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第三話


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 目を覚ます。ゴウンゴウンという音。揺れる地面。ニュースのアナウンス。私はどうやら車の後部座席で寝ていたようだった。
 清潔感のある大きな車だ。窓の外では頻繁に車と行き違っている。高速道路のようだ。
 「おや、お目覚めかな。堀さん、具合はどう?」
桐谷さんが運転しているらしい。バックミラー越しに目が合った。
「……具合は悪くない。だけど、ここは?」
そして、思い出す。この男は私の首に注射器を刺し、何かを流し込んだ。
「うーん、高速道路さ。今は熱海の近くさ」
「何してるんですか?」
「護送中」

 どうやら一つ前の座席では尾島が寝ているらしい。お互い傷はつけられていない。この男は私たちを殺すつもりはないらしい。

 「次は行先を聞きたいって顔をしているね。そうだなぁ、京都だ。何をしに行くかって?陰陽師の本家へ行くのさ」
 この男、何を言っている?桐谷の供述と私の記憶と理解が正しければ、私と尾島は魔女であり、陰陽家は宿敵のはず。
「君の頭のイメージはこうだろうな。“陰陽家と魔女の一族は敵対している。なぜなら遠い昔争ったから”。だが、違うぞ。誤解はよくない。陰陽家と魔女の一族の話は昔話。それを現在の情勢で考えるな」
「陰陽家と魔女家が敵同士でないのはわかりましたが、なぜ、その陰陽家の本家へ?」
桐谷はにやにやしながら答えた。
 「魔法使いが現在、世界に存在すると思うかい?」
桐谷はさらに続ける。
 「昔、君の祖先は日本の陰陽師に敗れ、死んだ。消滅した。なのに、なぜ、どのように、その魔法を後世に伝えた?」
桐谷はさらに続ける。
 「伝えられるわけがないさ。だって死んじゃったんだもん。だが、ここで問題だ」

 「魔女と陰陽家の戦い、そこで生き残った方の能力は伝わったのでしょうか」

 「そういうことさ。あとは自分で考えなよ」

 魔女の一族は陰陽家との戦いののち、消滅した。ように見えたが実は生き残り、13代目の私たちの代で覚醒した。
 陰陽家の一族は魔女との戦いののち、生き残っている。現在も、京都で。その術を使って。

 「うーん、どうやら頭の中で整理がついたって顔だね。やっぱり君は頭がキレる」
「陰陽家が敵ではなく、さらに現在も術を使用できるということはわかりました」
私はてっきり、陰陽家に命を狙われていると勘違いしていた。巣山先生の件もだ。だが、冷静に考えればおかしかったのか。
 「それで、京都へ行って、陰陽師の元を訪れ、それからどうするのですか」
「鍛えてもらおうかなって思ってるよ」
 …………。いまいちこの男との会話はよくわからない。

最終更新:2014年11月14日 23:03