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「上手く蒔きましたね。」
少女は息を切らしている。騎士団を蒔く為にもう3kgは走った。運動に向いていない服を着ている彼女は特に辛そうな様子だ。
「実は瞬歩や響転(ソニード)、飛廉脚やブリンガーライトと言った高等移動手段がある。」
「何故それを使わないんですか!」
散々走る羽目になった挙句に後でそんなことを言われても納得がいかないのは道理であった。
「昨日も言ったがこの世界に来てまだ2日目だ。力が…霊圧が体に馴染むのに時間がかかるらしい。出来ればあまり乱発したくない。」
生前は全く体力など無かったのに今では長距離を走っても平気な自分に驚いていた。
「なら言う必要無かったですよね?」
息を切らしながら少女が言葉に怒気を含める。
「まあ、そうだな。それより見えてきたぞ。あれがグリーン王国の国門ではないか?」
王都らしい優雅な街並みがその目に映る。街ごと囲んでいる城壁に、門は備え付けられている。大きな鋼の門の前には緑色の甲冑に身を包んだ騎士が2人、槍を構えて立っている。
「ようやく着いたようだな。」
2人が国門の前まで辿り着くと門番の騎士が槍をお互いにクロスさせて阻む。
「身分証を提示していただく。」
騎士の1人が手を差し出す。少女はそれに従いスカートのポケットから身分証を取り出して騎士に渡す。
「ふん、成る程な。通って良し!次!」
騎士が身分証を確認して少女に返すと今度は少年の方へ手を伸ばす。
「わけあって身分証は持っていない。」
「何?なら通すわけには行かないな。」
「あ、あの。少し宜しいですか?」
門番とのやり取りの後に少女が割り込んでくる。
「私、国王陛下の側近・ぐり~ん2号様の御婦人と面識があります。御婦人に取り合っていただけないでしょうか。」
「何?ぐり~ん2号様だと?ちょっと待て。」
ぐり~ん2号という名を聞くなり、騎士の態度が変わり、魔力による通信無線で話し始める。
「あ、はい。カクカクシカジカでございまして。ええ。承知致しました。」
騎士は通信を終えると「お前も通っていいぞ。」と言って門を開けた。
最終更新:2016年10月12日 00:14