5.イービルタンク

「プツッ あー、諸君ら静粛にしてもらえるかな?」
 スピーカーから深みのある重低音ではなく変声機を使った重低音の声が聞こえてきた。その瞬間、ざわつきがピタッと無くなった。鼓動が聞こえそうなくらいの静かさだ。先生の静かにしろコールより効果あるじゃねぇか。
「さて、今の君達の立場は人質だ。そして俺らの目的は金だ。そこは理解しておいてもらいたい。それと、1つ警告しておく。もし学校の外へ逃げようものなら戦車で教室を1つずつぶち抜く。1人逃げれば教室1つ。2人なら2つだ。警察との交渉決裂時もぶち抜く。覚えておけ。ブツッ」

 マイクのスイッチを切ったことを示すブツッの直後ざわつきが復活した。それに反して完全に固まってる奴もいる。先生とか先生とか先生。先生以外には男子だな。主に話したことない奴ら。女子はほぼ全員誰かと話してる。不安を紛らわそうとしているのだろうか。
 つか戦闘機買えるなら金いらなくね。だが、これはアカン。ぶち抜くっていう表現がすでにアカンよな。とりあえず俺ら人質は動かないことが最善策らしい。動いたところでどうせ見回りがいるだろう。
 と、ようやくというべきか、流石の速さというか、体感的にはようやくだ。パトカーのサイレンが聞こえてきた。だが既に戦車が学校を捉えている以上、身の代金の交渉以外警察に期待できることはない。
 だが警察に期待できない理由は戦車であるから戦車をどうにかすれば可能性はある。戦闘機は現れたと思ったらさっきから音が聞こえない。どこかで待機しているとすればスキができるはずだ。
 まぁ、戦車をどうにかするのは少なくとも俺には無理だろうがな。

最終更新:2014年09月20日 23:23