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「どうしたキーファ! 一体なんの騒ぎだ!?」

 木々が倒れる音に飛び起きたダーツが駆けつける。
 気付けばユバールの民もみな起き出していた。

「敵襲か!?」

「ああ! でも手は出さないで下さい! これはオレの戦いだ!」

 そういうとキーファはスライムへと斬りかかる。
 横に一閃――――かわされる。

「はあぁッ!!」

 しかし次いでの縦一閃。ついにキーファの太刀がスライムを捉えた。
 直撃ではないもののスライムの身体の一部が切り離される。

 ゾンビぎり。
 十字架に見立てた縦横十文字斬りで本来はゾンビ系の敵に真価を発揮する技だ。
 しかし連携の良さからキーファは通常時でもこの技を多用していた。

 身体の一部を切り離されたというのに、スライムは怯みすらせずに攻撃を繰り出す。
 ようやく攻撃を当たられたことによる油断か、キーファはもろにその打撃を受けてしまった。

「がっ…………!!」

 スライムの攻撃とは思えないほどの規格外のダメージ。
 分散された一撃でさえ決して小さくはない威力だったのだ。
 疲労し、少しのダメージも負っている今の状態では戦闘不能になってしまってもおかしくはない。

 だが、キーファは寸でのところで意識を保ち続けていた。

(アルスにもらった命の木の実のおかげか……! 全く、あいつには助けられてばっかだな)

 追撃を許すわけにはいかない。キーファは激痛に堪えながらも即座に体勢を立て直す。
 しかしそこには既にスライムの姿はなかった。

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最終更新:2014年08月20日 17:03