1乙SS・ナタネ
7 :ドラーモン ◆Op1e.m5muw :2006/12/22(金) 20:36:16 ID:???
【1】はハクタイの森を進んでいた。
「あー、なんだかな……」
さっきから自分の後を付いてくる一人の少女。
振り向くと、その少女はあわてて木の影に隠れてしまう。
『なんだアイツ、あれで隠れてるつもりか?』
なぜ自分に付いてくるかはわからないが、とりあえず無視して進むことにした。
「そろそろ出口……ってまだ尾けてきてんのか」
バレバレの尾行ほど気になるものはない。
いい加減歯痒いので、【1】は振り向くとズカズカと歩いていく。
少女は「ひあっ」と珍妙な奇声を発して逃げようとするが、あわてて木の根につまづき、壮絶に転倒してしまう。
「まったく、お前何がしたいんだよ」
【1】がその細腕をひっぱり上げると、少女の幼さを残しながらも美しいその顔が真っ赤になる。
「は、離して!」
「ああ、ごめん」
その剣幕に思わずひるんでしまった【1】は手を離してしまう。
汚れた衣服をパンパンと叩く少女の姿に、思わず突っ込んでしまう。
「なぁ、ヘソなんか出して寒くないか?」
少女は全身を真っ赤にして走り去ってしまった。
「……なんだったんだ、あの娘?」
8 :ドラーモン ◆Op1e.m5muw :2006/12/22(金) 20:37:13 ID:???
その場から逃げ出した少女…ナタネは頬を染めながら爆走していた。
『私、私、一目惚れしちゃった!』
そう、それは偶然だった。
ハクタイの森を散歩していたナタネは、バトルで折ってしまった木に謝っている【1】の姿を見てズキュンときてしまったのだ。
『なんてやさしい人なんだろう』
普段は軽いノリのナタネだったが、いざこういう事態になると一歩が踏み出せない。
で、さっきもあの体たらくだ。
「名前だけでも、名前だけでも聞いておくんだった!」
ナタネの後悔の暴走は続いた。
傷心のナタネがジムに帰ると、どうやら挑戦者が来たらしい。
ナタネはその挑戦者の姿を見て心臓が飛び出そうになった。
『あ、あ、あ、あの人だぁぁぁっ!』
まだ心の準備ができていない。
こうなったら……
「かくれんぼでここのジムトレーナー全員と戦ってもらって時間稼ぎよ!」
ジムリーダーの横暴だと言われようが、恋するナタネには時間が必要なのだ。
『とりあえず、とりあえず心の準備の時間を頂戴!』
しかし【1】は強かった。
わずか10分ほどで全てのトレーナーは倒され、残るはナタネのみ。
『ああ、近づいてくる、スレ立ては970の予定だったのに……なんでこんなに早いの!』
もうどうしていいか分からない。
9 :ドラーモン ◆Op1e.m5muw :2006/12/22(金) 20:38:22 ID:???
【1】はやっとジムリーダーに会えるところまできた。
しかし、本来いるべき場所にジムリーダーがいない。
「えーっと、こういう場合はどうすれば……」
困った【1】が辺りを見回すと、右の林から何やら声が聞こえてくる。
「ふ、ふぇぇぇぇん、いぐっ、いぐぅ……」
『泣き声?』
こっそり近づいてみると、ハクタイの森で出会った少女が泣きながら叫んでいる。
「こんな突然に、告白なんてできないよぅぅぅ…」
「こ、告白?」
思わず声を上げてしまった【1】と少女との目が合う。
その瞬間少女の矢のようなタックルが【1】に炸裂し、その体を押し倒した。
「名前が、名前が聞きたかっただけなんですぅ…」
「はぁ」
「告白とかはそれからのはずだったんですぅ…」
「は、はぁ」
【1】はなんとなく理解した。
【1】は少女、ナタネの頭を撫でる。
「うぇぇ…ひっく」
「ここのジムリーダーは笑顔がトレードマークのかわいい娘だって聞いたんだけどな」
ナタネがゆっくりと顔を上げる。
「じゃあ、自己紹介しようか…」
「ボクは【1】。目の前の君に一目惚れしちゃったポケモントレーナー」
ナタネの顔が輝く。
「私はナタネ、貴男に……一目惚れしちゃったナタネよ!大好き、私も大好きっ!」
ナタネは【1】の頬を両手で押さえると、我慢できないかのように唇を重ねた。
『なんか……しょっぱいキスだな』
それはナタネの涙の味がする唇だった。
このSSの裏話(外伝3スレに投下)
981 :ドラーモン ◆Op1e.m5muw :2006/12/22(金) 21:14:47 ID:???
ナタネが見たあの光景。
【960】が木をいたわってる場面、そこには確かに対戦相手である【970】もいたのだ。
しかしナタネの目には【960】しか見えていなかった。
いわゆる「恋は盲目」というやつである。
【970】は仕方なくハクタイの森を出た。
「ああ、これからどうすっかなぁ……体でも鍛えてみっか」
そんな彼の手には「シジマ格闘道場シンオウ支部・門下生募集」の広告が握られていた。
多分>>970はアロマなお姉さんと幸せに暮らしたんだと思う、そう信じたい。
投下スレ
スレ立ては970の予定だったのに……なんでこんなに早いの!
この一節は>>1が早く新スレを立てた事を皮肉ったようだ
(970でのスレ立て予定が、960が早まって立てたため)
最終更新:2007年01月05日 22:05