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「おいお前ら、パーティメンバーを探してんのか?」
2人に声をかける男が居た。黒色で女かと思うくらい髪を伸ばした痩身の整った顔立ちで、何故か学ランを着ている男である。年齢は2人と近いように見えた。
「そうだが、お前ランクは?」
水素が男に問う。
「それは答えないでおこう。だが少なくともB以上だ。さっきお前らの話を聞いてたんだぜ。国王直々の命を受けた任務とは面白い。俺も混ぜろ。」
「どうする?信用出来るか?」
男の言葉を聞くなり、李信が水素に確かめる。
「今はとりあえず頭数を揃えなきゃいけない。それに本来なら俺1人で十分なクエストだ。頭数さえ揃えば何でもいい。おいお前、入っていいぞ。」
「よっしゃあ!暴れまくるぜ!俺は星屑っていうんだ。宜しくな!」
水素の許可で星屑のパーティ加入が決まった。
「星屑だと?お前もこの世界に来てたのか。俺は水素、んでこいつはちょく…直江だ。」
思わぬ知己との再会に胸からこみ上げるものが出てくる。
「おお!お前らマジで水素と直江かよ!久しぶりだなー姿が変わってるから全然分からなかったぜ!」
星屑も再会を喜ぶ。
「久しぶりだな星屑。共に戦えて嬉しいぞ。」
李信も星屑との再会に湧き上がる。
「直江ー、お前のことだから能力はどうせあの漫画のやつだろ?チートスペックじゃねえか。」
「お前の能力も大体予想がつくがな。」
「再会を喜ぶのもいいがあと1人頭数を揃えなきゃならんぞ。」
水素が用紙を左手に持ちながら切り出す。
「でもBランク以上なんて中々居ないぜ?元々この世界の住人となると更に限られてくるしなー。」
星屑がそれに答える。
「それでも見つけなきゃいけないんだよ。国王の命令だからな。」
水素が辺りを見回して探すが、他の連中はもうクエストに向かったのか先程とは打って変わって集会所は空いていた。
水素は一際目立っている人物に目をつける。ブツブツと独り言を呟いている。
「この世界には敦子たん似の子はいねえなあ。クソッ何で俺は死んだ上にこんな世界に居るんだよ!」
「おいお前、多分小銭だろ?いや多分というか絶対小銭だよな?ランクを教えろ。」
水素が独り言を呟いていた男に近づいて声をかける。
「俺を知ってるとはお前ポケガイ民か?ランクは秘密だぜ!でも多分強いぜ!」
小銭は自信満々で答える。
「じゃあお前もパーティに入ってくれ。お前に拒否権は無い。決定だ。おいお前ら、頭数が揃ったぞ!」
水素か小銭の返答も聞かずに強引に用紙に小銭の名前を記入する。
「やっと揃ったか。これで始められるな。」
水素が用紙を受付の職員に提出すると、職員からの許可が下りる。職員から目的地の地図を手渡され、4人は集会所を後にした。
最終更新:2016年10月12日 00:29