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「お帰りなさいませ、ご主人様。」

大きな庭を持つ青い建造物である豪邸の扉を開けると青髪ショートのメイドが水素を出迎える。

「レイラ、客人だ。茶の用意を頼む。」

レイラと呼ばれたメイドは「ようこそおいで下さいました、お客様」という言葉と共に笑顔で一礼するとその場を去る。

階段を登り二階に上がると一室に通される。恐らく客間だろう。

「メイドが居るのか。快適な生活を送ってるようだな。」

「可愛かっただろ?やっぱ二次元の女の子は癒しだよな。」

ソファーに腰をかけながら水素は少年にも促す。少年もそれに従う。

「それで、この世界は一体なんなんだ?」

少年が昨日目覚めてからずっと疑問に思っていたことを切り出す。

「お前はまだこの世界に来たばかりのようだな。この世界は死後の二次元世界だ。だが死んだら誰でも行き着くわけではない。」

「どういうことだ?」

「この世界、どうやら死んで行き着くのは生前のポケガイ民だけのようだ。それ以外のこの世界の人間は元々この世界で生きてる人間達だ。」

「失礼致します。」

レイラが紅茶と菓子を用意して部屋に入ってくる。それらをテーブルに置くと「ごゆっくりどうぞ。」と一礼して部屋を出ていった。水素は「いつもありがとう。」と声をかける。

「しかも生前望んだ力なり地位なり容姿なりが大体の奴に備わってるようだぜ?お前も某漫画の技を使えただろ?その刀もその証拠だしな。」

紅茶を啜りながら水素が説明する。

「成る程。ようやく得心出来たぞ。ならお前にも能力があるのか?」

少年は出された茶菓子に手をつける。

「いや、それが無いんだなーこれが。特殊な能力なんてなーんも無い。」

「そうか。お前はハズレを引いてしまったのか…。」

少年が気の毒そうに水素を見やる。だが水素は落ち込むどころか笑っていた。

「まあ特殊な能力は無いがこっちの世界は楽しいぞ。お前は大変なことになってるようだな。」

水素は茶菓子を摘むと口に頬張る。

「目覚めたらガルドリアに居て女騎士に絡まれた。鬼道で黙らせてトドメを刺そうとしたら狼男が現れて虚と死神の力を駆使して戦った後に、まだ力が体に馴染んでいないことを感じてガルガイド領から逃げて此処まで来た。そしたら指名手配されていた。」

遠慮も無く少年はケーキを一気に口に運ぶ。

「それは災難だったな。だが此処に居るってことはぐり~んはお前を歓迎したんだろ?暫くはグリーン王国から出ないで暮らすんだな。」

「ああ。望んだ力と容姿を与えられた代わりにこの世界には酷い歓迎を受けた。」

紅茶を啜る音が部屋中に響き渡る。

「せっかくだ。この世界の説明を一通りお前にしてやろう。」

「まだ何かあるのか?」

少年は紅茶を飲み干すとカップをテーブルに置く。

最終更新:2016年10月12日 00:20