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『14.最後の後』


50ページ目

「注射器1本分が本当に中和されてるとしても6本やられた私はてめぇらの5倍の力があるんだよ。負ける訳ねぇだろ虫ケラが」



(その言葉が佐藤にかけた最後の言葉だった。佐藤光聖……、私にとって憎しみしか生まなかった存在。だが終わりだ。私は逮捕された。佐藤の手助けをした小銭、かっしーも捕まり、平行と水素と手伝いをした闇路とあありんも投降したらしい。
私の中身と人生を丸ごとぶっ潰した今日という日に埼玉県は封鎖され、封鎖が解除された。忌まわしき今日という日を忘れることはないだろう。


記憶に刻まれ、これで終わりなのだ。そう、記憶に刻まれただけで、終わりだ)

「ごめん、前言撤回。終わってなかった」
潰された交差点のキャンプまで連れて行かれてから逮捕された生徒は、手錠はされていないが日本の警察官に連れられてそれをアメリカ軍が包囲するという形態でいたが、その形態はもはや崩す他ないような事態が起こることを示す、

平行四辺形

が突如ビル影からヌッと姿を現した。
その姿は、最初、死体回収に来た人を殺したときとは比べ物にならないほど巨大化しており、顔らしい顔はまったくないのにも関わらずまるで見下ろされているような感覚に襲われる。
「きょ、巨人だ!」
「人じゃない」
「あ、あのビルは50mあるんだぞ!?」
「ねーよ。つかそのビルよりは小さいし」

「平行……」
その平行四辺形が平行であることを悟った生徒が唖然として平行四辺形を見上げる。
「なんで……、でも……」
生徒の「でも」という言葉にわずかな期待が表れた。姿がたとえ人外でも平行が生きていたということに対しての期待だ。
しかしその期待は一緒にして崩れ去る。

「危ない!」
「!?」
突然アメリカ軍の兵に押し倒された生徒の隣のアスファルトが、平行四辺形の頂点から放たれたビームに焼かれていた。
(平行……!?)
地面に横たわる生徒の目が驚きで見開かれる。その目に映る平行は、平行四辺形の形を崩さないように絶えず辺の長さを変えながら回転しを始め、笑っているかのような感覚を与える。
「平行!!」
叫ぶ生徒が上に被さる兵を手で押しのけて立ち上がると両手の拳を固く握りしめた。
「平行! 私の声が聞こえるだろ! 私と戦うならそのアホみてぇなビームを私に向けて撃ってみろ! 嫌なら空にでもビーム撃って意志を示せぇっ!!」

圧力──プレッシャー──という名の不安がグチャグチャのキャンプの空間と平行の空間をまるごと包み込んだように数秒間の沈黙が訪れる。

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最終更新:2014年04月27日 17:51