15ページ目
「へへ、戦闘、不能だな」
コジョンドはのどもとをひくひくと鳴らせ、力なくわたしをみつめている。悔しいけど……男の言う通りもうコジョンドは戦えない。わたしはコジョンドをボールにしまう。
「さあ、次のポケモンをだしな! お嬢ちゃん!!」
男は挑発するように首をならし、わたしのほうに向く。ほんとのこと言うともう戦いたくなかったけど、どうみても断れる状況じゃない。
(この子で……やるしかない!)
わたしのポケモンの中で一番強い子、エンブオーがいるボールにわたしは手を回し、召喚した。
現れたのは紅蓮の炎を纏ったポケモン、エンブオー。その風格はまさに閻魔と言うのにふさわしい。
「は! 図体だけの豚が、おれのミルホッグのスピードにおいつけるかよ! 怒りの前歯!」
男の指示を聞き、ミルホッグが今度はエンブオーの、のどもとに食いつこうとする。
「そう何回も、決まると思わないで! エンブオー、諸刃の頭突きで迎え撃って!」
エンブオーとミルホッグの攻撃がぶつかり合い、弾ける。その衝撃からかミルホッグは吹き飛ばされ、マンションに直撃し、落下する。
瀕死とまではいかないものの、かなりのダメージを負っているはずだ。
「どうするの? もうミルホッグは瀕死すんぜんだよ?」
「は、降参か? 冗談じゃねぇよ!! ガキなんかに俺が負けていーはずねーだろおがああいあ!!」
諭すように私が言うと、男は声を荒げ、捲し立てる。そしてバックの中から、漆黒に輝く何かをとりだし、ミルホッグに投げつけた。
「いくぞ! 俺はミルホッグにこいつを装備させる!」
男はその何かをミルホッグに向け投げる。それはミルホッグの頭上でとまり、徐々にその姿を露わにしていく。
「いくぞ! ゲノムエクイプメント(遺伝子装備)、解放!!」
なにかはミルホッグの甲冑となり、剣となり、盾となり、武装される。武装したミルホッグ……いや、ミルホッグといえた物は、わたしのほうにくるりと振り向き、かまえた。
最終更新:2014年08月23日 14:16