街から出てそんなに歩かないうちに、こう書かれた看板が見えた。
"ここは714ばんどうろ"
既にいくつか見てきたが、他と比べると意外にも小奇麗で、小さな物だった。
四翼の突然の提案・・・いや、半ば強制的にと言った方が適切かもしれないが、
三人に異論が無かった・・・いや、口に出せそうに無かったと言った方が適切かもしれないが。
- とにかく、ロドンジムに挑戦するための特訓場所として、
三人は四翼に連れられこの714番道路にやってきた。
「一概に特訓する特訓するって言っても、いろんなやり方があるものなんだけど。
あれこれ考えるより、やっぱり野生ポケモンと戦って鍛えるのがイチバンよ!」
四翼は得意げにそう言って見せた後、やる事があるとだけ告げて早々にこの場を立ち去ってしまった。
「・・・どうするよ?」
納得いかないといった様子で二人に問いかけた
ファング。
自分から「特訓を始めるわ!」なんて切り出しておいて、
その本人がどこかへ行ってしまったのだ、無理もない話である。
- ところが、太太郎や人参は表情を曇らせはしなかった。
「うーん、とりあえず、今のままじゃジム戦に挑んでも勝てないんじゃないかな?」
「四翼が慌ててた理由は気になるけどな・・・まぁ、一応始めようぜ、特訓」
二人がそう言うなら・・・といった感じではあったが、ファングもしぶしぶ賛成し、
最初のジム戦に向けたトレーニングが始まった。
「ヒンバス、たいあたり!」
太太郎の指示を受けてヒンバスが繰り出したたいあたりは、
草むらの影に姿を見せた小柄な鳥ポケモン、ポッポに命中した。
不意に技の直撃を食らったポッポはよろめいたが、すかさず体勢を立て直し、
翼を使って地面の土をヒンバスに向かってはねとばした。
「すなかけが来たよ!ヒンバス、目を瞑るんだ!」
太太郎のとっさの判断に応じて、ヒンバスはグッと目を閉じた。
ポッポがはねとばした土はヒンバスに当たったが、
太太郎の指示のおかげで、ヒンバスの目に土が入ることはなかった。
それを見たポッポは少し焦りながらも、ヒンバスめがけて突っ込んで来る。
「よーし、こっちもたいあたりで勝負だ!」
ヒンバスは小さく頷くと、向かってくるポッポに負けじと思い切りぶつかって行く――
「頼むぞおかむら!ひっかくで行け!」
一方のファングは、木の上からいきなり現れたどんぐりのようなポケモン、タネボーと対峙していた。
エイパムのおかむらは、指示を聞くなり待ってましたとばかりに、腕を構えて一直線に走り出す。
- しかし、力強く振り下ろした爪は、構えを取っていたタネボーの横っ飛びで、
軽くかわされてしまう。
技が外れてしまい、おかむらは少し動揺した様子だったが、
「相手の動きに負けるな、何度でもぶつかって行け!」
というファングの声が耳に入ると、すぐにやる気を取り戻し、再び腕を構えながら向かっていった。
だが、すばしっこいタネボーにことごとく避けられ、なかなか技を決めることが出来ない。
「クソッ・・・攻撃が当たらないんじゃラチがあかないな・・・」
そもそもひっかくは接近戦に用いる物理技であり、
相手に間合いを取られると、命中させる事自体が不可能になってしまう。
「リーチが長くて当たりやすい攻撃の方法・・・よし!」
ちょっと試してみるか、といった気持ちではあったが、ファングはこう指示を出した。
「おかむら!お前の長い尻尾で攻撃できないか!?」
おかむらは突然の注文に少し驚いていた様子だった。
ひっかくによほど自身があったからなのか、少し戸惑っていたが・・・
ファングのほうを振り向きながらコクンと頷いて見せ、器用に尻尾を操って構えを取る――
「まずはみずでっぽうだ!」
人参も、ニョロモに指示を出して野生ポケモンとの戦闘を繰り返している。
今戦っているのは、丈夫な前歯が特徴のビッパだ。
ニョロモのみずでっぽうは上手くヒットしたが、水辺を好むビッパにはあまり堪えなかった様子で、
体を丸めながら地面を転がり、勢い良くニョロモに向かって突進してくる。
「ころがるか・・・ジャンプでかわせ!」
人参の言葉通りに、ニョロモはサッと跳ね、ビッパの攻撃を回避。
と、ビッパはそのまま、勢い余って近くに立っていた木に激突し、そのままフラフラしてしまっている。
「チャンスだニョロモ、あわ!」
その指示を聞くや否や、ニョロモは胸いっぱいに息を吸い込み、あわを放つ――
その後も順調に野生ポケモンを倒し続けた三人は、
自分たちも手持ちもクタクタになったところで町へ引き返していった・・・。
5/11 そると
「最初に言っておくわ、修行にかける日数は1週間よ!」
四翼がいきなり言い始めると、続けてこう言った。
「まずファング! 貴方は私のゴルバットに負けたわよね? 私くらいに負けてちゃジムリーダーに勝つのは無理よ! 私のゴルバットに勝ってみなさい!」
四翼が厳しく言うと、ファングは自信たっぷりにこう言った。
「うっしゃ! 前のようにはいかないぜ!」
ファングが闘志を燃やしているのを太太郎が見ていると、人参の口の中から「チッ」という舌打ちが聞こえた気がしたが、太太郎はそのことを黙っていた。
「次に人参! 貴方のニョロモはボディのヌルヌル度もあり、技も使いこなせてるから今の所この3人の中では一番勝率が高いと思うわ。 だから水上のポケモンなどを倒して実力を更に上げておきなさい!」
「分かったぜぇぇぇぇぇ!!!」
人参が数百m遠くまで届くような大声で返事をすると、野生のポケモンを倒すためにいきなり走っていった。
「あ、終わったらここに戻ってきてねー!!」
四翼が焦ってそう言った先には、もう人参の姿は見えなかった。
「最後に太太郎! 貴方のヒンバスでは次のジムは厳しすぎる可能性があるわ。 だけどどうしても使ってやりたいという気持ちがあるのなら、交代用のポケモンを捕まえておいて! それが終わったら人参と同じように野生のポケモンを倒して実力を上げて! あ、終わったらここに戻ってきてね」
そう言って四翼はモンスターボール5個を太太郎に渡した。
「おう!」
3人にそれぞれアドバイスを送って修行が始まると、四翼とファングは早速モンスターボールをポケットから取り出し、地面に投げつけた。
ファングのボールからはおかむらのエイパムが登場し、四翼のボールからはまたキラキラと星が散り、色違いのゴルバットが登場した。
ファングがいきなりゴルバットに向かってひっかくを指示すると、すぐにエイパムは攻撃に入り、その尻尾でゴルバットの羽をひっかいた。
そこでファングは小声で独り言を言った。
「絶対に・・・勝つ!」
一方人参は、すでに水上のトサキント数匹を倒し、今もトサキントと戦っているところ。
またトサキントを倒し終えて少しニョロモをボールに戻し、岩によりかかって休んでいると、いきなり辺りが揺れ始めた。
「地震か!?」
人参が周りをキョロキョロ見ていると、水面のところの揺れが一番激しそうだということに気がついた。
しばらく人参が揺れている水面を見ていると、いきなり水面に黒い影が映り、水中からはギャラドスが現れた。
様子を見るとすごく怒っていて、トサキントたちの仇を討ちに来たようだ。
「上等じゃねぇか・・・こいつを倒さなきゃジムには勝てないぜ!」
人参はそう言うとボールの中で休ませていたニョロモをボールから出した。
太太郎は貰ったモンスターボールをポケットに全て
入れ、人参と同じく野生のポケモン倒しに熱中していた。
相手はキャタピー、キャタピーは少し辛そうで、ヒンバスは余裕の表情だ。
「今の俺にはヒンバス以外使いたいなんてポケモンは居ない! ヒンバスだけで勝って見せるぜ!」
太太郎はそう言うと、目の前で見つけたキャタピーを倒した。
こうしてジムリーダーを倒すためのそれぞれの辛い一週間の一日目がスタートした。
5/11 ファング
おかむら!「ひっかく」だ!」
ファングはおかむらにそう命令している
昨日のヤミカラスとの戦いで磨きがかかったているはずの「ひっかく」をくらってかなりダメージがあるはずなのだがゴルバットはそんなそぶりも見せない
それどころかどんどん動きが早くなり、ついにおかむらの攻撃はかすりもしなくなっていた
そしておかむらは疲れ、ついに攻撃の手を休めてしまった
そんな一瞬の気の緩みが生み出した隙を見逃すほど四翼は甘くなかった
「ゴルバット、「ちょうおんぱ」よ!」
主人の命令どおりゴルバットは超音波を発した
その音はトレーナーのファングでさえ耳を塞いでしまうほどの不快音だった
そんな不快音にまだ子供のエイパムが耐えれるはずもなく、おかむらはゲームの中で言うこんらん状態に陥った
「おかむら!「ひっかく」だ!」
ファングはただ、そう叫び続けていた
しかし混乱状態のおかむらにはファングの声は届いておらずただその場をグルグル回る事しかできない
そんなおかむらにゴルバットはすかさず体当たりをかました
混乱状態にあり、先日からの連戦の疲労もあったためおかむらへのダメージは尋常ではなかった
しかし疲労は、命あるもの全てに平等に降りかかる
とどめを指そうと体当たりの構えをとったゴルバットの動きが一瞬止まった
そう、始めに執拗なまでに繰り返していた「ひっかく」のダメージがまったく無かったわけではなかったのだ
その隙におかむらは意識を取り戻した
そのおかむらの耳に残っていたのはあの不快音ではなく「いけ!「ひっかく」だ!」
という主人の諦めない声だった
おかむらはただ無我夢中で主人の命令と期待に答えた
ズシャ!!
音と共に倒れたのはゴルバットだった
そしてその後おかむらも力尽きた
5/11 ポルンガ
一方その頃人参は突如現れたギャラドスとの激突が始まっていた。
ギャラドスは余裕な顔して鼻歌なんてしているが、体には傷がかなりついている。やせ我慢しているようだ。
そして人参のニョロモは腹の渦巻きやしっぽ、頭に歯型がかなりついていて、ニョロモは息を切らしている。
「ニョロモ さいみんじゅつ!」
さいみんじゅつがニョロモの腹の渦巻きから放たれると、ギャラドスの首に直撃した。
「よし、今だ! おうふくビンタ!」
ニョロモが続いて攻撃態勢に入り、尻尾をギャラドスに向かって向けると、ギャラドスはさいみんじゅつの眠気を無視してニョロモの体全体にかみついた。
「え!?」
人参はさいみんじゅつが確実に決まっていたように見えていて、反撃はないと思っていたので攻撃されている姿を呆然と見てしまった。
ニョロモがすぐさま悲鳴をあげると、地面の方に放り投げられ、数m先の木にぶつかった。
「ニョロモ!」
人参が駆け寄ってニョロモを起こすと、ニョロモはかみつくの痛さと木にぶつかった痛さで気絶していた。
「な・・・なんでさいみんじゅつが効かなかったんだ!?」
人参は悔し紛れにそう言って拳を地面に叩き付けると、ギャラドスはまた水中に潜っていった。
次に太太郎の様子を見ると、まだまだ野生ポケモンをどんどんヒンバスと一緒に倒していた。
「よし、その調子だ、ヒンバス!」
ヒンバスのほうを向いて太太郎が声をかけると、ヒンバスの背ビレやえらが少しテカついているのが目に見えた。
「あれ? もしかしてあれって・・・ヒンバス、ちょっとこっちに来い!」
ヒンバスを呼んで、期待を持った太太郎が背ビレとえらを見てみると、そこはテカっても何でもいない、いつものヒンバスのままだった。
「気のせいか、草むらに混ざってた油でもついてたのかな?」
太太郎がヒンバスをまた草むらのほうに連れて行くと、バトルを続けた。
しかしその太太郎の顔は、少し残念そうな顔でバトルの指示をしていた。
あっという間に日が落ち、3人とも戻ってくるように指示された場所に戻ってきた。
「みんな戻ってきたわね! それじゃあ探検セットで地下に入るわよ!」
四翼達がスコップを取り出すと、すぐに地下に繋がり、ファング達はその穴に入った。
穴に入ってすぐに四翼が辺りを見回すと、いつも居るはずのあの男が居ない。
「あれ?出かけてるのかしら、まぁいいわ、すぐにご飯を用意するから秘密基地で待っていてちょうだい」
四翼がそう言うと、ファング達は自分達の秘密基地に入ると、ぐったりとしたように地面にへたりついた。
へたりついて1分後、「キャーー!」という四翼の悲鳴を聞いて、3人はすぐにがばっと起きた。
3人はすぐに四翼の向かった方向に向かって走ると、全力疾走している人参がファングと太太郎の目に止まった。
人参は更に猛スピードで駆けていくと、さっぱり姿が見えなくなった。
「ちょ、あいつ速くね?」
ファングと太太郎が息を合わせて言うと、2人も猛巣ピードで駆けていき、やっと四翼の居るところについた。
部屋の中をのぞいた瞬間、ファングと太太郎が「うわあ!」と悲鳴をあげた。
そこにはあのいつもの男性が倒れていて、四翼が腰を抜かしてい、人参が呆然とファングと太太郎の前に立っていた。
5/17 ファング
ファング達が呆然と立ち、四翼がずっと腰を抜かしてぶるぶる震えている時、男性の目が開いた。
四翼がすぐに反応し、男性に寄って顔を見てみると別に異常はなさそうな表情をしている。
「大丈夫なの!?」
四翼が焦りながら言うと、男性は平然とした顔で四翼に言葉を返した。
「ああ、大丈夫大丈夫。 ただここで転んでタンスに頭ぶつけただけだから」
男性が返した言葉には全員呆れ、男性は「バカ!」と四翼に言われながらビンタを左頬に食らった。
「ハハハハ・・・」
ファング達が男性を笑うと、一緒に男性と四翼も笑ってしまった。
さっきの事件から5分後、そんなことは跡形もなかったように、すぐに四翼は晩ご飯を作り、部屋に戻ったファング達や、また仕事を始めだした男性を呼んだ。
ファング達と男性が来ると、すぐに4人は晩ご飯を食べ始めた。
次に四翼が台所から来ると、晩ご飯を食べながら、人参と太太郎に特訓状況を聞いた。
「どう?今の特訓の状況は」
「水上のポケモンとかを倒してる。 ついでにいきなり水中からギャラドスが出てきて、そいつに負けたんだけど、あいつを特訓相手にしようと思うんだ」
四翼に聞かれると、人参はまるで聞かれるのを待っていたようにすぐに反応し、太太郎よりも早く答えた。
「野生のポケモンたちを倒しているよ」
太太郎がさらりとそう言い、晩ご飯の会話はそこで止まってしまった。
晩ご飯を全員食べ終えると、ファング達は自分の部屋に戻り、それぞれベッドに倒れこんだ。
ベッドに倒れこんでから、3人はそのまま眠り込んでしまった。
2日目の朝、また3人はそれぞれの特訓に入り、昨日と同じような鍛え方をした。
太太郎がヒンバスをどんどん戦わせてると、空からバラバラバラ・・・という音が聞こえる。
「なんだろう?」と太太郎が上を見上げると、ヘリが下におりてくる。
「うわあああああああ!!!」
太太郎が慌ててヘリのおりてくる場所から50mほど遠ざかると、ヘリの窓が開き、ジェントルマンのような人の顔がこちらを見ている。
ヘリが完全に着陸すると、ジェントルマンのような人がヘリから降り、こちらに近づいてくる。
「おや、あなたはこの間の人ではないですか」
冷静な口調でジェントルマンのような人が返した。
「誰だお前は!」
太太郎がジェントルマンのような人の話にも答えず、名前を聞いた。
「あ、記憶を消しておいたんでしたね、忘れていました。 では改めて名前を言いましょう。 私の名前は
ポルンガ あなたをこの間去らった人物ですよ。太太郎君」
「何! お前が俺を去らっただと!」
太太郎の怒りが50%くらい、この答えで上がった。
「実はですね、あの3人の中で一番弱いのが君だと分かったんですよ。 ですからバトルをお願いしたいと思いましてね」
ポルンガがどんどん太太郎を挑発する様に言うと、太太郎の怒りはもうMAX、かなりイライラしている顔つきだ。
「俺があの中で一番弱いだと・・・! もう我慢できねぇ! ヒンバス! たいあたり!」
ヒンバスが物凄い勢いでポルンガの方に飛んでいくと、ポルンガは返事を返した。
「あなたの弱さ、見せてあげますよ!」
ポルンガはモンスターボールをポケットから取り出し、ヤミカラスをくりだした。
5/23 ファング
最終更新:2010年05月23日 21:16