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 触れれば即殺。それだけだ。だが実際は一方通行の思い通りにはならない。

「あァ?」

 こちらへと突進してきていたはずの男の姿が、突然消え去ってしまったのだ。
 普通なら理解することも出来ないな現象だが学園都市内に限っていえばおかしいことでもない。
 あの男が能力者だとすれば姿を消すのも簡単なことだ。

 反射によって幻覚などは通用しないことから考えると、どうやら男の能力は『辺りの風景と一体化する』ものだろう、と一方通行は考える。

 しかし数秒後、彼は自分の推測が間違っていたことに気付く。男は消えていなかった。
 男は頭上――一方通行の真上を飛んでいた。

「ヒィィィィィィヤッフゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 背後からの奇声に思わず振り返る。
 そこには10032号を抱えた男の姿があった。
 だが一方通行は焦るような素振りを見せない。実際焦ってなどはいなかった。

 目にも止まらぬ速さ――男の能力が身体強化系だとすれば尚更一方通行には敵わない。
 いくら拳が硬かろうと、いくら突きが速かろうと、反射されれば自分へと返るのだ。
 しかも自ら触れてくれるのならその瞬間血流逆転で勝負は決する。

 だが超スピードで逃げられてしまうのだけは厄介だ。
 目で追えなかった以上、見失えば殺すことが難しくなる。
 ならばこちらから仕掛ければいい。足付近のベクトルを変換し、それこそまさに超スピードで男へ向かう。
 触れれば即殺。

「ヤッハー!」

 一方通行の手が触れるか触れないかで男の姿はまた消えた。
 今度は一方通行でも彼がどこへ行ったのかが分かった。

 飛んで――いや、跳んでいたのだ。
 男はジャンプをして一方通行をかわしていた。
 だとすればなんという常人離れした跳躍力だろうか。

 男の能力が身体強化系であることが一方通行の中で確信へと変わる。
 しかし、その確信は一瞬で消し飛ぶ。

「ハッ!」

 男は掌から炎の玉を発射し始めたのだ。

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最終更新:2014年03月13日 10:36