1: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆10/27(水) 15:26:34
かちゃ。
「あ、キョンくん、長門さん。どうも」
栗色のふわふわな髪を揺らしそういったのは朝比奈みくる。
「あ、朝比奈さん、今出ていきますねっ」
みくるがカバンを置いたらキョンはあわてて廊下に出た。
「あ、はい」
「……朝比奈みくる」
長門有希は、メイド服を着る途中のみくるを静かに呼んだ。
「はい? なんでしょうか」
「……」
無言で長門はみくるに栞を渡した。
「……?」
栞を見つめてきょとんとしたみくるに長門は「後で読んで」といった。
「……はぁ……」
*
ハルヒ「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの二次小説には興味ありまん」
……ということで作った二次小説「涼宮ハルヒの創作」。
まさかできるとは思ってなくて歓喜の気持ちでいっぱい。管理人ありがとう。
2: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆10/27(水) 16:53:08
「キョンくん、もういいですよぉ」
「あ、はい」
そういってキョンは部室にはいり、いつもの特等席に座った。
「お茶淹れますねぇ」
「ありがとうございます」
そういってみくるはキョンと長門のお茶を淹れた。もちろん、熱々のほうじ茶。
「どうぞ」
まずキョンに渡した。キョンは「ありがとうございます」と一言いい、みくるは長門のほうへ行く。そしてみくるはお茶を置き、長門に囁いた。
「皆さんが帰ってからでよろしいですか?」
「むしろそうしてほしい」
長門も小声で言った。キョンには聴こえないように、こそこそと。
「……?」 ズズッ 「……あちっ」
3: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆10/28(木) 16:32:16
そしてドアの外から荒々しい足音が聴こえてきた。それは――。
「いやっほーう! みんなきてるぅ!?」
そう、SOS団団長の涼宮ハルヒ。
「……あら、古泉君はまだ来てないの?」
ハルヒはきょとんとした顔になった。
「ああ、そうだな」
「ふーん……」
そしてハルヒは不機嫌そうな顔をした。何か朗報でもみんなに伝えようとしたのだろうか。
「まあ、いいわ。古泉君には明日でも言っとくわ」
――なんだ、また変なことでもするのか。勘弁してくれよな。やれやれ。
「みくるちゃん」
「あっ、はぁい」
みくるはお茶を淹れようとしたが――。
「ストップストップ、みくるちゃん。お茶はあとでいいわ」
「ふぇ?」
「なんであたしが来たとき有希とみくるちゃんこそこそしてたの?」
「ふへぇ!?」
みくるは驚愕した。そしてかたかたと長門のほうを見た。
「……」
長門はSF系のハードカバーを読んでいたが視線に気づいたのかみくるを見た。
「……(長門さぁん、どうしましょうぅ)」
「……」
「どうしたのかしら? みくるちゃん。何か隠してるの?」
ハルヒはじとっとみくるを見る。キョンはそれを見るまま。
*
半端だけど板落ち
4: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆10/28(木) 18:11:55
葉っぱ天国で反論してきますた!←
*
「……」
「……(長門さぁぁん! 助けてくだしゃぁぁぁい!)」
「何よ言いなさいよぉ!」
キョンもイラついてきたのかみくると長門がかわいそうになってきたのか、キョンは立ち上がった。
「何よ、キョン」
「ああ、実はな、えーっと、なんだ。長門と朝比奈さんが今度二人でなんかするらしいんだ」
キョンはあわてて言い訳をした。
「キョンくぅん……」みくるが呟いた。
「何よ、じゃあそんなこそこそしなくていいじゃないの」
「あなたに楽しんでもらいたいから二人だけであることをする」
淡々と話したのは長門だった。
「そうなの?みくるちゃん」
「あ、そうなんですぅ! でも涼宮さんにばれちゃったからなぁ……。本当はサプライズにしようかと思ったんですぅ……」
「みくるちゃん……有希……」
ハルヒはみくると長門にじりじりと近づいた。
「(ふぇぇ、何をするんですかぁ!?)」
「……」
「よぉくやったわぁぁ!!」
ハルヒは二人に抱き着いた。みくるは顔を赤くし、長門は無表情のまま。ハルヒは満面の笑みで、キョンはいつしかのコンピ研部長がみくるの胸を揉んだときの顔をした。「なんとっ!」の顔を。
「二人とも、それならあんたたちに期待するわ! ぜっっっったい! 面白いものにするのよぉ!」
みくるは「はひぃ」と返事(か?)をし、長門はコクリとうなずいた。
5: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆10/29(金) 19:57:38
その後古泉は「バイトがあるので」といい、先に帰っていった。
閉鎖空間でもできたのだろうか。キョンはそう思った。
――でもなんかストレスたまるようなことあったか? 今日……? まあいい。
そして今は古泉がいないためみくるとキョンがオセロで勝負、ハルヒはパソコンの画面と睨みあい、長門はいつも通り黙々と読書をしてた。
そしてみくるの脳裏にふっとハルヒの表情を思い出した。
「涼宮さん、そういえばさっき何かお話があったのでは……?」
「ああ、そうだったわ。ありがとうみくるちゃん。あたしすっかり忘れてたわ」
そういうとハルヒは椅子にあがった。ぐるぐる回るから落ちないかと心配しながらみくるはみた。
ハルヒは手をパンパン叩きながらこちらに目線をやるように、
「あたしから連絡があります!」
そういった。
みくるは見逃さなかった。一瞬ハルヒの表情が寂しそうにしたのを。
「えー、実は……」
「涼宮さん!」
話し始めようとしたハルヒをみくるが止めた。
「……? みくるちゃん、どうかした?」
「あ、その……。お話なら古泉君がいたほうがいいかと思うんです……。やっぱり……」
みくるは俯きながらいった。ハルヒは悩むような顔をし、「わかった」と一言言った。それからハルヒは何もしゃべらなかった――。
みくるは俯きながらとぼとぼ歩いていた。
「……あ」
みくるは思い出した。長門からもらった栞を。みくるはカバンから栞をだした。
「……ふへ?」
みくるは急いで「ある場所」に向かった。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
みくるは走り続けた。足が時々痛む。明日には……今すぐ筋肉痛になってもおかしくないくらい。
「おじゃましまぁす」
「……」
みくるは「長門の家」にいた。長門は何もないリビングへ誘導し、お茶を淹れてきた。
「……長門さん、お話て、なんでしょうか……?」
「……」
そう、栞に書いてたのは『下校後早急にマンション708号に来るよう。』そう書いてた。
「それは――」
「……ふぇっ」
6: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆10/31(日) 09:48:40
みくるはとぼとぼと自宅に向かった。
『それは――』
『はい』
『涼宮ハルヒが転校することになった』
『ふぇっ』
長門は淡々と語りだした。
『涼宮ハルヒは先程全員に報告しようとした』
『はい』
『朝比奈みくる、あなたは涼宮ハルヒの表情の変化をみた』『はい』
『それは転校のこと。涼宮ハルヒの両親の都合で東京に引っ越すことになった。それをす――』
『ま、待ってください!』
みくるはつい立ち上がってしまった。みくるは「すいません」といい座った。
『でも、涼宮さんなんですから涼宮さんが望めば済む話じゃないですか!』
確かにそうだ。ハルヒが転校したくないと望めばそんなの取り消し。なかったことになる。
『涼宮ハルヒは閉鎖空間を作るほど両親に説得した』
みくるはそのときその光景を思い浮かべた。
『なんであたしまで行かなきゃならないのよ! あたしはここに残るの! ここに残ってもっと面白いことを――』
『ハルヒ! いい加減にしろ! これはもう決まったことだ! お前も行くんだ!』
『そんな……』
『あ……』
みくるは涙を浮かべた。
『けど両親はそれを許さず強制的に決定した。そして涼宮ハルヒ本人もそれを納得した。
それと同時に彼女の力は徐々に消えて行ってる』
『てことは……』
みくるの身体中に震えが走った。
みくるは浮かんでた涙を一気にぼろぼろ流しだした。
『そう。私は統合思念体により消去され、あなたは未来に帰り、『機関』は解散され、ただの人間になる』
そして長門はお茶を飲んだ。
『きょ、キョンくんには、古泉君には言ったんですかぁ!?』
みくるは涙声になって問う。
『古泉一樹はもうこの事実を知っている。彼にはもう伝えている』
『そうですか……』
みくるは知らなかった。まだ未来からなにも聞いてなかったから。
長門はそれを知ってたからみくるに伝えたのだろう。
『……涼宮さんは、いつ転校するんですか?』
みくるは俯いた。長門をチラッと見ても、無表情で姿勢を変えない。
『……1週間後』
『へっ』
みくるは思い出した。長門とキョンがあることをするといってたのを。
それはハルヒとのお別れパーティーのためだろう。
いや、ハルヒだけではない。キョンにとっては――。
――『ハルヒと、みくると、長門と、古泉との』お別れ。
『いやです……。いやです……。私、みんなと離れたくないですよぉ……! あたしはみんなと一緒にいたいんですぅ……!』
みくるは涙と鼻水で顔を歪ませた。
長門は黙った。そしていった。
『……私も』
みくるは凄く驚いた。長門の口からその言葉が出てくるから――。
「涼宮さぁん……。古泉くぅん……。長門さぁん……」
みくるはまた泣き始めた。ハルヒよりも、古泉よりも、長門よりも別れたくなかったから。
「キョンくぅぅん……!」
『朝比奈さん』
『朝比奈さん』
『朝比奈さん』
『朝比奈さん』
キョンの「朝比奈さん」と呼ぶ声が脳内にリピートする。
「キョンくぅん……。キョンくぅん……!」
みくるはその場にしゃがみ込み、静かに泣き続けた――。
7: 名前:有希 (02M0Jkutfc)☆10/31(日) 13:38:57
このままじゃあ朝キョンになっちゃう……。
俺様は長キョン支援なのに…orz
*
カチャ。
ドアを開けたら、キョンと長門がいた。
「おはようございます」
「ああ、おはようございます……。朝比奈……さん……」
「……」
キョンは辛いくせに笑顔で接した。
それは逆にみくるの心を痛めた。
「……」
みくるはその場で俯いた。
「ああ、着替えますか? でてい「着替えません」
「え……?」
「今日は制服のままでいたいんです」
みくるは椅子に座った。
がちゃ。
「こんにちは」
今度は古泉が来た。
いつもの無駄に爽やかな笑みは今日はなく、深刻そうな顔をしていた。
「……古泉君、おはようございます」
「……よぉ」
「……今日はメイド服着ないんですね」
「はい……」
気まずい空気だった。
がちゃ
「ぃぃいやっほぉーーーう!」
ハルヒがいつもの元気さで部室にはいってきた。
皆ハルヒにおはようといい、団長様特等席に座った。
「……みんなにお知らせがあるわ」
ハルヒがいきなりそういった。
けどみんなはもう知ってる。聞いてるふりをした。
「……一週間後、あたしは転校するわ」
「ふぇ!?」
「な……っ!」
「……!」
「……」
みんな(長門、ハルヒ含めず)驚いた演技をした。
「ごめんねみんな、急にこんなこと……。親父の都合で決まっちゃったの」
ハルヒが初めて「ごめん」といった。それはみんな本気で驚いた。
「ハルヒ、じゃあSOS団は……」
「解散よ」
皆やっぱりかという顔になった。
キョンも一応訊いただけだ。
「……そう……ですかぁ」
みくるがぼそりと、呟いた。
「……で…………せ………………いい………………」
そして今度はみんなに聴こえないぐらいの声で何かいった。
8: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/01(月) 20:54:59
帰り道、キョンは長門と一緒に帰っていた。
「なぁ長門……」
キョンは一度立ち止まった。長門も立ち止まる。
「……何」
「お前は、ハルヒの力が消えたらお前も消えるって言ってたけど、なんとも思わないのか?」
「……私には寂しいなどという感情はない。単なるたんま」
「端末とかそういう前にだッッッ!!」
「……」
キョンがいきなり叫んだが長門は無反応。
「お前は単なる端末じゃない。もう少し変わっただけの、そこらにいる女子と一緒なんだ!」
少し離れてた長門はキョンに近づく。
そして長門は「すまなかった」とつぶやいた。
そしてキョンは長門を自分の胸に抱き寄せた。
「……」
長門の髪に熱いものが落ちる。
「……あなたはなぜ、泣いてるの……?」
――長門、俺もなんで泣いてるかわからない。辛いからなのかもな。ごめんな、最後までお前を守れなくて……。
「……!」
一人の少女は顔を強張らせた。
「あ……あ……」
――なんで、あの二人が……。
一人の少女の長門の思いは、そのとき「憎しみ」に変わった。
9: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/01(月) 21:16:45
「……」
長門はキョンのもとにお茶をおいた。
「……サンキュー」
キョンは熱いお茶を少しすする。キョンはすごく小さい声で「あちっ」といった。
「わりぃな。さっき……」
「私は別にかまわない」
「……そっか」
「そう」
そして沈黙が続く。
キョンは足の裏をかいたりお茶をすすったりして、長門は微動だにせず綺麗な正座を維持している。
「……長門?」
キョンが話しかけた。長門は「なに」という。
「……その……、ごめんな」
「別にかまわないとい」
「違う。俺、ずっとお前のこと守ってやりたいって思ってたんだ。
けど……、急にハルヒが転校とか言って転校したらあいつの力も消える。
つーことはお前らもいなくなる……。ごめんな……。長門……。最後まで守ってやれなぐっでよぉ……」
キョンの声は涙声になっていた。キョンは長門を観てみると少しだけ表情が変化してるような気がした。
「……どうしてあなたは私なんかを守るの?」
長門はいつも以上に小さい声でいった。
「……お前はカマドウマのときやあの無限ループのときにすっげー迷惑かけたじゃねーか……。それでこれからは俺が長門を守ってやろうって……」
「……そう」
10: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/01(月) 21:54:22
長門はキョンの湯飲みにお茶がはいってないのに気づき、湯飲みを自分のほうにやり、お茶を淹れた。
「サンキュー……」
キョンはお茶を飲んだ。お茶はさっきより少しぬるくなっていた。
*
短いけど落ちる。おやすみなさい。
11: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/02(火) 14:27:31
斉藤ウゼー。殺したいw
*
「なぁ長門……」
「何」
そしてキョンはずっと思ってたことを訊いた。
「お前は、一人でいるのが寂しいって、思ったことないのか?」
「……」
少女は部屋のベッドに寝転び、腕で目を隠す。
「っ……」
少女は歯を食い縛った。
「なんで……有希とキョンが……」
少女……。ハルヒは歯をギリギリと音を立てる。拳に力もはいってくる。
憎くて、憎くて……。
「有希が……、こんなに憎いだなんて思ったことなかったわ……」
ハルヒはくすくす笑う。いつもとは違う、不気味な笑い声。
ハルヒは壁を向いたりシーツを向いたり、ごろごろとした。
「有希が憎い……。有希が憎い……。有希が憎い……。転校なんて……、してられるか……! 有希を殺してから……、有希を殺してから……!」
ハルヒは、くすくすと不気味な笑いをあげていた。
みくるは部屋で好きな音楽を聴いていた。
「……へ?」
視聴中みくるは上からの指令がきたのを確認した。
「…………!」
みくるの瞳にぶわっと涙が溢れた。
みくるは「そんな……」とつぶやく。それと同時に全身にかたかたと震えが走る。
「いや……嫌だ……」
みくるはその場にペタリと座り込み、その場で静かに泣き続けた――。
12: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/02(火) 14:42:01
「お前は、一人でいるのが寂しいって、思ったことないのか?」
「ない」
長門は即答した。あまりにも早い返答だったのでキョンは少し驚いた。
「……本当か」
改めて訊いた。
長門はコンマ3個分ほどあけて「そう」といった。
「……そっか」
キョンは俯いた。
「……そう」
その時長門はどんな表情をしたのか気になったのでみようとしたが、観れなかった。
「ふふ……ふふふ……ふふふふふ……」
ハルヒは大の字状態にした。ハルヒの表情は、もう完全に狂気の顔。
面影など、どこにもなかった。
「どぉしよぉかなぁ……? どうやって殺そうかなぁ……?」
ハルヒは机に向かい紙に何か書いた。
「どうして……、あたしが……。涼宮さんを……」
上からの指令はこうだった。
――2日後、涼宮ハルヒは長門有希を殺害する。それを防ぐため涼宮ハルヒを殺せ。
“殺せ”。みくるにとってその単語は心に深い傷をつけた。
みくるは上に「いや」と反発しようとしたが、殺さなかったら未来は変わってしまう。必然のことが必然ではなくなる。未来人のみくるたちにとってそれは、異常事態のようなこと――。
「……私しかいないんですもんね。私が……涼宮さんを……」
みくるはキュッと拳を握った。
――私が、未来を守る。涼宮さんを、殺してでも……!
13: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/02(火) 17:07:14
「涼宮さんを……、殺してでも……?」
――“殺してでも”? そう。私は涼宮さんよりも未来優先のはず……。
「涼宮……さん……」
『みくるちゃん』
『みっくるちゃーん!』
『みくるちゃ~ん?』
『みくるちゃんっ』
「涼宮さん……!」
みくるの目からまた涙が溢れだす。
「私……、無理です! 殺せません! 涼宮さんを殺すなんて……私にはできません!」
「できた……!」
紙の一番上には「長門有希暗殺計画」の文字。下には以下の内容が描かれていた。
1.有希は昼休みも部室にいるからそのときに殺す。キョンにはみくるちゃんが屋上で呼んでたと言っとく。
(首絞めまたは刺殺または毒殺)
2.部室に出る
3.6限が終わり先に向かう
4.悲鳴をあげる。
5.有希が死んでたことにする。
6.その後キョンに告白
7.ハッピーエンド
「これでOK……。有希……、待っててね……! あたしが殺すそのときまで……!」
そして、ハルヒの高笑いが部屋中に響き渡った。
「……」
「……」
気まずかった。
長門は体勢を変えぬまま。キョンは俯いたまま。
「あ……」
「……」
「俺、帰る……な」
キョンは立ち上がった。
長門は「そう」といい、湯呑を片付けた。
14: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/03(水) 17:49:38
キョンは教室の引き戸を引いたが、いつも頬杖をつきながら外を眺めるハルヒがいなかった。
キョンは疑問に思いながら席に着いた。
少ししてハルヒがやってきた。キョンは「よう」といったがハルヒは無視して席に着いた。
「ハルヒ……、お前目、どうした?」
「え?」
ハルヒの顔は目の下のクマがくっきりとできていて、真っ青だった。
「ああ……、なんでもないわ。ちょっと寝不足なだけよ……」
「そうか」
15: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/03(水) 18:31:28
それからは何事もなく、授業をして、昼食をとり、放課後になった――。
「あ、長門だけか……」
「そう」
長門はいつもの場所でハードカバーを読んでいた。
キョンは椅子に座った。
――朝比奈さんは……、まだか。
そして、ドアが開く音がした。「こんにちは」と髪を揺らしたのはみくるだった。
「ああ、朝比奈さん、こんにちは」
キョンは椅子から立ち上がり、廊下に出ようとした。
キョンは廊下で窓から見える景色をボケーっと眺めていた。
そして大きめの足音が向こうから聴こえる。
ハルヒだった。スクールバックと共に何かはいった紙袋を持っている。
「みくるちゃんは着替えてるの?」
「あ、ああ……」
「そう」
そしてハルヒは部室にはいった。
『あ、涼宮さん』
『みくるちゃん、これに着替えなさい』
『へぇ? はぁ……』 ガサガサ……
『ふぇ!? こ、これを着るんですかぁ?』
『そうよ』
『でもぉ……。恥ずかしいです、これ……』
『いいからきなさーい!』
『わひゃああああ!』
――何してんだよハルヒのやつ……。
『あ、いやぁあああぁぁぁああぁぁあぁあぁあ……』
みくるの悲鳴を聴きながら窓から見える風景を眺めてた。
そしたらハルヒがドアを開け「もういいわよ」とキョンを部室にいれた。
みくるの姿はあまりにもグラマーだった。
艶々の黒の腹だしぱっつんぱっつんキャミソール、艶々の黒の激ミニぱっつんぱっつんスカート、艶々の黒のロングブーツ、そして2,3歳くらいの子供に大人気のパンの未確認生物が主人公のアニメに出てる悪役キャラについてるような耳のカチューシャが揺れる。
「ふぇぇぇぇ……」
みくるはカタカタ震えてる自分を抱きしめていた。
「じゃじゃーん! 小悪魔コスプレよ!」
「お前はなんてことを……」
キョンはやれやれと頭を抱えた。
16: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/04(木) 18:32:42
キョンはできるだけみくるの姿を見ないようにしたが無理だった。目を閉じてもすぐに開けてしまう。みくるのグラマーすぎるスタイルがやけに目につく。
「そぉーれじゃぁーみくるちゃぁ~ん、ポーズとって~?」
「ど、どうです……かぁ?」
後ろにさがってたハルヒはみくるにニヤッと笑顔を送り、みくるに飛び掛かった。
「わひゃあ!」
そしてみくるとハルヒは後ろに倒れた。
キョンからの視点では太腿がむき出し状態。スカートの中が見えそうなのでキョンは視線を逸らした。
そしてハルヒはみくるにそのままでいるよう指示して、ハルヒは起き上がった。
「うーん……。このくらいがいいかもねぇ……」
みくるは太腿むき出しに内股。微妙にM字開脚。みくるはぐずぐずと泣きそうだ。
「じゃあみくるちゃーん、撮るわよー!」
「いやぁああぁああぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああぁぁあ~!」
そしてハルヒは携帯のカメラをみくるに向け、いった。
「はい、チーズ!」
シャッター音が、部室に響いた。
「ふへぇぇ……」
みくるは起き上がろうとしたがハルヒはまだそのままと指示をだす。そしてハルヒはキョンに一回出てというのでキョンは部室を出た。
キョンが廊下で待っていたら無駄にさわやかな笑顔の「ガチホモ」こと古泉一樹がやってきた。
「どうも。朝比奈さんは着替えですか?」
「いや、なんかやって……」
なんかやってると言おうとしたら部室からみくるの悲鳴と鋏でなにかを切り裂く音が聴こえた。
キョンは嫌な予感がしたのでドアを開けてしまった。
「な……っ!」
キョンが目にした光景は……。
18: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/06(土) 11:55:57
みくるは半裸に剥かれていた。いつもなら下着もちゃんと着用しているが上半身裸。腕で胸を隠してた。さすがに下はちゃんと履いていた。しかも裸足。
スカートとキャミソール、ブーツはハルヒに奪われびりびりと切られていた。
「ふぇっ……」
「……!」
「……おやおや」
「あら、キョンと古泉君じゃない」
ハルヒは空気を読んでなかった。
そして、みくるの悲鳴が響いた。
「でーきたっ!」
今度はぱっつんぱっつんのキャミソールがぱっつんぱっつんのボロボロのベアトップになり、ぱっつんぱっつんの激ミニスカートはボロボロのスカート。ブーツもボロボロだった。
「これでさらに萌えアップ!」
みくるはさっきよりも泣いていた。今までとは違うコスプレ。バニーを着たときより、キョンに半裸姿を見られたときより真っ赤になっていた。
そしてハルヒはカメラでみくるの姿をパシャパシャ撮る。
キョンは観ていられなかったので廊下に出た。
「……やれやれだ」
19: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/06(土) 15:09:26
それから1時間ほど撮影は続いてた。しかし途中からみくるの悲鳴などは聴こえなくなった。なぜか、みくるの安堵したような声が聴こえてた。
――なんだ?
そう思うと扉の向こうからハルヒの指示が聴こえた。
『有希、今度はこれを着てみて!』
『……』
「なぁっ!」
今度は長門だった。長門が何をしているかしらないが。
キョンはふるふると震え始めた。
『そうそう、有希! んでそこに座ってー』
21: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/09(火) 16:07:03
*
キョンは我慢出来なくなって部室に入ろうとした――。
「待ってください」
キョンを止めたのは古泉だった。廊下にいて初めて声を出したので少し驚いた様子だ。
「な、なんだ……」
訊くと古泉はどこか深刻そうな顔になった。
「異常事態です」
「……は!?」
「ですから、明日、涼宮さんが長門さんを殺害するんです」
そう、古泉はハルヒが長門を殺すことを伝えたのだ。
「なんでだよ……」
「思い出してください、先日のこと」
古泉は即答した。
キョンは考えたが何も思い出せない。何のことか理解が全く出来ていない。
キョンのその姿をみて古泉は静かにため息をついた。
「……言いづらいですが……、先日貴方は長門さんを抱きしめましたよね? それを涼宮さんが偶然目撃し、そこから殺意が湧き出たのです」
「!」
そういわれて驚いたものの、なんで殺意がわいたのかは鈍感なキョンにはさっぱりわからない。
22: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/09(火) 17:14:04
「……」
キョンは部室にはいった。
部室にはオドオドと長門とハルヒを見るみくると、バニーの服を着た長門とそれを撮影するハルヒがいた。
「あらキョン、どうしたの?」
「帰る」
「は?」
キョンはカバンを持ち、一人ですたすたと帰った――。
キョンははぁ……と溜息をつき、ベッドに寝転がり、うつ伏せ状態にした。
――ハルヒが、長門を殺す? そんなわけない。ハルヒが、長門を殺すわけが……。
キョンは苦笑した。
――んな話ねーよ。
24: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/10(水) 18:06:55
そしてキョンは夜飯を食べ終え、入浴中のとき――。
「キョンくん電話ー!」
妹が電話の子機を持ってやってきた。
「なんだ、電話……? 誰からだ?」
「有希ちゃん!」
キョンは祖父が突然危篤になった孫のような顔になった。
――まさか!
キョンは妹から子機をもらった。
『……』
長門は何も話さなくても気配でわかる。
「長門、俺だ。なんだ?」
『……ありがとう』
長門のポツリとした「ありがとう」の言葉にキョンは祖父が病院で亡くなった知らせを受けた孫の顔をした。それに気を取られ、ボーっとしていたら、一方的に電話を切られた。
「!?」
――なんなんだよいったい……。
ハルヒは帰宅し、部屋に入った。
「さぁ、明日ね……。明日、有希を……」
ハルヒはまた狂気の顔になった。
みくるは帰宅したら急いで部屋に向かった。
ドアを勢いよく閉めたらその場に体育座りになり、顔を埋めた。みくるはスンスン泣き始める。
みくるの片手には銃が握られていた。それはとても品質が良く、そこらには売ってなさそうな、銃だった。
25: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/11(木) 16:27:34
ながるん風擬人法使ってみた。なんかアレだな。。。
*
――嫌です……。涼宮さんを……人を殺すだなんて……。
みくるは泣いて泣いて泣き続けた。
指令が来た。
「……へ?」
みくるは指令かと思ったらメッセージだった。
『あなたがやらないと未来は変わってしまう。
未来が変わることはみんなにとって、未来にとって大変なこと。
気持ちはわかるけど、あなたにしかできない指令。お願い』
みくるの瞳がかすかに揺れた。
『頑張って』
そしてみくるの瞳は大きく揺れ、瞳に熱いものがたまり、それは一気に流れ出す。
みくるは少しだけ顔を上げ、ごめんなさい、とつぶやいた。
28: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/14(日) 10:26:36
*
翌日、キョンが引き戸を引いたらハルヒが腕を組んで外を見ていた。
キョンは自分の席に座る。
キョンはハルヒによお、と一言言った。ハルヒは無言。
「?」
まぁいつものことだしいっか。
そう思いキョンは黒板のほうを向いた。
そして昼食の時間になった。
ハルヒは中休み教室を出ていったあと、戻ってきたら「みくるちゃんが昼休み屋上来てって」といってたので、キョンは言われたがままに屋上に行った。
そしてハルヒは食堂に行く前に部室に走って向かった――。
「あ……」
みくるはそろそろ時間だという指令が来て、ポツリと声を出した。
「みっくるー、ごはん食べるよー?」
鶴屋さんはそういってきた。
しかしみくるは黙ったまま。
「……わかったっさ。何か用事があるんでしょ?」
「ふえ?」
みくるはぎくりとした。
みくるは「いえいえ」というが鶴屋さんにはお見通し。
「いいっさ。いってくるにょろ!」
「鶴屋さん……」
みくるは鶴屋さんに一礼し、教室を出た。
29: 名前:有希 (02M0Jkutfc)☆11/14(日) 10:50:20
PM.1:3 作戦実行
ハルヒはドアを開いた。
ハルヒは心の中で安堵した。
「有希……」
長門はいつもの場所でハードカバーを読んでいた。
「何」
ハルヒは長門にじりじりと近づいた。
しかし長門はハルヒをジッと見つめるだけ。
そしてハルヒは長門に顔を近づける。
ハルヒは無言で、ゆっくりと、長門の細い首に自分の手で覆った。
PM.1:4
長門は抵抗しない。
ハルヒはキュッと長門の首を絞める。
やっぱり長門は抵抗しない。
「いい子ね、有希……。流石、あたしの団員……」
ハルヒは不気味な笑みを見せた。
長門は何も言わない。体勢も変えなければ、表情も歪めない。
「じゃあ、バイバイ、有希……」
手に力を入れようとした、その時――。
――バァンッ
PM.1:3 指令実行
――早くしないと……、早くしないと……!
みくるは走った。
部室はもうすぐそこ。
――早く、早く、早く……!
みくるは、銃を出した。
PM.1:4
――バァンッ
「!? だ、誰よ!?」
それは、栗色のふわふわな髪を揺らし、銃を構え、ゼエゼエと息を切らしていた。
「……涼宮さん。あたしです」
それは、ハルヒに向かってにっこりと笑った。
「みくるちゃん……。なんでここに……」
「ふえぇ、なんででしょうかぁ?」
みくるはにまにまと嗤う。
ハルヒはみくるが銃を持ってることに気づき、「何よそれ」と震えた声で言った。
「なんだっていいじゃないですかぁ」
カチャリ、と銃から音が鳴った。
「長門さん、すいませんが、よけてくれますか? 長門さんを道連れにしたくないので」
みくるは長門に視線を向けた。長門はコクリと頷き、みくるのほうに行った。
「……長門さん、ちょっと」
みくるは長門に何か囁いた。
「……了解した」
「な、何よ……」
ハルヒはがたがた震え始めた。
「―――――――――」
長門は何か言った。
「ありがとうございます、長門さん」
みくるは長門ににっこりとほほ笑んだ。しかし長門は無言だった。
ハルヒは動けなくなった。しかしそれはさっきの呪文のせいではない。
「涼宮さん、ごめんなさい」
「そんな……嘘よ……」
――嘘じゃないんです。涼宮さん、現実を受け止めてください。……お願いです。
そのとき、銃声が部室に響いた。
PM 1:7 指令終了・涼宮ハルヒ死亡
30: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/14(日) 10:59:53
トリップミスw
*
「遅いな……?」
一方キョンは、屋上でずっとみくるを待っていた。
――数日後
ハルヒが死亡したことがわかった。
死因は不明。
そう、長門はみくるが殺したことをばれないようにしていたのだ。
キョンは引き戸を開けた。
いつもいるハルヒがいない。
授業中もいない。何か話しかけてきているハルヒが。
掃除を終えたあと、部室にはいった。部室には長門しかいない。
「……よう」
「……」
キョンはパイプいすに座った。
「……なぁ、長門」
「何」
キョンは訊いていいかどうかわからなかった。
「……あのとき、ありがとうって言ったよな? あれ、どういうことだったんだ?」
長門は、何も答えなかった。
31: 名前:有希 (RCb/CbjcNY)☆11/14(日) 11:07:27
そういえば古泉の存在がなかった……。まぁいいやw
*
――それから一年後。
SOS団は解散し、みくるは未来に帰り、古泉はただの人間になり、長門は情報統合身体のもとに帰った。
キョンはたまに寂しくなる。
――もう一度ハルヒに会いたい。
しかしそれは叶わぬ夢だった。
しかし――。
「えー、今日は転校生を紹介する」
季節外れの転校生だった。
岡部ははいるように指示し、転校生がはいってきた。
「……!」
キョンは夢を見てるのかと思った。
転校生は、腰まで髪が伸びていて、薄桃色の口をきゅっと結んでた。橙色のリボン付きカチューシャが揺れる。
「東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、異世界人がいたらあたしのところに来なさい! 以上」
END
最終更新:2011年01月25日 17:13