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その頃、エイジスは本丸に居るサバを目指して無数の敵兵を剣術や弓術で倒しながら突き進んでいた。
「よし、本丸まであと少し!サバの首は近いぜ!」
「待ちな!」
突然上から降って下りてくる人影があった。
「誰だお前!」
エイジスが人物の姿を確認する。黒いコート、黒いサングラス、長身、筋肉質。
「俺は赤牡丹。お前を止めに来たぜ!」
「赤牡丹?確か現実世界で直江さんと仲良かった二次元派のコテか。俺はエイジス又の名を氷河期。二次元派同士だろ?戦う理由なんて…」
「今は立場が違うんだよ甘ちゃん!アンタが氷河期だろうが敵は敵!全力で行くぜぇ!」
赤牡丹は掌に炎を溜める。
「第四波動!」
炎熱が固まりとなりエイジスに一直線に伸びる。
「輝く流星の矢(スターライトアロー)!」
エイジスが弓矢をつがえて精霊術を行使する。神秘の光を纏う矢が拡散して第四波動とぶつかり合い、光と炎が混じり合い爆発を起こす。
「話を聞いてもらえそうにはないな!」
「そうだ!此処を通りたいなら俺を倒すんだな!」
爆発した炎と光が消え、赤牡丹の姿が視認出来るようになる。
「輝く流星の矢(スターライトアロー)!」
赤牡丹が光の矢を展開してエイジスに向けて発射する。
「俺の技を!」
光の矢が拡散してエイジスに降りかかる。
エイジスのそれよりも大きな矢が、エイジスのそれよりも多くの矢に分裂して襲い掛かる。
「氷の壁(ジエロ・ムーロ)!」
エイジスは魔力で氷の壁を作り出して無数の矢を防いだ。矢は防いだが、氷の壁は打ち砕かれた。
「俺の技を俺が使う時以上の威力で…!」
エイジスが歯�筋みする。苦虫を潰したような表情である。
「俺の能力はポジティブフィードバックゼロ。一度見た能力や技をオリジナルよりも増幅して使える能力だ。アンタがいくら強くても勝ち目は無いぜ。」
赤牡丹が再びスターライトアローを出現させて放つ。
「なんだそのチート能力!反則だろ!」
「俺はアンタが勝った直江さん程甘くないぜ?あの人の能力も俺からすれば二流だな!」
拡散したスターライトアローがエイジスに降り注ぐも、氷の壁を出現させて再び防ぐ。
「第四波動!」
「エターナルフォースブリザード!」
エイジスの冷気の波動は炎熱の波動に打ち消された。
「氷の壁(ジ エロ・ムーロ)」
氷の壁を作り出して第四波動を防ごうと試みるが氷の壁に穴が開き、エイジスは波動の直撃を受けた。
「魔力による技や能力を使えば増幅コピーされる…ならば体術で勝負だ。」
鉄血転化による身体能力の大幅な上昇で赤牡丹に急接近する。
「お、体術勝負か?だがそうか簡単に近づけると思うなよ?」
赤牡丹が掌から巨大な火球を作り出す。
「ヴァルカンショックイグニション」
火球がエイジスに放たれる。エイジスはそれに突っ込んだ。
「避けずに突っ込むとは馬鹿な奴だ。…ん?」
エイジスが火球を突き抜けて赤牡丹に二本の小刀を突き出す。
「俺は肉弾戦やチャンバラは苦手なんでな。」
「リトルボーイ」
赤牡丹が右拳に爆炎を纏わせてエイジスの胸部を狙う。
「冷殺剣」
エイジスの小刀に魔力と冷気が宿る。二本の小刀は爆炎を切り裂いた。エイジスの刃が赤牡丹の喉元に迫ろうとする。
「カンガタストリング」
赤牡丹が寸前で指から無数の糸を作り出し、それを壁として刃を防ぐ。
「切れないだと!」
「この糸は神にしか切れない糸と言われている。お前の刃如きが通る筈も無い!」
最終更新:2022年09月04日 16:31