アットウィキロゴ
2ページ目

 第二校舎の4階の突当りの教室。授業では全く使われることがないその教室。そこが将棋部の部室であり、活動場所だった。
 そこへ行くことで一気に体力を消耗してしまうため、俺はあまり部室へは行かない。(部活に参加しない)が、今日はまぁ例外だ。仕方ない。
 4階にようやくたどり着き、長い廊下を歩く。窓からはグラウンドを囲うように植えられた桜の花が散っているのが見える。
 春なんだなぁ、とか思いながら。すごく気軽に。いつも通りに。部室を開ける。
 驚くべき光景に俺は一瞬、いや、5秒ほど固まってしまった。

 そこには、これまでの将棋部の部室としての姿がなかった。完全に、消失していた。

 窓ガラスは割れ、散乱している。蛍光灯は一本残らず割られ、これも散乱している。3つあった長机が3つとも折られている。将棋盤が割られている。将棋の駒が、散乱している。将棋関連の本、書類など、紙がぼろぼろになって散乱している。
 「……困ったな。どうしろってんだよ」
 黒板に白いチョークで、それはそれは丁寧な字で、こう記されていた。
 『罪を償わない輩には、罰が舞い降りる』

 俺たちがいつ罪を犯した?

 そこで、俺はこの部室に来た理由をふと、思い出した。
 瞬間、凍り付く。やられていた。『あれ』がない。この状況、王手、いや。
 「……詰みか」

 とりあえず、この状況はまずい。そう考えた俺は、冷静に、この教室をありのまま残して職員室へ向かった。
 職員室を訪ねたものの、担任の先生に相談するべきか、顧問の先生に相談するべきか、分からなかった。いや、それがどちらかに決められたとしても俺はその両方の先生の名前を思い出せなかった。仕方ない……。
 「将棋部の尾島です、校長先生はいらっしゃいますか?」
そう言った瞬間に、「しまった」と思った。校長は校長室にいるものか。
 「教頭先生はいらっしゃいますか?」

 で、結局は将棋部の顧問の先生が近くまで寄ってきた。どうやらこの顧問の先生は俺のことをちゃんと認識しているらしい。尾島という名前をしっかり知っていたし、顔もわかっていたらしい。さすが、顧問。
 相談した結果、何者かのいたずらであろう、ということになった。
 顧問は巣山というらしい。3年目にしてようやく覚える機会がきた。覚えておこう。
 巣山先生はすぐにこのことを職員会議へあげてくれた。犯人もすぐに見つかるといいのだけど。

最終更新:2014年11月14日 22:40