11.望みを絶つ
銃声が1つ、また1つと増えていく。どうやら銃撃戦が始まりそうだ。はやいとこ撤退しよう。
音の発生元的に学校側からテロリスト、校門の外から警察が銃撃してるっぽい。
そうこうしてる内に銃声が途切れないほどにまで銃撃戦が激しくなった。銃撃以外にもガラスが割れる音や何か金属に銃弾がぶつかる音も響く。ついには爆発音までもが聞こえてきた。ちょっと展開早すぎて間に合わないかな。
「おい!何してる!早く来い!」
SATの1人が校門に隠れながら俺に呼びかけた。俺の呼びかけた奴は死亡フラグがたつ訳じゃないよな。
「今行きます!」
やっぱり体が痛むが、何とか体を動かしてSATのもとまで行こうとする。
「手榴弾!」
「伏せろ!」
その言葉に驚いた俺が声の聞こえた左側を見てみた瞬間、SATの装甲車が下からアッパーされたみたいに火を吹いて少し吹っ飛び、横から落ちて横転した。まずい、敵の配置が多くて押されかねない。
ひとまず、というよりようやく校門までたどり着いた俺は校門の壁を背によしかかった。するとさっき俺を呼んだSATが話しかけてきた。
「大丈夫か、怪我はないか」
「はい、でも体が痛みます」
その瞬間すぐ脇をダイナミック下校をしたRPG弾が校門を通ってその先の家に直撃した。距離はあるが爆風がすごい。風でビリビリという効果音が漫画とかで見られるがこれがまさにそれだった。
「糞、どこ撃ちやがってる、だがとりあえず君は大丈夫そうだな、ここでしばらく待っていてくれ、車はさっきみたいになる可能性を考えたら安全ではない」
「わかりました」
そしてそのSATが首を縦に振るとサブマシンガンを構え直して学校へ向かって突っ走っていって死んだ。
更に、最悪なことに戦闘機が旋回してSAT達を狙いにきた。シューンという音と共にミサイルが段々大きくなる。
「総員退避!」
「隠れろ隠れろ!」
「早……」
突然何も聞こえなくなってSAT数人とさっき手榴弾で破壊された装甲車がバラバラになって吹っ飛んできた。
耳が再びキーンとなってなにも状況がわからない。SAT達は何と叫んでいるのだろうか。それに恐らくこの間も銃声が絶え間なく聞こえるはずだが全く聞こえない。まさか鼓膜破れたんじゃないだろうな。
すると背中に校門の壁が被弾した衝撃が伝わった。カオスすぎる。校門壊れないでくれよ。だがふと右を見てみたら地面が踊っていた、そう表した方がいいだろう。戦闘機の機銃掃射が今度は右から襲ってきた。その機銃が被弾した地面がえぐられて土が踊るように跳ね飛んでいた。
恐怖を覚えた俺はとっさに頭を抱えて小さくなる。その瞬間、あまり音は聞こえなかったが頭に何がぶつかる感覚がした。何があったのかと後ろを軽く振り返ると、俺がよしかかっていた校門の壁に大きく円状にえぐられた後が残っていた。
頭にぶつかったのはその破片ってことか。糞が、これじゃ盾として使ってる校門の壁が持たねぇ。仕方ない、戦闘機が旋回するスキに移動しよう。このままここにいても100%死ぬなら100%じゃない道を選ぶだけだ。
そう決めた俺は飛び上がるように立ち上がった。
最終更新:2014年09月20日 23:36