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「さて、俺の仕事を提供してもらおうじゃねぇか」
コードネーム“アジタート”を持つ男は机を指先で叩いた。
「今回はこいつを捕まえてくれ」
「……捕まえるゥ?」
男が差し出した写真には、枝毛一つと無い綺麗な金髪のロングヘアーの女性が写っている。生で見たらどう足掻いても振り返ってしまうほどの魅了を写真からでさえも醸し出すが、アジタートにとってそんな事はどうでもよかった。道端に死んでいる蝉の死骸よりも興味が惹かれない。
アジタートに興味があったのは仕事の内容だ。殺し屋とさして変わらぬ仕事を熟してきたアジタートだったが、「捕まえてくれ」という仕事は之までに無かった。
「そうだ。この女は能力を持っている訳じゃないし、いたって健全な女子高生だ」
「ま、そォんな奴を殺したかねえしな」
つまらなそうに頬杖をつく。
証拠は処分しなければならないので、アジタートは写真をくしゃくしゃに丸めて飲み込んだ。
「ま、アイザック様にも何か意図があるに違いない。頼んだよ」
男は彼に諭すように言った。
さて、場所は変わってアイザック・セフィウス達はとある場所にいた。
「……どうやらリテヌートが死んだらしい」
男――成峰(なるみね)はアイザックに言う。それを聞いたアイザックは表情を変えずに、
「そうですか、そりゃ残念!」
「……」
成峰は報告だけすると、一礼してアイザックの部屋から出ていった。
廊下はあの部屋とは違い、まだ寒さを含んだオホーツクの4月を物語っている。
――もっとも、サイボーグとしてアイザックに蘇生されてからは寒さもあまり感じなくなったが。
「……」
アイザックは部屋の中で、“男”が所持していたのと同じ、金髪ロングヘアーの女性の写真を見つめていた。
そういう時でさえ、何を考えているかわからないような満面の笑みを張り付けていた。周りに人がいようがいなかろうが張り付けはしておくのだ。
そしてその張り付いた笑顔のまま、写真を狂ったように引き裂きはじめた。
最終更新:2014年11月18日 23:23