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街の中心にある宿泊施設の一室でテーブルを挟んで向かい合う。

「砕けろ 鏡花水月」

少年が斬魄刀の始解を解除すると、少女から見て青いスーツに身を包んだ茶髪の男から元の姿に戻った。

「これで受付の男を完全催眠にかけて姿を偽り、紙切れを身分証に見せてこの部屋に入った。」

少年が刀を鞘に収める。

「貴方は俺のことは問題無いと言いますし受付ではヒヤヒヤしましたけどそういう能力だったんですね。それで何で追われているんですか?」

少女の質問を受けて少年はこの世界で目覚めてから今までのことを洗いざらい話した。

「ガルガイド王国騎士団の団長とあの《狼-フェンリル-》を!?」

少女が思わず声を大きくする。目は見開いている。

「団長とやらは大したことなかったがあの狼男は強かった。仕留められたかどうかも分からん。フェンリルとは?」

「その狼男のことです。フェンリルとは彼の二つ名です。巨大な氷の魔力と非常に素早い動きで敵を凍らせ切り裂く彼は王国騎士団最強の騎士です。この世界で彼に敵う人なんて…話だけならにわかに信じられません。」

「さっきの虚閃を見ただろう。」

「セロ…?あの青いビームのことですか。確かにあの威力なら納得いきますね。」

少年の虚閃は少女を襲っていた男の上半身を消し飛ばし、その先にある巨大な崖を消滅させていた。

「まだ力が体に馴染んでないから本来の威力を発揮できないが、あれで分かっただろう。」

「では貴方は突然この世界にやってきた異世界人で、とても強いけど力が不安定で奇抜な格好をした正体不明の不審者で、団長とフェンリルを瀕死にして逃げてきた人なんですね?!」

少女がテーブルに手を力強く叩きつけて立ち上がる。

「不審者…。フェンリルは瀕死かどうか分からん。だが雷霆の槍を食らって無事ということは無いだろう。それと何度も言うが団長は弱かった。」

少年が手を上げて下げるジェスチャーをする。座れという意味だろう。

「あの団長はとても強いんです。正確には王国の第二騎士団の団長ですが。騎士団は全部で5つあり、第二騎士団はその中でも精鋭揃いなんですよ?代々王国の騎士を務めてきた名門の家柄で、その中でもあの団長は有数の実力者、数世代に1人とまで言われています。」

最終更新:2016年10月12日 00:09