17ページ目
結局、車の中で揺られながらいろいろなことを考えていた。
第一に、世間体。いきなり私が連れ去られたという状況を見て、家族はどういう行動をとるのだろうか。きっと警察に連絡して、行方不明者のおたずねニュースになるだろうな。
妹の咲はどうするだろう。いつものように私を無視し、避けるだろうか。それとも。
「ふー。やーっと着いた!ぐがー!!疲れた!金があれば新幹線で来たのに!!」
大きな声で目を覚ました。日がすっかり暮れている。携帯電話の時計では午前3時過ぎ。
「……どこ?」
目の前に広がるのは森。というよりは山だろうか。
「安倍清明の隠れ里。動く山とも呼ばれている」
車を降りるように促され、ドアを開けようとして気が付いた。
尾島陽介が消えていた。
「尾島はどこ?」
「途中で降ろした。気分が悪いと言い出してね。仕方なく病院で手当てを受けてもらっている。なにせ、俺は医者じゃない。俺には治療なんてできないからね」
この山に入ってからは真剣な顔で歩いている桐谷の顔が、少し笑っているように見えた気がした。
「歩きながらざっと説明しちゃうよ。一回しか言わない」
「この山には現在俺たちを除いて5人いる。一人は現在当主・99代目安倍清明。そして次期当主の土御門総悟。総悟の母親、弥里(みさと)。そして、安倍家の家来が二人。名前は忘れた」
……忘れたって…………それ。
最終更新:2014年11月14日 23:05