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戦は、終わった。

グリーン軍の圧倒的勝利で幕を閉じたのである。ガルガイド軍は兵の過半数を失い、更に国王を討ち取られるという大敗北を喫した。

あの激戦から1日が経過していた。

グリーン軍を勝利に導いた男は、他の将兵と勝利の喜びに浸ることなく、病院の一室で生死の境を彷徨っていた。

「まさか勝ち戦の最大の立役者がね…。俺にクレイジーダイヤモンドが使えれば治せるんだが、全ての力を目覚めさせるにはまだ時間がかかる。」

星屑は水素、小銭と共に見舞いに来ていた。

「予め川の堤や油が用意されてとは言え、無い知恵絞って上手くやったな。意識を取り戻すといいんだが。」

「試合に勝って勝負に負けたってところだな。こいつ強いと思ってたんだが。」

水素の呟きに小銭が口を開く。

「相手が強過ぎたんじゃねえの?どんな奴かよく分からないけど。」

星屑が割って入る。

激戦で疲れ果てたエイジスは、木の枝を拾い杖代わりにしながら気力で足を前に前に進み、ボロボロの姿で明後日の午前2時過ぎに王都ガルドリアの隅の門に到着した。

「エイジス・リブレッシャーだ。門を開けてくれ。」

門番に身分証を提示すると門は開かれた。

「疲れた…早く家に…帰らないと…こんなところでは寝られない!」

激戦を制してここまで歩いてきた体が疲労の限界を迎え、意識が朦朧とする。

「もう…駄目だ」

気力だけで立って歩いていた体が俯せに倒れようとした時である。何者かがエイジスの体を抱き抱えた。

「あ、あれ?なんだろうこれ。凄く暖かい…。」

「良く…帰ってきたわね。」

エイジスが上を見上げると、帰りを待つと約束してくれた人の顔がそこにはあった。

「どうして…こんな遅くに

「ずっと待ってたわよ。私だけじゃないわ。」

横に振り向くと、いつも見慣れた少女が2人、涙を浮かべてエイジスを見ていた。

「この馬鹿!何でこんな無茶したのよ!」

リーナが駆け寄ってエイジスを抱き締める。

「だって…こうしなきゃ国もみんなも守れなかったんだ。だから俺は騎士として、男として全力で戦ったんだ。」

そして咲も目に浮かべた涙を溢れさせてエイジスに抱きつく。

「無事で本当に良かった!エイジス君に何かあったら私は!」

「本当よ?貴方、私の頬を張ったこと忘れてないでしょうね?」

「忘れてません。俺はどんな罰でも受けます。」

エイジスが蹌踉めく体を支えられながらエリスにしたあの時のことを思い出す。

「ちゃんと生きて帰って来てくれたから許すわ。これからも宜しく頼むわね。」

エリスの顔が柔和なものに変わる。

「はい!何処までも!」

「あーあ。何か妬けるわねー。見せつけてくれちゃってさ。私達も居るだけど。」

リーナが頬を膨らませて怒る。

「そうだよー。ちゃんと一緒に待ってた私達のことも忘れないでよね!」

「ごめんごめん、さあ帰ろうか。もうこれ以上歩けないや。」

2人に謝りつつ、エリスに肩を抱き抱えながら体を起こすエイジス。

しかし、王を失ったこの国が衰退するのは誰もが感じていた。ガルガイド王国をどう維持していくか、騎士達は新たな戦いの渦に巻き込まれることになる。

最終更新:2022年09月04日 16:11