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 8分前。
「ネジ。ポットンの居場所を特定した。あいつの端末のGPS信号をキャッチして画面に表示するようにしてある」
 星屑宅。呼び出されたネジはそれを聞き頷いた。
「タイムリミットは?」
「今から三時間三十分」
 辛そうな表情を浮かべながらポットンの位置を表示したスマートフォンをネジに渡す。
「……そういえばここはどこだ?」
 星屑は一瞬、躊躇った。
「愛知県だ……」
「そんな!」
「しかし大丈夫だ。問題ない」
 星屑は自らの黒色のスマートフォンを耳に当てている。電話をかけたのだ。
「俺の知り合いに、ジェット機を扱える奴がいる」
 ネジは大袈裟に驚いた。
「お前一体…!?」
「ま、友好関係が幅広い漁師ってことよ」
 星屑は自慢げにニヤリと笑う。
「そいつ、誰なんだ?」
「ポケガイ住民だよ」
 ネジは更に驚き、唾を飲む。
「誰なんだ?」

「ぐり~んだ」

 ネジは硬直した。
 あのぐり~ん。ド変態のぐり~ん。ジェット機で上空から何をやらかしているのか。
「お。ぐり~ん?」
 星屑は声の調子を上げた。
「なんだどうした?お前に興味は無いが」
「いや違う。頼みごとがある」
 星屑は一連の出来事を簡潔に説明した。
「……面倒な事は御免だ」
「頼む!人の命が懸かってるんだ!」
 星屑は必死に説得する。ネジは立っているのが疲れ椅子に座った。
「無理だ」
「お願いだ!」
「嫌だ!!」
「お前がやらないで誰がやる!!」
「絶対に嫌だ!!」
「あの事をポケガイにバラすぞ!!」

 ――――――――――――ということがあった。

最終更新:2014年01月06日 09:28