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連合軍首脳陣(と、場違いな厨二病野郎)の軍議が終わり、宵闇は益々濃くなる時間帯となった。明朝、このクワータリア城を出立することに決した。
自分に与えられた陣所に戻ると、水素とエイジスが居た。
「ど、どうも直江氏…。」
戻ってきた李信にエイジスが恐る恐る挨拶をする。
「…ああ。」
そう言うと李信は黙り込んだまま座った。
「お前らポケガイでは仲良かったじゃん。なんだこの空気は、参ったなー。」
水素がにぎり拳を作って額に当てるポーズをとる。
「と、言われてもつい先日本気で殺し合ったからな。」
李信はそう言うと握り飯を口に放り込む。エイジスはバツの悪そうな顔で俯向く。
「よし、俺が話そう!ちょく…直江、いいか?」
「勝手にしろ。」
水素に視線も向けずに二個目の握り飯を口に運ぶ李信。
「氷河期はこの二次元世界に来てガルガイド王国に拾われて騎士になったんだ。」
李信が陣所に戻るまでの間、水素はエイジスとすっかり打ち解けていた。水素は話を続ける。
「氷河期は騎士になるのが夢だったらしく、ガルガイド王国に忠誠を尽くして戦ってきた。この世界に来た時に得た理想の力を使ってな。」
水素の話を興味無さそうに聞きながら李信は黙って味噌汁を啜る。
「騎士になって配属された部隊で、氷河期は恋をしたんだ。その相手はお前も知ってる筈だがあの金髪の女騎士団長だ。」
「2度会ってるからな。1回目は直接戦闘して殺し損ねた。2度目はあのグリーンバレー国門戦だ。」
李信は味噌汁を飲み干してようやく口を開いた。相変わらず視線は他を向いている。
「その女騎士の為に命を懸けて氷河期はお前と戦った。好きな相手の為に命を懸ける。かっこいいじゃねえか。」
「で?」
李信の一言は場の空気を重くした。
「あの女はいきなり俺を逮捕しようとした。あの女も、それを庇って俺を殺そうとしたそこの男も同罪だ。」
李信が冷たく言い放った。まだ根に持っているらしい。エイジスは何も言えずに黙り込んでいる。
「氷河期もお前の正体を知らなかったんだしさ。あの女騎士もお前の事情を知らなかったんだ。もう許してやれよ。お前一度氷河期に負けたろうが。男なら負けを認めて…」
「2度目は負けたが1度目は勝った。」
「1度目はお互い本気じゃなかったらしいじゃねえか。ガチバトルで負けたのはお前だ。此処は潔くだな…。」
「お茶貰える?」
水素はエイジスと和解しろとしきりに説得を試みるが、李信は知ったことかと言わんばかりである。李信は近くの番兵にお茶を所望した。番兵がお茶を差し入れるとそれを一気に飲み干す。
「お前さあ、恋したことないだろ。」
暫くして再び水素が口を開いた。
「せっかく憧れの二次元世界に来て、二次元美少女も居るのにお前全く恋とかしてないだろ。」
「愛する女の為なら命も投げ打つ。お前の正体が分からないから氷河期は尚更命を懸けてお前を倒したんだ。お前も二次元信者なら分かるだろ?」
水素は続け様に言う。
「なあ直江氏、団長がアンタに謝罪すればいいのか?」
エイジスがようやく口を開いた。
「約束しろ。戦が終わったらあの女を俺の前に連れて来い。殺しはしない。謝罪の言葉が聞ければいい。」
李信が妥協案を出すと、エイジスの表情は晴れやかになる。
「分かった。だから仲直りしよう。」
エイジスが握手をしようと手を差し伸べる。李信はそれを黙って取った。
最終更新:2022年09月04日 16:33