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直江はパソコンを立ち上げ、ポケガイのお話掲示板を開いた。
予想通り、単純所持禁止法の事で持ちきりだった。
「やはり・・・。」
直江は呟きながらセールのスレを開いた。
そこにはセールの悲痛な叫びが綴られていた。

「何故政府はヲタクを迫害するんだ。俺達は生き甲斐を失った。俺達はヲタクと言う事だけで殺されるんだ。阿宗や副田のわがままによって犠牲になるんだ。あ〜あ、生まれて来るんじゃなかったな。朝のニュースを見たらゲームも全部規制するそうだ。もう世も末だな。じゃあな、俺は自殺する。短い人生だった。政府の手に掛かるくらいなら俺は自分で死ぬよ。皆今まで有り難う。」
全部読み終わった直江の頬には多量の涙が伝っていた。
「馬鹿野郎!こんな・・・・・・こん・・・な・・!ウワァァァァァー!」
誰も居ない静かな部屋で直江は一人大声上げて泣き出した。

泣きやんだ直江はハッとなった。
「こうしちゃいられねぇ!まだセールは死んでねぇよな!?」
直江は慌ててセールに電話をかけた。
「もしもし!?おいセール!直江だ!生きてんだろうな!?」
心配した直江は強い口調でセールを呼ぶ。
「まだ・・・・・・生きてるよ・・・。」
「馬鹿野郎!何で自分から死のうとするんだよ!」
直江は昨日の自分の発言を棚に上げて怒鳴った。
「お前だって昨日死んだ方が・・・って言ってたろうが・・・。」
力の抜けたセールの返事が返ってくる。
「俺は決めた!政府に抗う!どうせ殺されるんなら犯罪なんて恐れない!」
「馬鹿か?政府軍は全国で30万は居るんだぞ?それに全国のヲタ共は臆病でデモも起こさず塞ぎ込んでいる!お前一人で何が出来る?」
セールは絶望した顔で問う。
「誰かが決起すれば皆呼応する筈だ。誰かがやらなきゃいけないんだ。なら・・・俺がやる!お前も死ぬ前に俺に命預けろ!」
「え・・・・ちょ・・・・待て直江!」
ブチッ!電話が切れた。

直江は朝のニュース番組を見ていた。
アニメと歴史番組しか見ない筈だがこの一大事となって世の中の動きが不安でたまらない直江だった。
阿宗総理が出てきた。どうやら記者会見を行ってる様だ。マスコミに囲まれコメントをしていた。
「え〜。目を覆うばかりのヲタク文化と不健全な青少年を育成する社会を破壊する為に、ギャルゲーは勿論、ゲームと言うゲームを撤去する事に決まりました。」
ボゴッ!直江は拳を壁に思い切りぶつけた。
「己下劣で非道な政府めー・・・・・許さん!この手で潰してやる!」
直江は烈火の如く怒った。もう我慢の限界だった。
非リア充である直江にとってゲームとアニメが人生の全てだった。それを除去されるとあらばもう生きてても意味が無い。
「こうなったらまず行動だ!人を集めるぞ!」
直江はパソコンの所に戻りキーボードをカタカタ打ち始めた。

最終更新:2015年10月07日 23:34