第五話「重鎮の帰還」
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その頃成田空港では、韓国で開かれたサミットに参加した阿宗、副田、阿倍が飛行機で日本に帰還していた。
「長旅、お疲れさまです。」
直江達の国会襲撃事件で運良く早く逃れた古泉純三郎とその秘書や官僚が空港内で出迎えた。
「古泉さん。出迎え有り難うございます。私達が居ない間、日本に変わりありませんでしたか?」
阿宗次郎が古泉に笑顔で聞く。古泉は真っ青になった。ヲタク軍の反乱についてどう説明するか迷ったのである。
「ん?どうしました?古泉さん、顔色が優れませんね。」
副田高男が古泉の顔色が悪い事に気づき、労りの声をかけた。
「実は・・・とっても悪い知らせが・・・あります。」
古泉は震えながら口を動かした。唇が色を失っている。
「・・・・・・まあ話はホテルで休みながらでも出来ます。まずは皆さん、旅の疲れを癒しましょう。」
張り詰めた空気を何とかしようと阿倍が提案した。
「ホテルの予約を取ってあります。私共がご案内仕ります。」
官僚の一人が案内を承った。一行は近くのホテルに向かって空港を後にして黒塗りの車に乗った。
「今日はホテルに泊まり、明日、国会に帰る予定です。」
此処は車内。何も知らない官僚は冷房の効いた涼しい部屋で阿宗と副田に説明する。古泉も乗っていた。
阿倍は別の車に乗っている。
古泉は再び顔が真っ青になった。ヲタク軍が国会で反乱を起こして森悪郎元首相を殺害した事を阿倍、阿宗、副田は知らない。
古泉は早く逃げた為、その後の国会外の戦闘や橋上龍次郎の死、国会建物倒壊については一切知らなかった。
だが、この事が知れたら自分は責任を負わされるだろう。何故自分だけ逃げて生き延びたのだ、と。そして酷い場合は政界から追放されるかもしれない。
そんな恐怖と罪悪感で古泉はいっぱいだった。
「古泉さん、ホテルに着いたら何が起こったかは分かりませんが、全て話して貰いますよ。」
阿宗が厳しい顔で古泉を脅す様に言った。
古泉は
「は、はい・・・。」
と答えるしかなかった。
自分が言わなくてもニュースで報道される。どっちにしろ自分の立場は危うい、と悟った古泉であった。
最終更新:2015年10月07日 23:55