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家への夜道を水素と歩いていると、正面に人影が浮かんでいる。此処はグリーン城の城下町なので夜でも人が大勢居ても不思議ではないのだがその人影は此方を向いたまま動かない。

「おい、誰だてめえ。」

水素が違和感を感じて人影に詰め寄る。

「その問いには名ではなくまずは力で答えよう。だが此処では人や家屋が多過ぎて戦うには不都合だ。ついて来い。」

人影は此方が近づくに連れて徐々に姿を露わにしていく。赤い鎧に青い上下の衣服、青いサンダルのような履物、右目は生前よく見た黒い文様が浮かんだ紫と赤の瞳である。

「水素、無視しよう。今は面倒だ。それにお前は能力が無い。挑発に乗るな。こいつはヤバい。」

水素の肩に手をかけて制止するも水素はそれを振り切る。

「止めんなよ?久々に楽しめそうな相手に出会えたんだ。こいつは俺が相手する。お前は今の内に帰れ。」

「能力も無いのにどう戦うつもりだ?あいつを見ろ。あれは万華鏡写輪眼と輪廻眼だぞ。お前では無理だ。」

「心配すんな。おいお前、場所を変えるとか言ったな。さっさと案内しろ。」

少年の制止も聞かずに水素は目の前の男の挑発に答える。

「俺が戦いたいのはそこの尋常ならざる霊圧を持ってる黒尽くめの男なんだがな。お前からは霊圧もチャクラも魔力も気も何も感じない。お前に興味は無い。失せろ。」

男は水素をあしらうように答える。

「おい、喧嘩売っといて逃げる気か?もしかして俺にビビってんのか?」

水素は挑発に出るが、男は動じた様子は見せずに数秒間瞑目する。

「いいだろう。そこの黒尽くめより先にお前を前座として葬ってやる。ついて来い。」

男はそう言うと建造物に飛び移って素早く移動を始める。忍者らしい身のこなしだ。

水素はその速さに平然とついていく。能力は無いと言っていたが身体能力は非常に高いようだ。

「仕方ない。このまま帰るわけにも行かないだろう。」

少年はその後を瞬歩で追う。暫くすると城下町の中心にある巨大なドーム状の建造物に辿り着いた。

「此処はコロッセウムと言ってな。この世界で昔剣奴同士が殺し合いをさせられる民衆の娯楽の場だったようだ。今は催し物や決闘に使われるらしいが今夜は誰も居ない。此処なら戦いの場に相応しいだろう。」

そう言うと男は入り口からコロッセウムの中に消えた。水素と少年もその後に続く。

最終更新:2016年10月12日 00:22