ファングはそう言うとすぐに自分のバトルに集中し、エイパムに指示を出そうと様子を見ていた。
相手のホーホーはいきなり催眠術を使ってきて、鈍いポケモンならすぐに当たってしまい眠ってしまうのだが、エイパムは今日の早朝に特訓したため、今までよりも更に早く動けるようになっていたので、催眠術など簡単にジャンプをしてかわしてしまった。
「よし、今だ! ひっかく!」
ジャンプでかわした瞬間ファングはエイパムに「ひっかく」の指示を出し、エイパムは言われるがままにホーホーの頭の上に尻尾からのひっかくを食らわせた。
ホーホーはその一撃で20mほど吹っ飛んでいき、戦闘不能の状態になっていた。
早朝に木を相手にして鍛え上げたひっかく、さらにその木を倒したのだからその威力は相当な物だったはず。
「よしっ!」
やっと敵を倒すことが出来た・・・とファングは感激していた。
ファングが一足先に片付けて後ろを見てみると、人参は絶好調のヌルヌルニョロモを使い、20秒後くらいに快勝していたが、一方
太太郎はかなり苦戦している。
ファングもヒンバスの使いにくさはゲームでやったことがあるので分かっている、苦戦しているのも無理は無い。
3分後くらいに、やっとたいあたりをホーホーにヒットさせ、これで全員バトルに勝利。
バトルが終わったらすぐにファングと人参は先へ先へと駆けて行ったが、バトルが終わったばかりの太太郎は息を切らしながら、少し休んでから2人の後を追った。
走ってから少し、ファングたちが先へ進んでいると、髭を生やした老人に会い、その老人が話しかけてきた。
「怪しげなアジトの者に気をつけろ・・・」
ファング達は何を言っているのかさっぱり分からなく、その言葉を無視して走り続けた。
そして途中でまた色々トレーナーとのバトルや野生のポケモンとのバトルがあり、やっとの思いで次の街「ロドンシティ」に着いた。
早速またポケモンを回復させよう・・・としたところだが、また前と同じようにポケモンセンターが開いていない。
「何かあったのかな?」
ファングが色々と考え始めて、人参が遠くをキョロキョロ見ていると、その人参が少し悲鳴をあげた。
「どうした!」
ファングが人参のそばに行って、人参が見ている方向を見てみると、ファングも悲鳴をあげた。
「な・・・なんだあれは・・・」
ファングと人参が見たところには、いかにも怪しそうなアジトが谷の上に出来ている。
そこでファングは、さっき会った老人の話を思い出した。
更に気付いてみるとさっきまで一緒に居た太太郎が何処にも居ない。
「まさか太太郎・・・あのアジトに捕まったんじゃ・・・」
人参がそう言うと、10秒くらいしてからファングが答えた。
「行くしかないだろ、太太郎が捕まってたら困るのはこっちのほうだしな」
ファングはすぐにその怪しいアジトに向かって走っていくと、後から人参も走っていった。
ファング 2010/5/8
二人は何の確認もせず走ってアジトまで向かったため、アジトに付く頃には息を切らしていた。アジトは工場の様に、低い動力音が休みなく響いている。 周りは森に囲まれ二人はその木々の薄い場所にいる。
「此処がアジトか……人参行けるか?」
「行けなくても行かないといけないだろ-」
人参の言うことは最もらしく、太太郎が居なくなったまま休むこともできないしこの間何が起こるかも分からない。
しかし数メートルほど先の扉の前には二人の男女の見張りがいるため、侵入する隙がない。「でもこんなところに本当に太太郎が連れられたのか?」
とファングが質問すると、人参が森の中の木が多い場所に行くとファングに
「早く来て!」
と小さめの声でしゃべる。 ファングは言われるままに人参の方へと駆け寄り人参と同じ向きを見るとそこにはファング達より先に居なくなっていた太太郎が二人の男に連れられていた。 必死に暴れているが大人二人がかりで押さえつけられていれば抜け出すこともままならない。
「暴れるなと言っているだろう!」
一人の男が大声で怒鳴るとビクリと体を動かし暴れるのを止める。 そしてそのまま扉の中へと消えていった。
ファングと人参は見張りの様子を伺いながらファングは木の上から見渡し人参は木の陰から他に入れるような隙が無いか探す。
木の上で模索していると、工場の上部に窓があるのをファングが発見した。
「人参、此処を割ってあいつらを引きつけてくれるか?」
人参は言われたとおりに石を二つ三つもって、ファングのいる木の方へと登った。 普段ファングと違って余り木登りしないため上がるのに結構時間がかかった。
「じゃあ割ったらあの見張りが来ると思うから催眠術で眠らせてやるぜ!」
人参はそう意気込むと「じゃあファング、見張りが走って動き出したら入っていってね」と言うとファングは
「ああ」と短く返事しその場から走り出しいなくなる。
そして五分ほど経つと人参は持っていた石を手に握り、思いっきり窓に向かって投擲する。
窓は派手な音を立てて割れて、ガラスが崩れ落ちる。
「これからが本番だな……」
一方ファングの方では二人の男女が人参の居るであろう森の方へと走り出しているのが見えた。行動を開始するべくファングは駆け足で扉を調べると、鍵はかかってないらしく中に入れるようだ。 早速静かに扉を開き、中に入るとファングは驚いた。 中は外側から見た工場とは違い、何らかの研究施設見たいに整備されていた状態、つまり此処が工場ではないことを意味している。
しかしファングが驚いたのはその人数の少なさである。
このような研究施設にしろ工場にしろたくさんの研究員が居るものだと思っていたが研究員に見えなさそうなわずか数名ほどの男女が書類を纏めている姿しか見えていない。
プリンターからデータの記されていそうな紙が印刷され、それを淡々と纏めている。
ファングは作業に集中している団員たちに気付かれないように物陰に隠れながら動き様々な部屋を捜索するが、太太郎はまだ見当たらない。
しかしひとつだけ捜索していない場所があった。 裏側の外に出る扉はまだ開けて調べていない。 もしかしたらこの施設の中にいないのかもしれない。
そう感じたファングは静かに扉を開くと外から微量の風がファングの肌に感じられた。 やはり外は外だと確信して外に出た。
ファングはさらに驚いた。 両腕を縛られた猿轡に咥えさせられ、意識を失った太太郎が見られ、そしてその近くには止まっているヘリと、一人の少年がいた。 黒いシルクハットとステッキと黒いスーツに身を包んだ若いジェントルマンと言った所か。 髪は白色、左目には片眼鏡がかけられている。 少年がファングの存在に気づくと特に驚きもせず
「初めまして。 自分、
ポルンガと申します」
ポルンガと呼ばれるはシルクハットを取り払い、深々とお辞儀して挨拶する。しかしファングは
「そんなことはどうでもいい、それより太太郎に何をした!」
と大声で怒鳴る。 ポルンガは苦笑いして
「そんなに怒らないで下さい、終わったらすぐ返しますよ」
と受け答えするとシルクハットをかぶり直す。
やれやれと両手を広げると
「ネズミ一匹もつまみ出せないなんて……人数も少ないし仕方ないですか」
そして右手に持ったステッキを武器を扱うかのようにファングの方へと向ける。
「ヘリコプターが出るまでまだ時間もありますし……少しだけお相手してあげましょう」
「望む所だ! 倒してやる!」
ファングもモンスターボールに手を取るがポルンガの方が一手早く、モンスターボールから頭に帽子を被ったカラスの姿をしたポケモンを繰り出す。
「ヤミカラス! くろいきり!」
ポルンガが命じるとヤミカラスと呼ばれるポケモンが両翼を広げその名の通り黒い霧を散布し、両翼を羽ばたかせ霧を巻き上げた。
たちまち視界は悪化し、ファングが「行けっ! おかむら!」とエイパムを出す頃には自分以外のものが殆ど認識できないほどに霧が立ち込めていた。
ポルンガがさらに命令をだす。
「ヤミカラス! だましうちです!」
ヤミカラスがどこからともなくエイパムの横に現れると翼でエイパムをはじき飛ばす。
エイパムは2m程後方に飛ばされると、すぐに体制を立て直しまだまだといったような顔つきで飛び跳ねる。
「おかむら! ひっかくだ!」
ファングが命じてエイパムは空に浮かぶヤミカラスにひっかくを繰り出すがいともヤミカラスは後方に羽ばたき起こった風の反動でエイパムとヤミカラスの距離が開きよけられてしまう。
「もう一度だましうち!」
ポルンガの声が聴こえるが何かをファングの耳に振るような音が聞こえた気がしたがエイパムに指示を出そうと考えているところでそれどころではなかった。
しかし今度の攻撃の対象はエイパムではなかった。
突如、ヤミカラスがファングの後ろに現れると、思いっきり肩のあたりをおもいッきり両翼で叩かれる。
「うわあっ!」
ファングが吹き飛ばされると指示が無くなったエイパムに対し連続してつつく攻撃を行っていた。
「結局はこんなものですか……私の上司が目を付けていましたが見るものを間違ったようですね」
ポルンガが失笑する。 そしてヤミカラスが何度目か分からないつつく攻撃をエイパムにしようとした時だった――
「おかむらっ! すなかけだ!」
エイパムは一方後ろに飛び退き、ヤミカラスの嘴でつつく攻撃を交わすとヤミカラスはつつく時の慣性が残っているためしばらく硬直している所にエイパムが手の形をした尻尾に砂を握り、ヤミカラスに浴びせた。
「なっ……」霧で見えないがポルンガの驚いた声がファングの耳にしっかりと聞こえた。
ヤミカラスは視界を失い。 フラフラと飛んでいる。 このチャンスを逃すものかとファングは
「ひっかくだ!」
エイパムにそう命じるとエイパムは特訓したひっかくでヤミカラスに懇親の一撃を与えた。
ヤミカラスは戦うための体力を失い、フラフラと地に落ちていった。
「よっしゃあ!」
ファングがぐっとガッツポーズするとエイパムは喜んで笑うと飛び上がり尻尾の手でファングとハイタッチした。
一方後ろ側の扉から騒がしい声が聞こえる。 足音も聞こえ、後ろの扉が開いた。
「警察だ! って何だ!?」
警官がモンスターボールを構えてでてきたが黒い霧に驚く。
ポルンガは落ち着きを取り戻した声で「もう少し遊びたかったんですけどね……此処でおしまいにしましょう。 戻りなさい、ヤミカラス」
ヤミカラスをモンスターボールの光で戻すと、ヘリコプターのフォンフォンとローターが動き始めた音が聞こえ。 周りに風の風圧が発生した。
ファングは飛ばされそうになり警官は見えない黒い霧の中で銃を構えている。 しかし黒い霧がはれる頃には、ヘリコプターはすでに高空にあり、銃を撃っても意味の無さそうな硬度までに達していた。
「また会える日を楽しみにしていますよ。 ファング君」
その言葉を残すとポルンガはヘリのドアをしめ、飛び去ってしまった。
「クソッ、逃がしたか」
そこに残されたのはファングとエイパムのおかむら、意識を失った太太郎、そして悔しがっている警官だけだった。
粉 2010/5/8
「なにごとだぁ!?」
見張りの一人の中年の男が人参のほうを向いた
「よっと」
2、3メートルはある窓から飛び降りて人参はすかさずニョロモを出した
男の見張りがドードーを出し、女の見張りがマタツボミを出すやいなや人参はニョロモに命令した
「ニョロモ、「さいみんじゅつ」だ!」
ニョロモが繰り出した「さいみんじゅつ」はドードーとマタツボミだけでなく二人の見張りをも眠らせた
「どんなもんだい!」
人参はガッツポーズをした
そしてゆっくりと周りを見渡したが太太郎の姿は無かった
「もうファングが助け出したのかなぁ」
そう思い、人参は静かにアジトを後にした
すると何やら女の子がこちらに走って来た
「あっ、四翼!」
「もう!!お礼も言わず出て行ったかと思えばこんなとこにいたのぉ!?」
言わずもがなその少女は四翼だった
「それは良いとしてあんたこれから何処で夜を過ごすつもり?」
「あっいや、なんとかなるかなぁっと」
「本当に男ってばかねぇ!私やヤスタカさんみたいに親切に止めてくれる人なんて居ないわよぉ」
そういうと四翼は人参の手をつかみ、走り出した
「いやっ俺は今忙しいのぉ!」
その人参の声は四翼の心には届いていなかった
ポルンガ 2010/5/8
最終更新:2010年05月10日 20:19