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大独立日本帝国で、このオペレーションを知る人間はまだ少ない。しかし次の学年から、小学4年生の教科書から載る予定の重要な法案だ。それがBROPである。

それは数年前とも満たない、つい最近のことだ。国民は国の政治に無関心で、よもや知らない間に、とある法案が通されていることなど知るよしもなかった。政府は念入りにマスコミに圧力を掛け、メディアの一部からしか情報を得ようとしない国民は、真実を知る間もなく、この法案を施行されることになる。
来期から発効される独日帝国第3版百科事典から引用すると、BROPは次のような内容が見受けられる。

1.ネットにおける掲示板、チャットから、教育現場に使用される現実再現型バーチャルリアリティ。○○インダストリー開発。(以下中略)

2.我が国における教育再編計画と、軍事的視野における若者の戦闘教養および軍部防衛策の研究、考案を行うためのオペレーション。
正式名称『自己防衛力実験14判オペレーション』。2008年4月7日第一回仮施行開始。全国にある中学校の3年生のクラスの中から、毎年5回、各1回ごとに一クラスをランダムで選んで実施、生存方法や国民的防衛力の統計を行っている。
実験は現実の孤島や、BROP仮想空間内のどちらかで行われるが、現実で行う際には土地や環境配備が難しく、現在は仮想空間システムの発展と共に、BROP仮想空間内で行われることが多い。
施行内容は単純なもので、各学級内で生徒を互いに戦わせ、所要時間内でどれだけ生き残れるかなどを調べる。最後のひとりになるまで、所要時間を延長する場合もある。
最終生存者(優勝者)には障害の生活保障と、内閣総理大帝臣直筆の色紙が贈呈される。
このオペレーションは法案によって保護され、妨害、およびオペレーションへの強い批判を行った者には、懲役10年、罰金刑数百万、またはその場で死刑執行を行われる。

この法案が通された際の、未だ未発表の通常国会では、当時の総理大帝臣とその党派は、以下のような演説を行い、その様子がネットに流出したのは、まだ記憶に新しい。

「――いまや中国、そしてEU、露西亜までもが我が国を狙っているこの状況で、軍部の増強は急務であり、そのためには模擬的な実験を行わなければデータを取ることなど不可能で(中略)
……だからこそ、このオペレーションは必要なのです。確かに15歳の若き青年達の命が散っていくことに関しては、とても心が痛みます、しかし、彼らの命がこの帝国の満帆の行く末を似ない、我が民族がこれからも独立を維持していくことに役立つのならば、彼らの命はすべての国民の足下を支え、神の国の大地に永遠に語り継がれ(中略)
我が国には、数年前まで徴兵制はもはや、軍部さえ存在しませんでした。国を守るその矛先には、今でも専守防衛を行い、命を張って国を守っている彼ら志願兵達によって構成され、彼らは日夜最前線で危険を身にさらし、我々と国を守っているのです。
このオペレーションを、一種の、この大帝国における唯一の徴兵令と考えていただきたい。未だ世界に劣る此の国を守るためには――(後略)」

この内容が流出した際、一部過激派による暴動が相次いだが、政府はあくまで「現在の政治主導に対する身を持った抗議活動。最善を尽くして、国を良くしていく」と、あくまでオペレーションとは無関係だとして発表を行った。

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最終更新:2014年01月25日 21:32