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薄暗いバーの中で、桐谷は語り始めた。堀さんは黙って聞く。俺も、聞く。どう考えても普通ではないこの話に着いていけずに黙っていただけかもしれない。
「君たちは16世紀に存在した北欧の魔女の子孫だ。魔女狩りっていう言葉は聞いたことはあるかい?」
世界史の授業で聞いたことがある。確か、悪魔と契約した、とかで、市民から迫害を受けたんだとか。実際に魔法を使うとかではなく、災害やら病気やらを彼らのせいにしていたらしいが。
「君たちの祖先は、本物だ。魔女と聞いて想像するものがあるはずだが、そのすべてを持っていた。魔法使いと考えてもいいだろう。ハリー・ポッターなんかがいい例だ」
杖を持ち、箒に跨り、帽子をかぶり、怪しい薬品を大きな鍋で作る、あれのことだろうか。
馬鹿な。馬鹿げている。
「信じられないよな、うん。俺だって別にそんな魔法使いを完全に信じているわけじゃないさ」
笑って、桐谷はジンジャーエールを飲む。そして、目つきが変わる。
「君たちは初代の魔女から数えて丁度13代目らしい。中世において、13という数字は忌み嫌われていてね。その数字の代である君たちは魔女の力を色濃く受け継いでいるんだ。覚醒とでも言うのかな」
桐谷は続ける。
「魔女の力は強力だ。初代の魔女は神聖ローマ帝国を裏から操り、ヨーロッパ・アジアを全て支配下においていた。表には出てこないものの、各国の王たちはみな彼らに恐れをなしていたらしい」
「そのとき、日本は?」
堀さんが尋ねる。
「そう、そこで問題が起きてしまったんだ。当時、魔女たちは日本の存在をもちろん知っていた。支配下に置こうとして、日本に来たんだ。日本はそのとき、江戸時代に入り安定していた。が、その安定を影で支えていたものたちがいたんだ」
江戸時代といえば、基本的には徳川将軍が代々治めていたと思うのだが。
「当時の日本を支えていた徳川家を操っていたのは、古代奈良・平安からその力を示していた、陰陽師だ。安倍清明や蘆屋道満など、聞いたことがあるだろう」
漫画と映画では確かに聞いたことがあるが。
「で、日本を裏から支配していた陰陽師・安倍清明の子孫と、魔女が対立した。そして、戦った。結果、魔女を退けたのは陰陽師だ。だが、魔女は魔法を使い、その血を残した。それが、お前たちの祖先だ」
これを信じる人間がいるのか。
俺はこれを信じなければいけないのか。
どういう反応をすればいいのか。
分からなかった。
最終更新:2014年11月14日 23:00