122: 名前:マロン☆10/18(日) 21:13:26
呪いの鬼ごっこに行く前にお父様が言っていた
「神奈…お前がもしその人を生き返らせたいと思ったときに使える呪文を教えておこう」
呪文?私は不思議ながらもお父様の部屋へと向かった
私はお父様の前で正座をして真剣な顔で向き合った
だって、お父様の顔は今まで見たことのない悲しさと悔しさが混ざった顔だったから…
「神奈…先に言っておく。この呪文を使えば生き返ってほしい相手は生き返るがその生き返った相手の分の痛みや苦しさも受けることになる。最悪の場合…死ぬことも…」
そんなに危ないってこと…?私が死ぬかもしれない…?
たかが呪文で…!?そんなばかげた話があるはずないよ…!!
「たかが呪文と思っていると大変なことになるぞ…
この呪文はお前が思っている以上に体力を使い。そして…
痛みや苦しさを受ける」
私はただ下を向いてお父様の話を聞くことしかできなかった
だって、たかが呪文で死ぬかもしれないなんて思わなかったから…
でも、私は決めたんだ!!何があっても祐梨亜さんだけは守り通すって
私は鬼ごっこに行く前に私の部屋に置かれている
【未来を映す鏡】を見た。その鏡で私が見たのは
野島敬君の死で相崎由愛ちゃんが悲しんでいるところだった
私の胸は小さく痛んだ
私も野島敬君のようになるのか…
別に悲しくはない…怖くもない…
だって、いずれ人間は死ぬのだから…
その死ぬ時が少し早まっただけの話…
でも、なんでかな?
体の震えが止まらなくて
目からはたくさんの涙があふれ出る…
なんでこんなに怖がっているの?
124: 名前:マロン☆10/19(月) 21:03:39
あぁ、やっと思い出したよ…
お父さんが言ってたじゃないか…
「生き返った相手の相手の痛みや苦しさも受けることになる」
言ってたんだね…私に忠告してくれていたんだ
でも、もう遅いよ…
私もう死んじゃうんだよ…?
今頃私が思いだしたところで遅いんだよ
「…お…父…さ…あぁぁぁッ!!!!」
敬君の痛みって首を食いちぎられたんだっけ…
殺されるってこんなに痛いんだね…
死ぬってこんなに怖いものなんだね…
私の首の肉がどんどん食いちぎられたようになくなってゆく
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
私の首元に走る痛みはとてつもない
口を押さえて声を上げるのを我慢しようなんてことはまず無理だ
例えることも難しい…
「あ…だ…れ………す…け…て…ヒュー」
声を出すことも難しくなってきた
いや、難しくなってきたんじゃなくてもう無理なんだ
私の目の前は少しずつ水彩のようにぼやけてゆく
意識が少しずつ遠くなっていく…
今わかった…
私、死ぬんだ…
あれ?なんで私死ぬんだっけ…?
なんでこんなに首から血を出しているんだっけ…?
あれ…? アレ?
私は静かに目を閉じて眠りに入った
深い深い永遠の眠りについた
白石神奈 死亡
129: 名前:マロン☆10/21(水) 21:00:53
新井優奈目線
「なんか武器になるものないかな?」
誰もいない静まり返った家庭科室であたしは武器を探す
そう、この武器はユキちゃんに反撃するだけのものではない…
未那を殺すものでもある…
未那を殺さなきゃ祐梨亜が殺されちゃうッ!!!
「祐梨亜…私が未那を殺すまで生きていてッッ!!!」
私は必死に神様に祈り続ける
未那だけは殺さなきゃ…
未那だけは…
未那ダケハ殺サナキャ!!!!
未那…あんたに祐梨亜は殺させないッ!!
私と神奈で祐梨亜を守って見せるんだからッ
―数時間前―
あぁ、私なんて馬鹿なことと言っちゃったんだろう
この鬼ごっこ私死ぬかもしれないのに…
私のやっていることって命を無駄にしていることだよね…
私は教室で言ってしまった言葉に後悔していた
なんであんなこと言ったのかな?
馬鹿だとしてもここまで馬鹿な人はいないよね…
確か、未那の家に集合だっけ…
みんなより早めに行こう…
私はみんなより早く未那の家に行った
未那の部屋には私と未那の二人きり
何もしゃべらないままどんどん時間が過ぎていく
何も話題が思いつかない私は少しパニック状態に陥ってた
未那は私を少し見つめるとやっと口を開いて言った
「優奈…私ね、この鬼ごっこを機会に祐梨亜を殺そうと思うの…」
え…?何言ってんの…?祐梨亜と未那は親友でしょ?
未那の言っている意味がわからないよ…
そんな驚いている私に未那は続けていった
「でも、私だけじゃ祐梨亜は殺せないの…だから、優奈も手伝ってくれる?私たち、親友でしょう?」
嫌だよ…なんで私が手伝わなきゃいかないのよ…
祐梨亜を殺すことなんてできるわけないじゃん
祐梨亜は、優しくて頭もよくて私たちの親友だよ!?
でも、未那は私の心を読み取ったかのように
私を輝きのない瞳で見つめながら私のもとへと近寄ってきて
「優奈ァ?私たち親友なんでしょォ?親友だったら手伝ってくれるよねェェ!?親友なんだろッッッ!!!?なんか言えって言ってんだよッッ!!!」
いつの間にか未那は私の胸ぐらをつかんで叫んでいた
私は、怖くて声が出なかった
「声が出ないのォ?だったら、無理矢理にでも出させてあげるよッッ!!!」
そう言って未那は机の引き出しの中からカッターとハサミを取り出した
未那は私の上に乗っかり私の体の自由をとった
身体の自由をとられた私は手足でもがくことしかできない
私は必死に手足でもがきながらも未那に抵抗したけど
未那のほうが力が強かった
黄色の箱の中から縄跳びと未那の弟のおもちゃの手錠を取り出した
まず、未那は私の両手におもちゃの手錠を付けてきた
手錠の締め方がが思った以上にきつくて手首が痛い
次に未那は縄跳びで私の足をぐるぐる巻きにした
そして、もう一つの縄跳びで手が動かないようにベットの柱に縛り付けた
これで完璧に私の体の自由は奪われた
未那は右手に握りしめていたカッターから少しずつ刃を出し始める
少し出したところでそのカッターを私の頬へと近づけてきた
「このカッター凄い切れ味がいいのよ…これであんたの頬を切ったらどれくらい血が流れるのかなァ?」
私の頬へとカッターを近づけながら未那は輝きのない瞳に私を見つめながら口元だけを緩めて笑った
「もう一度だけ聞くよォ?優奈は祐梨亜を殺すの手伝ってくれるんだよねェ?」
私に笑いかけながら問いかけてきた
私は未那を鋭く睨み言った
「誰が協力するか…ボケ…少し頭冷やしてくれば?」
私なりに憎まれるように言ったつもりだ
私の言葉を聞いた未那は笑顔がひきつっていて口元をひくひくさせていた
「笑顔がひきつっているよ…?おバカさん」
私の最後のこの一言が未那を怒らせた
「てめェ…調子乗ってんじゃねーぞ!?殺すぞ!!」
未那は私に向かって叫んできた
私は慌てず何故か落ち着いていた
「調子に乗ってなんかないし…てか、調子に乗ってんのはあんたのほうだろうが…1つ何か成功するとまた二つや三つすべて成功できるとでも思ってんの?
あんたはいつもそうだよね?何か一つ成功すれば調子に乗って自分にはすべてできると思いこみやがって…!!!
ふざけてんのはあんたのほうでしょ!!!?」
私も未那に反撃した。ずっと前から思っていたことをすべて吐き出した
「殺すッッ!!絶対お前を殺す!!!」
未那は私を睨んで叫んだ
「殺したきゃ殺せばいいよ!!」
私はつい言ってしまった…
その言葉を聞いた未那が私を見下しながら笑った
134: 名前:マロン☆10/24(土) 20:29:42
「じゃあ…お望み通り殺してあげる!!」
私は静かに目を閉じた。あまり恐怖感が出てこなかった
数秒たっても何処にも痛みが走らない…
目を開けると未那がクスクス笑いながら私を見下していた
「クスクス…そんな簡単に殺すわけないじゃん…
馬鹿なのはどっちかなァ~?
それにあんたを今ここで殺したら私捕まるじゃん」
殺すなら早く殺して…という気持ちが私の胸を横切った
でも、胸の奥では少しだけホッとした
でも、殺すだけでなんでこんなエロっぽいような格好しなきゃいけないわけ?
はっきり言って少しだけ恥ずかしい…
私が顔を赤らめると同時に未那が言った
「まだ殺しはしないけど痛めつけてはあげる…クスクス」
私の顔は少し青ざめた
痛めつけられる…?
「どうしたのォ?殺されるより痛めつけられるほうが怖い?」
未那は不気味な笑顔を私に見せてきた
138: 名前:マロン☆10/25(日) 21:06:40
痛めつけられるくらいなら殺されたほうがましなのにッ!!
「大丈夫だよォ…ちょっと傷つけるくらいだからァ」
未那の『ちょっと』という言葉は信用ならない
この間だって「ちょっとだけお金貸してェ~」と頼まれて
500円かしたら「え~!?500円だけェ?2000円くらい貸してよォ」と言われた
そういえばまだ、あの時貸した2000円返してもらってないや…
そんなことを考えているうちに未那は着々と私をいじめる準備をしていた
「よしッ!!これで準備OKェ!これで思う存分優奈をいじめられるよ…クスクス」
まず最初に未那が出したものはカッターだった
そのカッターはさっき私を脅すのに使ったやつで
未那はそのカッターを私の腕へと近づけた
「大丈夫…すぐにいたくなくなるよォ」
そう未那が言ったあとだった
私の腕に激痛が走った
「痛ッ――!!」
私が未那を見ると未那の持っているカッターの刃には血がついていた
私は未那を睨んだ
精一杯の恨みを込めて睨んだ
「―ッ!?…あんたのその顔も前から気に入らなかったのよッ!!!」
未那が私の頬へとカッターを向けて
「かわいそうねぇ…ブスな顔がもっとブスになっちゃうね…クスクス」
そう言って私の頬にカッターを刺した
「痛いッ!!?」
私の頬に激痛が走る。それと同時に頬から生暖かい液体が流れる
「もう、一度聞くよ?私に協力してくれるよね?」
私は未那を睨んで聞いた
「なんであんたはそんなに祐梨亜を殺したいわけ?祐梨亜を殺しても何もいいことはないしあんたが犯罪者になるだけじゃん」
私は叫んだ。お腹の底から叫んだ
私の叫びを聞いた未那は私を少し馬鹿にした顔で見下ろして
「だって、祐梨亜を殺せば竜君が私のものになるじゃん?
祐梨亜は竜君のこと好きでもないのにいつもべたべたしてるから、むかつくのよ」
たった、そんな理由で?たかが、そんな男を奪う理由で親友を殺すの?
「あんた…そんな理由で人を殺すなんてあんたの脳みそは腐ってんのか!!?」
私は怒った。許せない…森崎君を奪いたいだけの理由で
祐梨亜を殺すなんて…!!!!
「あんた、何祐梨亜ごときに熱くなってんのよ…馬鹿はあんたのほうだし脳みそが腐っていたら祐梨亜を殺すなんてこと考えること出来ないじゃん?本当にあんたって頭悪いのね」
その時だった。ピンポーンと未那の家のチャイムが鳴った
未那は小さく舌打ちをすると私の体を自由にして絆創膏を
私の目の前に適当に投げると玄関へと走って行った
私は、未那が投げた絆創膏を頬と腕に張って祐梨亜立ちが未那の部屋に来るのを待っていた
143: 名前:マロン☆10/30(金) 21:13:56
私は、鬼ごっこの話をしている途中何度も未那の顔を見た
今のこの場で話している未那が本当の未那?
それとも、さっき私にカッターを向けて脅してきたのが本当の未那?
頭の中がごちゃごちゃになる…
「…奈!!優奈ッ!!」私はその声で我に返った
声をかけてくれたのは未那が殺そうとしている祐梨亜だった
私がぼーっとしていたのを見てどこか具合が悪いの?と優しい声で問いかけてくれた
私は無理矢理笑顔を作って誤魔化した
未那の話が終わって帰ろうとした時だった
未那が私の肩を強く掴んで
「優奈ァ?祐梨亜を殺すの頑張ろうねェ?」
えッ!?
私、祐梨亜を殺すのを手伝うなんて一言も言っていないよ?
「メール見てくれなかったのォ?」
そう言って私は、自分の携帯を開いた
そう、待ち受け画面の隅っこに新着メールが1件と表示されていた
私はメールの内容を見た
---------
題名:さっきの話……
発信者:未那
-----内容---
優奈ァ♥さっきの話の続きなんだけど
祐梨亜を殺すの手伝うならこのメールに返信しないで
祐梨亜を殺すの手伝うの嫌ならこのメールを祐梨亜に送信して?
決めるのは 優 奈 次 第 だ け ど
----------
何これ!?
149: 名前:マロン☆11/01(日) 20:49:23
はぁ…私があの時携帯のメールに気づいていればよかったのに…
でも、携帯のメールに気づいても気付かなくてもどっちみち私は未那を殺すと思う
私を傷つけてそして、祐梨亜を殺そうとしているから
私は、立ち止まっていた足を再び動かせる
廊下内に私の足音が響く
静まり返った廊下にコツコツと靴で歩く音が
私は逃げない!!どんなことがあっても逃げ出さない!!
例えこの先の地獄に行こうと私は逃げ出さない
覚悟を決めたんだから!!
私は真剣な顔で前を向く
《カッコイイネェ~?イカニモ勇者ッテ感ジガスルネェ~
デモ、勇気ダケジャ人ハ救エナイヨ…
ミンナ、ソウ言ッテ逃ゲルノ
ミンナウワベダケイイコト言ウケド
本当ハソウ思ッテナイヨ》
私が後ろを振り向くとユキちゃんが立っていた
私を見てくすくす笑いながら
その笑いはあの時の未那と同じだった
私はユキちゃんを睨んで持っていた包丁を握り刃をユキちゃんに向けた
ここで死ぬものか!!死んだら誰が祐梨亜を守るの!!
私はユキちゃんをずっと見ていたけど一向に私に襲いかかってくる気配がない
それでも油断せずに私はユキちゃんを見続けた
最終更新:2010年12月21日 17:41