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 さっきの比ではない風圧が一方通行を襲う。
 まともに体勢を保つことすら出来ず、彼は進路とは逆方向に飛ばされる。まるで反射されたかのように。

 しかし彼がコンクリートや壁に叩きつけられてダメージを負うことはない。
 反射出来ないものは、あくまでマリオの繰り出す風のみ。
 咄嗟に空中でベクトル変換をし、すっと地面へ降り立つ。

「中々ビビッたが……それじゃァ俺を倒すこたァ出来ねェよ!」

 加速し、マリオへと突っ込む。速度はジェット機を遥かに凌駕する。
 普通の人間が生身でこの速度を出せば一瞬で身体がバラバラになるだろう。
 だが一方通行のベクトル変換ならば身体にかかる重圧、負荷さえも反射してしまえる。

 この速度なら風圧に押されることもない。
 一秒――いや、その百分の一にも満たない速さで一方通行がマリオへ触れるその瞬間。

「!?」

 マリオの姿が視界から消える。
 マリオはマントを持ったまま先程が違わぬ姿勢を保っていたはずだ。
 ならばどうして突然目の前から消えてしまうのか。
 ジャンプするにも間に合わなかったはずだ。

「オッホー!」

 〝背後〟から聞こえるマリオの声。
 そこで一方通行は異変に気がつく。目の前に広がる景色は、先程のそれとは違っていた。

 ここが、似たような建物がいくつも並ぶ廃工場でなければすぐに気がついただろう。
 一方通行はマリオのスーパーマントによって、自身の向きそのものを変えられてしまっていた。

「あッ……りえねェ!」

 一瞬で振り返る。そこにマリオの姿は無い。
 マリオは一方通行の頭上。真上へ跳んでいた。
 一方通行が気がつくよりも前にマリオが落下する。

 彼がマリオに気がついていれば、なんとも愚かに思っただろう。
 ベクトル変換を操る一方通行に対して物理攻撃、それも生身で触れることは即ち死を意味する。
 触れた瞬間に反射が発動し、身体がめちゃくちゃに曲がるのがオチだ。

 だが、もうマリオの動きを止める術は存在しない。
 マリオの靴が一方通行の頭へ触れる。

 触れる。

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最終更新:2014年03月13日 10:40