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「キーファ!! 上だ!!」

 ダーツの怒声が響く。
 予測していない限り、上からの攻撃は対処が困難となる。
 通常の戦闘では上からの攻撃は滅多にこないし、だからこそ警戒も薄くなってしまうからだ。

 しかし、

「分かってたよ。上から来るってことはな……!」

 キーファは冷静に、素早く剣先を頭上へ向ける。
 その遥か上には飛び上がったスライムが今まさにキーファへ飛び掛ろうとしていた。

「攻撃を受けた瞬間、見えたんだよ。お前がどの方向を見ていたかがな!」

 いくら素早いスライムだろうと空中では身動きの取りようがない。
 キーファは最大の奥義で落ちてくるスライムを迎え撃つ――――。

「しんくう――――!」

 剣先に風が集まり、竜巻のように上へ上へと巻き上がっていく。
 スライムは風の中に捕らわれてしまい、落ちることも出来なくなってしまう。

「かえん――――!」

 竜巻の根元から炎が燃え上がっていく。
 貪るように炎は竜巻を飲み込んでいき、たちまち透明だった真空は赤一色となる。

「ぎり――――ッ!!」

 真空火炎斬り。
 キーファが火炎竜巻を宿していた剣を振り下ろすと、それらは一瞬の内に消え去った。
 そしてその中から黒焦げになったスライムが姿を現す。

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最終更新:2014年08月20日 17:03