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近代の某日。
突然現れた【イリーガル】は、瞬く間に人類を破滅へと追いやった。
奴らは「黒」に溶け込み、人間を襲う。
言い換えれば、「黒」のある場所にはイリーガルが居るのだ。
そして、イリーガルを見た人間は正気を失い、混沌の亡者へと成り果て、殺戮を尽くすのだった…。

ーーーードン。という鈍い音が聞こえた。
目を開けると、俺は床とゼロ距離の睨めっこをしていた。
…あぁ、ベッドから落ちたのか。
強く顔を打ち付けたらしく、鼻が痛い。

「イリーガル…」

俺はふと先ほどまで浸っていた【夢】を思い出した。
簡単な事だ。よくあるSFホラーな夢を見たに他ならない。
鼻に意識が集中していたが、どうやら全身を打ち付けたらしく、全身が痛い。
俺は痛む体を起こし、時計を見た。

AM:4:44

あぁ…変な時間に起きてしまった。
それにしてもデジタル時計とは便利なものだ。
明かりが殆ど射さない場所でもハッキリと時刻を知らせてくれる。
俺はそんな近代のアイテムに感謝しながら、ベッドの上へと上がる。
…しかし、眠気は既に吹き飛んでいた。
俺の仕事は10時からであり、8時起き、9時出勤というのが俺の生活リズムだ。
こんな時間に起きてしまうと仕事に支障を来たすかもしれない。
…とは言ったものの、眠れないのでは仕方ない。
手探りでLED電気のA接点を切り替え、部屋を明るくした。
眩しい。瞼を開けられない。

…ものの10秒もしないうちに俺の目は明かりに慣れた。
時間は腐る程持て余してる。気分転換にランニングでもしようか。
俺はスウェットを履き、運動シューズに足を入れ、マンション六階の玄関の戸を押す。
すると、開くや否やけたたましいサイレンの音が俺の鼓膜を大きく振動させた。
パトカーか、消防車か。よくわからないがその音だ。
まぁ、珍しくものではない。

しかし、俺は違和感を感じた。
サイレンの音が遠ざからない。
パトカーや消防車なら信号機に引っかかる筈がない。
この時間に渋滞に引っかかる事も先ずない。
俺は寝ぼけ頭ながらも直ぐにそれを理解した。
俺の住んでるマンションの下でその音は鳴っている。
何かあったのか。…しかし、煙や焦げ臭さは全く感じない。
となると、下にあるのはパトカー。
いや、しかしパトカーが到着しても尚、早朝にマンションの真下でサイレンを鳴らし続けるか?もしかしすると悪ガキのイタズラか?
俺は一喝入れてやろうとエレベーターで階を下った。

ーーーーここから、俺のとても長い一日が始まった。

最終更新:2014年09月25日 17:08