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1乙SS・シロナ


俺は【1】。
つい先日、世界征服を企むギンガ団の野望を阻止したばかりである。

テンガン山から帰ってきた【1】は、疲れを癒すためにカンナギタウンにやってきた。
「さて、今日はセンターで一泊するか」
疲れた足を引きずり、ポケモンセンターに向かう。
しかし、その入り口には黒い服を着た女性が立ちはだかっていた。
「お久しぶりね、【1】」
「あなたは……シロナさん」
彼女はシロナ。
事あるごとに【1】の前に現れ、アドバイスや手助けをしてくれる世話好きの美人。
「そういえばここ、シロナさんの故郷でしたね」
「ええ、そうよ」
とりあえず世間話を切り出したが、こちらからは特に用事はない。
続きの話題を探していると、シロナが先に口を開いた。
「ねぇ、あなたギンガ団の計画を阻止したんでしょ。アレ、見たの?」
シロナの目線の先にはカンナギの壁画。
『ああ、そういうことか』
シロナは無類の神話マニア、彼女の興味はその壁画に描かれているポケモンだ。
ギンガ団はそのポケモンを使って世界を征服するエネルギーを得ようとしたのである。
「ええ、見ましたよ。というか、ゲットしました」
【1】の言葉にシロナの目が輝く。



25 :ドラーモン ◆Op1e.m5muw :2007/01/27(土) 01:51:36 ID:???

「み、見せてくれないかしら……」
シロナの顔が好奇心で溢れている。
そんな様子を見た【1】は、なんとなく意地悪をしたくなった。
「うーん、見せてもいいんだけど」
「じ、じゃあ見せてもらっていいかしら……」
その言葉にシロナは身を乗り出す。
「じゃあシロナさん、ハグしていい?」
シロナの体が瞬時に固まった。
そしてぷるぷると肩を震わせ始めている。
『あちゃー、さすがに意地悪しすぎたか』
さすがに悪いことをしたと感じた【1】が冗談だよ、と言おうとした瞬間、シロナが切り出した。
「い、いいわよ」
真っ赤な顔を背けながら両手を広げるシロナ。
『い、いいのか……』
【1】は自分の言いだした言葉に背徳感を感じつつ、ゆっくりと近づいていく。
「ほんとに、いいの?」
シロナはこくんと頷く。
いつもの燐とした姿はなりを潜め、ただ体を強ばらせているシロナを【1】はきゅっ、と抱き締めた。
シロナから「あ」という吐息にも似た声が漏れる。
抱き締めたシロナの体はやわらかく、そして暖かい。
【1】の顔をシロナの髪が心地よい香りを伴いながらふわりと触った。
「これで見せてくれるわよね」
「……うん、いいよ」
【1】は名残惜しそうにその体を離した。



27 :ドラーモン ◆Op1e.m5muw :2007/01/27(土) 01:52:48 ID:???

カンナギから少し離れた林の中で、【1】はディアルガをボールから出した。
さすがに町中でこのような巨大なポケモンを出すわけにはいかない。
「こ、これがディアルガ……神話にあった伝説のポケモン」
シロナはふらふらとディアルガに近づいていく。
その様子を見ていた【1】は、さっきのシロナの感触をもう一回味わいたくなった。
卑怯者、という言葉が頭をよぎったが、
その欲望はすでに止められないところまで来てしまっていたのである。
「シロナさん、ディアルガは見るだけ。触っちゃダメだよ」
触るにはお願いを聞いてくれ、と再び意地悪な取引を求める【1】。
シロナはぽつりと「意地悪なヒト」とつぶやいた。

「どう?」
「……」
【1】はシロナの両膝に頭を乗せ、空を見ていた。
自分の欲望は叶ったはずなのに、その心は晴れない。
【1】を膝に抱えながらディアルガを見つめているシロナの顔を見ていると、
自分の卑怯さに嫌気がさしてくる。
「俺って卑怯な男ですね。ディアルガを使ってシロナさんにこんなことさせちゃってる」
そんな言葉を聞いたシロナは、【1】の額にそっと手を当ててきた。
「今更そんなこと言うの?」
シロナは当てていた手で額をぺちん、と叩くとスッと立ち上がった。
【1】の頭がずり落ち、体が地面に投げ出される。
「わわっ!」
「はい、これでおしまい」



29 :ドラーモン ◆Op1e.m5muw :2007/01/27(土) 01:57:19 ID:???

地に転がっている【1】を尻目に、シロナはディアルガの方に歩いていった。

一通りディアルガを堪能したシロナに、【1】は深々と頭を下げる。
「ごめん」
シロナは不満そうな顔をしながら【1】の頭を見下ろしている。
「じゃあ、私のお願いも聞いてもらおうかしら」
お願い…おそらくディアルガを譲れとか、そういう事を言ってくるに違いない。
【1】は覚悟しながら次の言葉を待った。
「気を付け!」
シロナの突然の声に思わず頭を上げてしまう。
「目を閉じなさい」
シロナの真剣な顔に押され、目を閉じる【1】。
暗闇の中、自分の唇に柔らかい感触が押しつけられた。
「!!」
思わず目を開けると、その眼前にはシロナの美しい顔と、その動きに流された長い金髪が舞っていた。
重なった唇が離れるまでわずか数秒、しかし二人にとっては一時間にも感じられる数秒。
シロナは唇を離すと、そのまま【1】の体をそっと抱き締める。
「ディアルガひとりじめとか、そういうのダメよ」
【1】はその感触を確かめながら口を開いた。
「ディアルガはひとりじめしないよ。けどシロナさんは俺だけがひとりじめしたい」
「それが次のお願い?」
シロナは意地悪そうに笑い、再び唇を合わせてくる。
『シロナさんも、意地悪だ』
意地悪な二人の素直なキス、それはとても心地のよいものだった。



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最終更新:2007年01月27日 21:45