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「今日は無理な頼みを聞いてくれてまずは礼を言う。」

翌日昼、グリーン王国領内のグリーン大砂漠に水素は李信に呼び出されていた。

「俺と手合わせしたいって?何でまたそんなことを。」

「思えば俺はこの世界に来てから戦績が芳しくない。先日もフェンリルに敗れた。だから今身近で最も強いお前と戦えば何か分かるかもしれん。あわよくば勝てるかもしれん。」

李信が腰の斬魄刀を抜いて上段に構える。

「成る程な。まあでも俺が本気出したらお前死ぬから。加減はするがせいぜい楽しませてくれよな。」

水素が右肩を回しながら歩いて李信と距離を取る。

「行くぞ水素!」

「散れ 千本桜」

李信の斬魄刀が無数の桜色の花びらと舞い散り、水素に向かって波のように押し寄せていく。

千本桜が水素に覆い被さる前に水素は残像を作るほどの速さでその場から離れる。

「逃がさん!」

李信が顔に手を翳して虚(ホロウ)の仮面を被ると、瞬速で視界から消えた水素を再び目で追う。

「そこか!」

水素の姿を目で捉えた李信が瞬歩で水素に接近を図る。

「捉えたぞ!破道の九十六 一刀火葬」

自らの左腕を媒体に、刀身状の巨大な火柱が発生する。媒体となり失われた左腕は超速再生で修復された。

「これで少しは…」

言いかけたところで背後に気配を感じ、すぐさま瞬歩でかわした。

「中々いい攻撃だが俺には効かねえな。もっと力を出していいぞ!」

「縛道の六十一 六杖光牢」

李信が鬼道を放つが水素にはすぐに避けられてしまう。

「ならば」

「卍解 千本桜景厳」

李信が右手から斬魄刀を離すと地に吸い込まれ、李信の背後に無数の刀身が出現する。刀身は億を数える刃となり、花びらのように舞い散る。

「そんなもんを使っても俺には当たらないぜー。」

億の刃が水素を捉えたように見えてもそれは残像であった。水素はただただ高速で跳び回り花びらの固まりを避けていく。

(手掌で操れば 速度は2倍!)

李信は手掌で億の刃を操る。そして遂に水素の動きを捕捉した。

(捉えた!)

「吭景・千本桜景厳」

千本桜の億の刃が球形になり水素を取り囲み、一気に包み込む。

「何処見てんだ?」

気付かない内に背後に回った水素が振り向き様に李信の肩に触れる。

「はい俺の勝ちー!」

「破道の三十三 双火墜」

李信が左の掌から蒼炎の固まりを直線に飛ばすが水素の姿はすぐに視界から消えた

背後に水素の気配を感じて振り向くが、遅かった。水素の拳が李信の顔面を捉えていた。


李信の頭にその一字が浮かび上がった時、水素の拳は李信の顔面に命中する寸前で止まった。

「終わりだ!飯だ飯!うどん食いに行こうぜ!」

李信の肩を叩くと水素は歩き出した。

李信は水素のあまりの強さに呆然と立ち尽くす。後ろを振り返ると、水素が先程寸止めしたパンチの衝撃波で砂漠の砂が大きく抉れていた。

「この力を手に入れた俺ですら手も足も出ないこの強さ…やはり上には上が居るのか…。」

「どうしたのー?うどん嫌いなのー?」

水素が李信の方に振り返って早く来いと催促する。

「いや、うどんは好きだ。今行く。」

李信は歩き出す。圧倒的力をもってしても敵わない者が存在するということを思い知らされるのであった。

最終更新:2022年09月04日 16:13