シスコンな姉と普通の妹の24時間のお話

1: 名前:刻鎖 (4PE6.BwxWY)☆11/27(土) 16:18:48



 わたしが、目覚めたのは。

 鳥たちの美しいさえずりや、親切な目覚まし時計の音なんかじゃなくて。

 ……言ってしまえば、鬱陶しいくらいの視線で。



「あ、おはよー」

「や、いろいろツッコんでいい?」





シスコンな姉と普通の妹の24時間のお話






 きょとん、としている姉は、何もしないで突っ立っていれば綺麗で可愛い……人形みたいな女子高校生。
 でも。
 実は、実は実は、ものすごいシスコンで。

 会えばいきなり抱きついてくるし、学校でだって友達に気持ち悪い呼ばわりされてるし。
 しかも、今日なんて……。

「目覚ましは?」

「! ………………え?」

 何をギクリとしているのだ、おーい?

「いや、だから目覚まし」

「……し、…知らないよぉ……?」

 ……。
 絶対何かある。思いっきり目が泳いでるし。
 隠したとか?
 姉に限って、そんなことはないと思うけど。

 じー、と疑いの目で姉を見つめる。すると、姉は降参したのか「ごめんなさい」と早口で言うと、嫌になるほどに呆れる事実を口にした。

「こ、壊した」

(………………は?)

「壊したァァ!?」

 テヘ、とか言って舌出してくるの……止めてもらえません? 滅茶苦茶ムカつくんですけど?
 てかよく壊せるよね、高校3年生の女子の腕力で。


「だって~、和の『睡眠タイム☆』を邪魔しようとするんだもん!」


 星マークゥゥゥ?
 だってじゃないだろう? 絶対だってじゃないだろう?

 ……そのとき、わたしはお母さんの声で、危うく気絶してしまいそうになった。



「な~ご~み~、あ~か~り~! もう9時よ~、学校早く行きなさい~」



 そんなのん気な口調で言われても…ね。
 わたしは、このとき思いました。

 『姉は凶器だ』……と。


 ―――――――――――――――――――――――


 チャイムが鳴って、2時限目がちょうど終わっただろうころに、わたしは教室のドアを静かに開いた。
 予想以上に授業は早く終わったようで。教室に入るとみんなワイワイ騒いでた。ふっと胸をなでおろし、さて、席に着こうとしたそのとき。

「和~!」

「ぐわぃぼぁらぉ!!」

 し、しまった。つい変な叫び声を……。
 でも、そりゃビックリするよね? 自分の机に、自分の姉が座っていて、そこら辺のクラスメイトとしゃべってるんだよ?

「お姉ちゃん!?」

「何、何?」

「何じゃねーわァァ!」

 ガララララ……、音を立てて机はひっくり返り、姉は床にドスンと落ちる。
 その原因はもちろんわたし……じゃなくて姉で。
 でも、クラスメイトはわたしのことを何か恐ろしいものを見るかのような目で見てくる。
 あら、わたし何かしたかしら?

「う~、痛いなぁ。和? 何すんの~」

 痛そうではないけどな。

 尻を押さえて「痛い、痛い」といいながら立ち上がる姉の顔は、痛いというよりむしろ会えて嬉しいといった感じの……そう、変態の顔だった。

「こっちの方が何してんのだ「何してんのじゃなくて何すんのだよ」どうでもいいわ!」

「和ちゃん、朱李さんにも事情が「え? アタシそんなのないよ?」……あ、すいません」

 うちの姉の悪いところといえば、シスコンなところと……人の話に割り込んでくるところだろう。
 ごめんね、わたしの友達こと樹乃ちゃん。
 わたしの姉を庇ったのに、その姉に否定されるなんて。

 なんて、いらんことを考えていると……先生登場。
 きっとあれだ。机だ。騒ぎを聞きつけてやってきた『ティーチャーマン』。
 騒ぎなんて起こってたっけ? ま、いいか。

「というわけで、お姉ちゃん。先生きたから帰って」

 お姉ちゃんはしぶしぶ自分の教室に戻っていった。ティーチャーマンも、わたしが机を直すとさっさと行ってしまった。
 これで今日の学校騒ぎは一件落着。
 あー、疲れた……。



 ―――――――――――――――――――――――



 放課後。
 わたしは帰宅部だから、野球部とかサッカー部とかが使っている校庭を横切って速やかに家に帰る。
 入りたいけど……とかいう理由じゃない。
 入りたいものがない、とかいう理由でもない。
 ただ、入りたくない。
 その理由は単純で、『姉と一緒の時間に帰宅するのはごめん』というものだ。

 嫌いではないけどちょっと苦手。
 好きではあるが、何か近寄り難い。
 そんな感じ。

 家までの道のりでは、いつも姉のことを考えている。
 さすがの姉でも、部活を休めばこびっとく怒られることを知らないわけではないから。この時間の考え事は、誰にも邪魔されずに静かに考えることができる。
 わたしの時間。



 ―――――――――――――――――――――――



「お姉ちゃん、それつまんないから他の番組に変えて~」

 夕飯を食べながらテレビを見て、わたしは向かいの席の姉に頼んだ。ただ、面倒くさそうにだけれど。
 お母さんとお父さんは仕事で11時くらいまで帰ってこない。
 この時間はいつも、わたしと姉の2人だけで。

「え? これ面白いじゃん?」

 ……わたしは、姉ってズレてると思う。
 気のせいかな。

「これのどこが?」

「全て」

「ふぅん」

 やっぱり、わたしの姉は何か変だ。
 妹のわたしでさえ、よく知らない。

「でも、和がつまらないんだたらいいや」

 そういって、チャンネルをわざわざ変えにリモコンをとりに良く姉。
 優しいんだけど……ねえ?
 可愛くて綺麗で優しくて。でも、残念なことに完璧な人間はいないから。
 シスコンってかレズ? っていうのが悲しいよね。

「ありがとう」

 ニッと歯を見せて笑うと、姉は親指を突き立ててグッとポーズをとった。

 でも、やっぱりこのチャンネル微妙だ。
 姉にはとてもいえないけどね。







 end.



2: 名前:刻鎖 (4PE6.BwxWY)☆11/27(土) 16:26:47
 +あとがき+

 はい、思いっきり短編ですが何か問題でm((うるせェ←
 お姉ちゃんがほしかった刻鎖の駄作、読んでいただけたでしょうか(笑)
 わたしは百合好きとか言ってますが、べたべたしているのは好まないんですよね、はい。
 こういうさり気ないのがいいなーって。
 どうでもいいこだわり、聞いてくださりありがとうございましたb
 本当にこんな姉妹がいたら、めっちゃ嬉しいよね、はい。

 ではノン

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最終更新:2010年12月08日 20:27
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