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辺りも暗くなり見物客がいなくなった後も、3人はただ呆然と立ちつくしていた。
「さっきのバトル、すごかったな。相性の悪さも覆すなんて……」
人参もファングの言葉に相づちを打つ。

「おい!早く買い物しに行こうぜ!早くしないと夜になっちまうぜ!」
太太郎が自分たちの目的を思い出し、咄嗟に駆けていった。
さっき置いて行かれた恨みか全力で青い屋根の建物に入っていった

ファングと人参が追いつく頃には、太太郎はもうすでに買い物を始めていたていた。
太太郎は、傷ついたポケモンの体力をセンターに行かなくても回復できる道具、傷薬を数個手に持っていた。
「太太郎は回復道具か!じゃあ俺はモンスターボールを買ってくるかな。」
ファングはボールコーナーの方へ向かった。
「お、俺はトイレに行ってくる……」
人参は急に腹具合を悪くしたらしく、ふらふらしながらトイレの方向に進んでいった。

人参がトイレから帰ってくると2人は会計をしていた最中だった。
結局2人は傷薬とモンスターボールを数個と、ポケモンが対戦中相手の技を受けたりして起きる状態異常を回復できる道具を買っていた。
「そういや人参はなにを買ったの?」
と太太郎が問いかけると人参は買い物袋を開いた。

中にはピッピ人形やジュース、全くなにに使うかわからないロープやローションまで入っていた。
「やっぱりお前を一人で買い物させるべきじゃなかったな……」
呆れたようにファングが言うが、人参は気にもとめずに、基地まで競争だなどと叫びながら走っていってしまった。


9/14 人参



人参が飛び出してから少し遅れて二人も基地まで走り出すが辺りは暗く、人参の姿は確認できない。
更に暗いことが災いとなり右も左も分からない状況である。
時々迷いつつ、二人が基地に着いた頃には人参は退屈そうに足を組みながら椅子に座っていた。

「二人とも遅すぎじゃないか?俺が着いてから10分は経つんだが」
「暗いから道が分かんないんだよ・・・」
ファングが息を荒げながら、両手を膝につけて言った。

「それで、次のジムってどこにあるの?」
太太郎が四翼に問いかけた。こちらも息が上がっており、顔は真っ赤である。

「あー それなら今から説明するわ。こっち来て。」
四翼はそういうと、テーブルにタウンマップを広げた。三人も四翼の周りに集まってくる。

ファングは地図を見ると、シシュウ地方が島国ということを改めて実感した。
小さな島々が点々と存在していて、大きい島 と言える島は数えるほどしか無かった。
現在いるロドンシティはシシュウ地方の中でも東に位置する島の中央付近にあり、少し北へ行くと道が東西に分かれており、道に沿って山脈が走っている。

「道を来たに行くと分かれ道があるんだけど、東の町へ行くとジョウト地方へ行く船が出る港町でジムは無いの。だから西の道に行くことになるわね。」
四翼がファングにあわせるかのように話す。

「西へ行く道をたどると、山脈を抜けてまた分かれ道になってどっちの道を通っても町には着くんだけど、
 北の町は小さくてで船もあんまり出てないから南の町の港からでいい? 」

四翼の問いかけに対して、三人は特に異議を唱えず、賛同した。
ファングが南の町を確認すると、「アナンシティ」と書かれていた。

「それで問題はどっちの町へ行くかなんだけど・・・」
そう言うと四翼は二つのルートを指さした。
一つはそのまま西へ行き、3つの小さな島を経由して、丁度アルファベットの K のような島に着くルート。
もう一つは南下して、少し大きめの島を通って、東西に細長い島に着くルート。

「結構長い道のりだなぁ・・・どっちの方が速く着くんだ?」
人参が長い道は勘弁というような顔をして聞いた。
「うーん、どっちも同じくらいだったかな 好きな方でいいわ。」
「じゃあ、西へ行く方で!」
太太郎が前者のルートを指さす。
「そうすると、次に行く町は マカッサシティ になるけどいいのね?」

K のような形をしている島の南部に確かにマカッサシティとジムありという表記があった。

「どっちでも距離が変わらないなら俺も西でいいよ。」
「あぁ、俺もそれでいい。」
人参とファングも西へ行くルートに賛成する。

「次に行く町も決まったし、今日はもう寝る支度をして寝ましょうか!」
そういうと四翼は足早に布団を用意をし始めた。
人参と太太郎はそれにつられて布団を用意するが、ファングはまだ眠くないのか地図に没頭し始めた。

マカッサシティから北へ延びる道はやがて、海を渡りやや大きな島に着き、更に北へ行くとポケモンバトルの最高峰、ポケモンリーグに到達する。
その大きめの島から西へ行くと南北に細長く、ジムがある島に着く。
ファングはマカッサシティに目線を再び戻した。
マカッサシティから西へいくと海上で南北に道が分岐し、南へいくと首都のある島、
北へいくとシシュウ地方でも1、2を争うであろう大きな島に着き、その北部にはジムがある。
首都から更に西へ延びる道の先にある島にはジムが2つもあり、活火山があるのであろう、カルデラ湖という表記があった。
反対に東へ延びる道は、先ほど四翼達が選択しなかったルートの果てにあった東西に細長い島にたどり着いた。
ちょうどそこは、マカッサシティから南下する道と合流していて「バウズタウン」という表記が―――


「さっきから地図に夢中になってるけど寝なくて大丈夫なのか?」
人参に心配そうな声をかけられ、ファングはハッとした。
辺りを見回すと、既にファングを除く3人は布団を敷き終えていた。

「え?あ、あぁ悪い。俺ももう寝ないとな・・・」
人参もその言葉を聞いて安心したのか布団に戻っていった。
ファングは慌てた表情で布団を用意すると、布団に飛び込んだ。
最初は目が閉じなかったが、段々と意識が薄くなり、眠りに落ちていった。


9/14 えちご



バシッッ!!!

人参は頬に受けた激しい痛みによって目が覚めた

「もうっ!!
7時に起きて出発するって言ったじゃない!!」

目が覚めて初めて見たものは四翼の怒ったような表情だった

その顔をみた瞬間、自分の頬をぶったのは四翼だとすぐさま理解した

殴られても当然だ
次の町まではかなりあるため早朝から出発しないといけないと昨夜から聞かされていたのだ

人参はあわててパジャマから着替え、出発の準備をした

太太郎、ファング、四翼の三人はすでに支度を終え、出発の準備は整っていた

「えーっとモンスターボールは入れた・・・
あとは・・・・あっこれだ」

人参は前日購入したローションとロープもしっかりバックにつめこんだ

人参の準備が整ったところで
一向はようやく港を目指し、ロドンシティを出た


ロドンシティの周りはやはり自然に囲まれていて同じような道ばかりだ
そんな山道を四人は黙々と歩いている

「ねえ、まだつかないの・・・?」
その沈黙をやぶり、人参は話し出した

しかし残りの三人も同じことを考えていたようで
その空気の読めない発言をしても朝のようにぶたれることは無かった

「そうねぇ・・・
もうずいぶん歩いているのに港どころか家も見えないものね・・・」
四翼も思っよりも長い山道に嫌気が差しているようだ

「つべこべ言わずに歩け、道は合ってんだから!!」

「おいファング、昨日のトレーナーのことまだ気にしてんのか?」
太太郎の聞いたことは正しかったらしく、ファングは昨日のストリートトレーナーを気にかけている様子だ

「あんなに強いやつがいるんだ、早くジムに行きてぇよ・・・」
(なぁ・・おかむら?)

ファングはポケットの中のモンスターボールを触りながらそういった

もう歩き始めて五時間ほど経ったが港までまだ3分の1残っているといったところであろう
まだ若い少年と少女にとってもシシュウ地方の炎天下のなか長時間歩くのは応える

「おなかへって歩けないよー!」
人参は駄々をこねている

「そうね、もうお昼だし休憩してお弁当食べましょう」
四翼がそういうと四人は木陰にもたれかかり、昼食を食べた

つらい道を歩き、やっとの休憩は彼らにとって最高の至福だった
その至福の中でもファングはあのトレーナーのことばかり考えていた



9/14 ポルンガ



昼食を食べ終え、少し休んだ四人。
 その後の歩みは朝方から昼にかけて照っていた日差しも休んでいた間に和らいでいたため、先ほどと比べて快調で雑談しながら歩くほどの余裕が出来ていた。
「ロドンシティは曇りのち雨、ミナミゼシティでは曇りのち晴れ、マカッサシティでは日中を通して雨と不安定な天候となっております――」
「例年にはない最高気温……今はもう涼しいけど嫌になっちゃうわ」
 四翼が腕につけたポケギアのラジオの言葉を聞きながら不満の言葉を漏らす。 ラジオからは天気予報の情報やポケモンの大量発生の情報などの情報が声になって流れていく。
「現実の世界でもそうだったよな、やっぱりこっちの世界でも変わらないのか?」
 その言葉を聞いたファングが四翼に対して聞いてみる。 後ろの人参と太太郎の二人はまた違った話で盛り上がっていた。 主に非健全な下の方向の話でだが。
「あたしはもう結構時間が経つから現実の事はわからないけどある程度そのあたりの情報は共有されているのかもね、シシュウ地方の一部では大雨警報も出たとこあったし」
 やれやれとため息をつきながら歩く四翼。 そんなこんなで歩いて一時間もしないうちに港の方にたどり着いていた。 港といってもファングたちが想像していたほど港は騒がしくなく、猟によって手に入った魚の競りも行われていなかった。 あるのは数隻の漁船と二隻のフェリーだけだった。

「あれ、あんまり」活気ないなぁと太太郎。 確かに港のイメージとすればあまりにも寂しげなものだったので驚くのは無理もない。 どちらかと言えば『埠頭』といったほうが正しいだろう。
 人参もあちこちを見渡していろいろ探していると鼻の頭に何か冷たいものが落ちてきたのを感じて、上を見上げた。
「多分この雨のせいね、こっち側はマカッサシティから雨雲が流れてきたのね」
 人気の無さを雨が降るからということにし、四人は船のチケットを買ってフェリーに乗り込むことにした。 幸いにも時化ることはない程度の雨風でフェリーでマカッサシティに向かう分には何ら問題はなかった。
 かくしてフェリーの中へと足を踏み入れていく四人。 周りにも乗り込んでいく人たちがいるので四翼は船の中の人物を観察することにして最寄の席に座って隣の席にカバンを置くと、ファング達三人は船の中を探検にとすぐさまかけていった。
「席取れなくても知らないわよー」
 個室はあるが予約しないと取れない為、四翼が三人に自由席に対する注意を促すが三人の耳には誰ひとりとして入っておらず、ドアの音と共に消えてしまった。 そんな三人を見て、「男って馬鹿ねぇ」と言いたげな呆れ気味の溜息をつくと、気を取り直して他の乗客の観察をすることにした。
 四翼達のような子供は殆どおらず乗っているのは世界を旅する帽子とタキシード姿の似合うジェントルマンやトランプを切りながらマジックの練習をするマジシャンなどの姿が見受けられたが結構な所を旅して回った四翼の目には『強者』と言える者は居なかった。 


その後入ってくる客も四翼の強者レーダーに引っかかることはなく、席もほぼ埋まってまもなくフェリー船が出発しようかというところで四翼は
「今回は普通便かしらねぇ……」と言葉を漏らすとその直後に入ってきた一人のトレーナーに対して「あら……」
 と言葉を漏らした。 そのトレーナーは先日、ロドンシティでユキヒロと戦って敗北した少女であった。 清々しい空色の日傘と麦わら帽子に深い藍色のロングドレスを着ていることから、一三~一四程のお嬢様ということが四翼の個人的な解析で判断できた。
 少女も四翼の存在に気づいたのか顔をぱあっと明るくさせ「隣の席……いいですか?」とお淑やかに聞いてきたので四翼は笑いながら
「いいわよ、男とばっかりしか最近会話してないからねぇ」
 と受け入れるように隣の席のカバンを上にあげて窓側に座った。 少女は開けられた隣の席に座ると「ありがとうございます」と一礼した。
「いーのいーの。 礼なんて、でもあの戦いも結構惜しかったわねぇ」
 四翼の指した『あの戦い』とはユキヒロ戦においての戦いである。 そのことに関しては少女は少し俯いて
「自分でもよくやったとは思いますが、ほとんど『タイプ』も『ポケモン』も良くわからない状態だったので……」
 その言葉に四翼は疑問を感じた。 タイプやポケモンの相性など知っていて当たり前のことなのである、トレーナーとしての常識であることを知らない少女のことを知った四翼はひとつの答えに結びつけた。
 声を少し低くして少女に
「ちょっと聞くけど……失礼なことだけど……この世界の人間じゃない?」
「……!」
 四翼のきいたことは図星だったようで少女は固まってしまっていた。 と、そこに空気を読めない男三人がフェリーの探検から戻ってきた。
「おーい、四翼。 人参が船酔いして大変だったよー」と大太郎。
「ホントだな、遅くなってって……あれ? 君は」
 ファングが少女に気づいて声をかけようとしたが少女は
「違いますよ、あ……私は違う席に行きますね、又会う機会がありましたらまたよろしくお願いします」
 と少女はかけていってしまったが、その顔はどこかつらそうなものにも見えた。
「あんたら……船降りたら覚えてなさいよ……」
 四翼が言葉も出ないぐらいの怒りを発しているのは三人にもすぐ察することができるほどのオーラを発していた。 掛ける言葉が見つからずただ「ごめんなさい……」と謝ることが出来ない三人であった。



9/18 粉

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最終更新:2010年09月18日 09:29