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国王・桑田をグリーン王国との合戦で失ったガルガイド王国では、次期国王の座を巡り後継者争いが勃発しようとしていた。
桑田には実子はおらず2人の養子を迎えていた。隣国・ランドラ帝国の皇族から迎えたサバと、桑田の甥であるかっしーである。
順当にいけば次期国王には王の血族であるかっしーが就任する筈である。しかしサバの後ろにはランドラ帝国があり、サバは桑田の娘であるルイを娶って娘婿となり、サバの勢力は無視出来ないものになっていた。
ガルガイド王国はサバ派とかっしー派に分かれて対立し、真っ二つに割れようとしているのである。
「なあエイジス。お前はサバ様とかっしー様どちらが次期国王に相応しいと思う?」
この日、エイジス宅にはエイジスの同僚であるリキッドが訪ねてきていた。リキッドは実力はあるものの、先日のグリーン王国との合戦の時にはランドラ帝国との国境を警備しており、参加していなかった。
「俺はかっしー様だな。サバ様はお人柄が良くない。傲慢で臣や民を顧みず、自分のことしか考えていない。」
エイジスが憚りもなくはっきりと答えた。
「俺もそう思う。だがサバ様にはランドラ帝国がついてるし、あの男が居るからな。」
リキッドは脳裏にある男の顔を浮かべていた。
その男とは、ただのハンターである。王国最強の騎士であるエイジスと互角の実力を持つとされ、第六騎士団が新設されるとその団長となった若き実力者であった。
「ただハンとランドラ帝国がついてる限り、かっしー様の王位継承は容易ではないな。」
エイジスが紅茶を啜りながらため息まじりに呟く。
「かっしー様は民からの信望も厚く篤実なお人柄だ。俺達の力で何としてもかっしー様を王位につけなければならん!」
力強くリキッドが主張する。
「しかし、また戦か。グリーン王国に敗れて多くの将兵を失った今、戦をしたらグリーン王国やランドラ帝国に付けいられるぞ。」
「どのみちランドラ帝国とは戦になるだろう。サバ様を王位に就ける為に既に戦支度を始めてるという噂もある。しかしグリーン王国の存在は厄介だな。」
リキッドとエイジスは、この国を取り巻く状況が逼迫していることを改めて思い、頭を抱えていた。
暫く唸った後にリキッドが口を開いた。
「いっそのこと、グリーン王国と和議を結ぶのはどうだろうか?」
「それは…ありえない!」
突然エイジスが机を強く叩いて立ち上がった。
「私怨か?」
「!」
リキッドに図星を突かれたエイジスが一瞬黙る。
「お前は戦いに参加してないからそんなことが言えるんだリキッド!真っ黒野郎の命令の下、残酷な作戦で多くの仲間が焼け死んだり、岩に押し潰されて死んだんだぞ!それに国王は奴らに打ち取られた!絶対に奴らは許さない!」
「それが良くないぞエイジス。先に攻め込んだのはガルガイドの方だ。グリーンはそれから守ったにすぎない。それに私怨で国事を考えるな。過去ではなく未来を見ろ。ランドラとグリーンを両方敵に回して俺達は勝てるか?」
「…。」
激昂するエイジスをリキッドが宥めると、エイジスは再び口を閉じたまま黙り込む。そんなことは分かっているが、やはり割り切れない気持ちがエイジスにはあった。
「少し考えさせてくれ。」
暫くするとエイジスが言った。
「例え俺が待っても時は待ってくれない。大人になるんだな。ごちそうになった。」
そう言うとリキッドはエイジス宅を後にした。
最終更新:2022年09月04日 16:14