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「クソッ…」

瞬歩で王都を逃れた少年は、王都から森林を隔てて離れた街に足を踏み入れていた。

途中、あの女騎士が通報したのか騎士団の追っ手が追いかけてきたが振り切った。力を使って始末すれば目立ってしまい、居場所が知られてしまうからである。

少年は全身から血を流し、いつの間にか足を引きずっていた。

「油断した…これ程とはな…」

息を切らしながら獣人を思い出す。女騎士は少年にしてみれば口程にも無かったが、獣人の力は相当のものであった。現に少年は深傷を負わされている。

「あの獣人、死んだか?いや、分からない。死ぬのを確かめる前に王都を飛び出したからな。だが普通なら生きてはいまい…あくまで普通ならだが…」

そんな独り言を呟いている内に悲鳴が聞こえた。高い女の声である。

少年の足は悲鳴がした方向へ無意識に進んでいた。

街の南へ出ると、黒長髪のゴスロリ服に身を包んだ杖を持った少女が仮面を顔に被った男に押し倒されていた。

「グヘヘヘヘ あの娘には劣るけどこれは上玉だなぁオイ!」

仮面の男が少女の服を脱がそうと手をかける。

「何をしている。」

「あぁ!?」

少年に気付いた男は仮面に覆われた顔を此方に向ける。

「見ての通り、上玉を見つけたんでこれからお楽しみの時間ってところだ!そうだ、お前もどうだ?!俺のお古で良ければな!」

押し倒された少女は恐怖に震え涙を流している。

「その女を放してやれ。」

「てめえ邪魔しに来たのかよ!せっかくこれからお楽しみなのによぉ!俺は不機嫌になったぜ!死んで償ってもらうぜ!」

そう言うなり、男の口から赤い霊圧の塊が一直線のビームになって放たれた。

「虚閃(セロ)か。だが威力はその程度か。」

少年も顔に手を翳して仮面を出現させ、少年の掌から青い虚閃が放たれ、瞬く間に赤い虚閃を掻き消して男の上半身を消し飛ばした。

「さっきの獣人が強かっただけに拍子抜けだな。」

仮面を解除すると地面に膝をつく。

「初日だというのに力を使い過ぎたか。まだ体が強過ぎる霊圧に慣れてないようだ。もう動けん…。」

最終更新:2016年10月12日 00:08