218: 名前: ちう ☆09/10(金) 21:35:49
あたしは必死に大地君から手を振り払おうとした。
大地君の手を振り払っていると、ベットの横にあった大地君との写真が下に落ちた。
もがいているうちに、棚にぶつかってしまったのだ。
「あ……あの、大地く」
「もういい、行けば」
大地君は、あたしの目を見ずに下に落ちた写真を
ただ見つめながら言った。
何か大地君に言いたいが全身で拒まれているようで何も言えなかった。
あたしは何も言わず病室を出た。
あたしが病室をでた後、病室の中で涙声で叫び何かをける音が廊下に響き渡った。
あたしは一瞬足を止めた、「ごめんなさい」と小さな声で言い残し、あたしは走った。
重い心臓は今にも爆発しそうだった。
少し走っただけで息切れが凄かった。
だけど、あたしは彼のもとに走った。
219: 名前: ちう ☆09/10(金) 22:22:36
――手術中
手術室にそう記されたところが赤く光っていた。
このドアの向こうにいるのは、佐野君なの?
しばらく、手術室の前にあった椅子に座りこんでいた。
一時間が経過した頃、手術室の赤いランプが消えた。
手術室から出てきた人に目線を送ると、沢山の人がいた中 一人の人が言った。
「佐野優太くんは、午後22時16分 お亡くなりになられました」
その人は深くお辞儀をして、その場を去った。
やっぱり佐野君だったんだね。
あたしは言葉にならない感情と、掴みきれない状況に泣いた。
「佐野君っ……」
会いたいだけだった。
それが、さよならなんて。
220: 名前: ちう ☆09/10(金) 22:43:28
――6月30日
佐野君が亡くなって、あたしは常に上の空になるようになった。
あたしの心臓病は心臓移植することになり、今日がその手術だった。
そんな時に携帯が鳴った。
【寂しくなったら、いつでも行ってやるよ】
そんな短い大地君からのものだった。
あたしは打ち返しもせず、パタンと携帯を閉じた。
そこで目に入った、白クマのストラップ。
黒ずんでいたり、綿が出てたりしてボロボロになっていた。
綿が出ているところから、何か白い紙がはいっていた。
あたしは、その紙をとりだした。
開いて見てみた。そこには小さな文字がつづってあった。
『幸せになってください』
見覚えのある字。
懐かしい彼の字。
あたしは涙がこみ上げた。
223: 名前: ちう ☆09/11(土) 18:57:03
あたしの中で、すべての記憶がよみがえる。
沢山の記憶が再生されていく。
あたしは、彼を忘れてしまった。
それでも彼は、あたしを追いかけてくれた。
あたしが「会いたい」なんて言わなきゃ
彼の運命は少し変わっていた。
あたしには罪悪感で満ち溢れていた。
それでも、
彼の残した短文の言葉が
『幸せになってください』
何年もの年月を超えて、彼とあたしを繋いでいく。
365日、まだまだ あなたに伝えてないことばかり。
224: 名前: ちう ☆09/11(土) 19:39:03
「も、優太君 桃子の桃の字間違ってるし……!」
あたしの桃子の字が挑戦の挑になっていた。優太君らしくて笑えた。
そんな可愛い所も、全部全部 大好きです。
「あたしは、あまりにも幸せです」
涙は枯れることなくボロボロでてきた。
優太君あたしは、もう充分 幸せです。
優太君が、いなくなってしまった今でも あなたの笑った顔も声も手の感触も
全部、繊細に覚えています。
「日風さん、手術の時間ですよ」
看護師さんが、病室に入ってきて あたしに言った。
あたしは「はい」と答えて病室をでた。
――6月30日 午後19時39分
あたしのは深い深い眠りについた。
225: 名前: ちう ☆09/11(土) 20:15:39
365日
すれ違いを繰り返したけど
あたしは、幸せでした。
227: 名前: ちう ☆09/11(土) 20:21:56
「365日」終わり.
229: 名前: ちう ☆09/11(土) 20:44:36
「365日」終わりました
今まで見ていただいた皆様、どうもありがとうございました(´・ω・)
皆様の、おかげで完結出来ることが出来ました 本当に感謝しています
題名が365なので365で終わろうと思ってたのですが、
早く終わりすぎてしまいましたあ('m`)ノ
次の作品でも来てくれると嬉しいです
本当に ありがとうございました+.(´^ω^`).+
最終更新:2010年11月18日 16:50