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「本当に大丈夫なのか?」

コロッセウムのフィールドに3人の男が立っている。少年は心配そうに水素に確かめる。

「お前はフィールドの外に出ろ。一番上の観客席で俺の勇姿でも見てるんだな。」

水素は余裕を崩さない。能力も無いのに何を考えているのだろうか。

「俺は何度も止めたからな。だが危ないと思ったら助けに入る。」

「手出しはすんな。お前は見てるだけでいい。」

運動能力が高いだけで随分な自信だなと呆れつつ瞬歩で観客席に移動する。無論水素の言葉など信じていない。危険だと感じたら自分が忍者男と戦うつもりだ。

「話は終わったか?」

忍者男がフィールドの西に立つ。水素も東に立って相対する。

「ああ。さっさと来いよ。俺に喧嘩売ったことを後悔させてやるぜ。」

水素がシュッシュッとボクサーの真似事をすると身構える。

「ほざけ。お前は前座だ。さっさと殺してやる。」

忍者男が術の印を結ぶ。

「火遁・豪火滅却」

印を結んだ男の口から火炎が発射される。火の海となりフィールドを覆い尽くし、水素を飲み込む。

「いきなり豪火滅却か。まずいな。」

能力の無い水素に容赦が無いところを見た少年は初撃だからと止めに入らなかったのを後悔したが、それは杞憂だった。火炎を振り払った無傷の水素が出てきたからである。

「いやー、あったけえな今の。で、これで終わりか?」

「馬鹿な…!豪火滅却が効いていないだと…!貴様何者だ!」

「趣味でヒーローをやっている者だ。」

水素が勢いをつけて地面を蹴って忍者男目掛けて跳躍する。その反動でフィールドに衝撃波が発生する。

「須佐能乎!」

忍者男の万華鏡写輪眼の力で忍者男を覆う青色のチャクラの巨人が現れる。だがその須佐能乎は水素のパンチで容易く破壊された。

「普通のパンチ」

水素の拳が忍者男の腹部に炸裂する。鈍い音を立てて忍者男がフィールドの隅に吹っ飛ばされ、スタントが破壊される。

最終更新:2016年10月12日 00:23