徒の鉄拳が飛んできていた。
「何!?」
「死ねええぇぇぇぇっ!!」
顔面を潰されたフクナガは物凄い勢いで吹っ飛び、道路脇に駐車してあった車に背中から激突してようやく止まった。
それから3秒ほどして、盗難防止装置が鳴り響くなかフクナガは血だらけの顔を生徒に向けてゆっくりとボンネットから降りる。
「糞、なんなんだあいつ……、!?」

フクナガの意識が途切れた。



「アメリカの生物兵器が北朝鮮の生物兵器に負けたのか……情けないな。それに、フクナガ2世が死んだから撤退させた兵を再配置する必要があるのか、面倒だ」
埼玉上空のヘリコプターからフクナガと生徒との戦いを眺めていた兵がボソッと呟く。
その兵は実戦に耐えきれないのではないかと思わせるほどの老人だ。それでも軍服を着ていることからして指揮官のような人なのだろう。
その老人の兵の向かいに座っている兵の無線に連絡が入る。
「こ、こちらアルファフォース。謎の攻撃を受けている。電撃だ。至急増援をも……」
「!?」
音声が途切れた無線機を見つめる老人の兵の目に驚きが現れるが、それでもその兵は冷静に判断をする。
「アルファフォースの現時点の座標はどこだ」
「はい、今確認しま……、Cブロックの3-4です」

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最終更新:2014年04月27日 17:33