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「危ない、美音ちゃん!」
突然翼が私に覆い被ってきた。
同時に、彼の頭上で爆発音が響く。
翼はすぐさま私の手を引きながらその場を離れた。
数秒後、先程私たちがいた場所に瓦礫が降り注いだ。
「・・・誰かが俺らの命を狙ってる。一端此処を離れよう」
「殺・・・される?」
思いも寄らぬ発言に動揺する。
組織に入ってから命に関わるかもしれないということは覚悟していた。
しかし、実際その場面に直面することで予想していなかった恐怖が私の心を埋め尽くしてくる。
再びビルに攻撃が当たった。
砂埃や瓦礫が辺りに散乱する。
今になって命が惜しくなった。
「やだ・・・死にたくない・・・」
声に出てしまった。
涙まで出てきた。
なんて情けないんだろう、私。
「死なせねーよ」
翼が言う。
「何処の馬の骨とも分からぬ野郎に殺されてたまるかよ・・・! 生きて帰るぞ、美音!」
彼は私の手を一層強く握った。
「泣いても良いさ。誰だって死ぬのは怖い。特に女の子はそーでねーと可愛くない」
いつの間にか私は翼に抱き締められていた。
「俺がお前を護るから。安心しろ」
その言葉は私にとってどれほど嬉しかったことか。
尚更涙が止まらなくなった。
「ありがとう」と言おうとしたとき、再び敵の攻撃がビルを襲った。
瓦礫や砂埃が頭上から迫る。
しかし、翼は逃げようとしない。
「もう逃げない。このままじゃ同じことを繰り返すだけだ」
言い終えた途端、頭上で鈍い音が響いた。
まるで金属と金属が擦れあうような。
「・・・エアームド、メタルブラスト」
私達を庇ってくれたのは翼のエアームドたった。
そして瓦礫がぶつかったというのに、その鋼の体には傷一つついていなかった。
そしてすぐに攻撃態勢に切り替える。
そのポケモンは鋼タイプ最強の技といっても過言ではないメタルブラストを前方に放った。
エアームドの放ったメタルブラストはビルとビルの間を駆け巡り、遠くで何かに当たって砕け散った。
「さっき攻撃が飛んできた方向にメタルブラストを撃ったが、見事に命中したな」
翼は私を連れ、メタルブラストが通過した砂埃の舞う細道を暫く歩くと、声を張り上げた。
「おい、ちょこまかと攻撃してねーで姿を見せたらどうだ?」
「・・・・・ククク! よくぞ見抜きましたね、と誉めておきましょうか」
その老人に近い人の声は意外と近距離にあった。
最終更新:2014年02月27日 19:48