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さて、問題はめちゃくちゃにされた教室なんかではない。『あれ』だ。『あれ』が盗まれているんだ。多分、今回の事件は『あれ』を狙って起こったのだろう。
とりあえず、佐伯にも連絡するべきか。
電話をかけたが、電波は届かなかった。あいつ、そういえば新刊がどうとか言ってたか。
ダメな部長だ。
結局この日は巣山先生と部室を掃除することになった。佐伯が来ないとなると、必然的に部室を掃除できる人間は俺たちに限られた。
「尾島君、君が犯人ってことはないよね?」
「ありませんよ。こんな馬鹿なことするはずないでしょう」
巣山先生は「そうだよね」とニコりと笑って掃除を再開した。この人の笑顔は少し歪んでいる気がする。作り笑いのような気がしてならない。
「さ、今日はもう遅いし帰りなさい。あとは先生がやっておくから」
作業が半ばまで終わったところで先生は言った。
「はい。お願いします」
ここは素直に引き下がるのがよさそうだ。
掃除しながら探したが『あれ』はどこにもなかった。あの先生が『あれ』を見つけることもないだろう。万が一『あれ』が見つかってしまったら一大事だ。部活には全く干渉してこない巣山先生といえども、そのときはきっと反応してしまうだろう。
あんなもの、拾わなければよかった。
最終更新:2014年11月14日 22:41